お待たせしました。これが瓢亭自慢の朝がゆです。
その昔、夏の朝五時頃に祇園で夜遊びをした旦那衆が芸者さんと連れだって訪れ、寝ている主人を起こして「なにか食べさせて」と訴えたときに、ありあわせの材料で作って出したのが朝がゆ。いわば顧客のわがままな注文に応えたのが始まりだったわけで、お店のトレードマークの瓢箪に掛ければ、まさに瓢箪から駒が出た感じです。
名物の瓢亭玉子が盛られた八寸、瓢型の三ツ重ね鉢、吸物椀とお粥。暑い時期に熱いお粥に熱い葛あんをかけて食べる献立は瞬く間に評判になって、明治初年からは「朝がゆ」という看板をあげて売り出したそうです。
八寸には、必ず瓢亭玉子。半熟の黄身はねっとりと濃厚だが、このうえなくやさしい味。八寸に添えられる料理は季節によって変わるが、この日は「鯛の小袖寿司」、「もろこの甘露煮」など。
三ツ重ね鉢の上段には、「きゅうりと柿の胡麻和え」。中段には今が旬の「鰆の焼き物」。下段は炊き合わせで、ねっとりとしてコクがある「エビイモの炊きもの」とあっさりとした出汁がしみた京菊菜など。献立はそのときどきの旬に合わせて変わるけれど、冬場の味付けは夏よりも濃いめで、体が温まる料理を心がけているそうです。
八寸には、必ず瓢亭玉子。半熟の黄身はねっとりと濃厚だが、このうえな夏期は先述の葛あんをかけた白がゆが出されるが、冬場はこちら。
一度炊いたご飯を、うずらのガラと野菜から取った出汁で炊き、細かく刻んだうずらの肉を加えた雑炊。炊き上がりにセリが加わり、セリの香りとうずらの相性は抜群です。
戦後間もなく出されるようになった「うずらがゆ」は、今では瓢亭冬の名物料理。濃厚な「白みそ汁」はなめこと利休麩、辛子がぴりりときいていた。