内藤とうがらし再興プロジェクト
第三回 町で味わう内藤とうがらし。
2013/03/29
第三回 町で味わう内藤とうがらし。
内藤とうがらし再興プロジェクト
2013/03/29
2012年6月から戸塚地域(現高田馬場・早稲田・落合)の企業や学校の皆さんによって栽培された内藤とうがらし。12月に収穫され、早稲田・高田馬場周辺の料理取り扱い4店によって試作が繰り返されてきた。そして、2013年3月6日、ついにとうがらしを使用した創作料理をお披露目する会が開かれた。
新宿消費者生活センターに、リーガロイヤルホテル東京、鉄板焼 大都会本店、中国厨房 一番飯店、マルコメ キッチンカーの4店の創作料理担当者が集まり、これまで練りに練った創作料理を初めて紹介するための準備が始まった。今日を迎えるまでには、試食会などでプロジェクトメンバーの意見を取り入れ、何度も試作を繰り返してきた4店。ようやく迎えた発表の場とあって、皆さんの表情も引き締まる。この日、試食のモニターとして集まったのは、内藤とうがらしの栽培を担当した17社のうち15社の皆さん。自ら育てたとうがらしがどのように調理されたのか、期待いっぱいの雰囲気のなか、料理の解説が始まった。
「内藤とうがらしは、辛さがマイルドで、すぐに辛さを感じるというより、後から辛みがやってきます。ですから主張しすぎず、他のスパイスや香味との相性がいいと思いますね」と営業企画 伊東さん。ミント風味のミルクジェラートとじんわりと辛い内藤とうがらしの組み合わせは、口の中をさっぱりとさせる爽やかな甘さが印象的。また甘いラスクを頬張ったあと、遅れてピリリとくる辛みは、後をひく大人のおいしさだ。実際に試食をした皆さんからも「話題になるおいしさ」「ハバネロなどとは違い、素材の良さを引き立てる辛さが魅力的」との声があがる。
「東京の野菜といってもピンとこない人もいるかもしれませんが、こんなに素晴らしい食材が採れることを皆さんに知ってほしいです。そして、近隣の野菜として皆さんに楽しんでほしいですね」と、伊東さんはこの取り組みに大きな期待を寄せる。
<リーガロイヤルホテル東京 レシピ内容>
ちり酢、牛肉黒胡椒ソース絡め、茄子の煮物、ミントのミルクジェラート、ラスク
米やマフィン、ケーキ生地など、あっと驚く食材との組み合わせが目立つ大都会本店のメニュー。「白あんを混ぜ込んだバターに唐辛子を合わせることを発想できたことで、メニューにバリエーションができました。ごはんにも、パン生地にもいろいろ応用可能となり、当店の鉄板焼との相性も良くなったと思います。
また、デザートにとうがらしを使いたいと考えました。見た目もかわいい風味豊かなロールケーキをぜひ味わってほしいですね」とマネージャー 佐々木さん。内藤とうがらし再興プロジェクトに協力するスローフード江戸東京の成田氏は、「タイやカンボジアなど東南アジア諸国には、とうらがしを入れて炊いたごはんがあります。とうがらしを辛みだけでなく、だしと捉える考え方です。日本料理にはなかなかそういう発想はありませんから、ごはんとの組み合わせで、今後もいろいろ挑戦してほしいですね」と語る。また「ぜひロールケーキを手軽にテイクアウトできるようにしてほしい」との声もあがっていた。
<鉄板焼 大都会本館 レシピ内容>
内藤とうがらしのライスサンド、小エビとアボカドのマフィンサンド、稲荷寿司、ロールケーキ、エビムース
「キッチンカーでは、100円でお味噌汁を飲んでいただけます。そのお味噌汁に、この内藤とうがらしを用いてもらうことで、手軽にとうがらしの味を楽しんでもらうことができると思います」とマルコメ株式会社PR課 松井さん。
今回は、豚汁に挽きたての内藤とうがらしを入れての試食となった。皆さんからは「少しの量で爽やかな辛み」「口元に持ってくると独特の良い香りがして、お味噌汁の良い引き立て役になっている」と評判は上々。また「自分が育てたとうがらしが、こんな風にぴりりとした辛みのある立派なとうがらしとなって、本当にうれしいですね」との声も。
一般の一味とうがらしが、収穫し挽かれてから時間を経たものが多いのに対し、挽きたてのとうがらしがこんなにピリリと辛く、香りが良いのかと驚きの声をあげる人も多かった。
※キッチンカー東京支社営業は2013年9月27日をもって終了しました。
<マルコメキッチンカー レシピ内容>
キッチンカーで提供するお味噌汁の薬味として、内藤とうがらしの一味。
「内藤とうがらしには、適度な甘みと他の食材を邪魔しない特長があり、使いやすい食材だというのが第一印象ですね。今回は、長く提供したい、一時のメニューにしたくないという思いから、調味料にすることにしました。今回つくったラー油は、通常のラー油よりもフライドオニオンを多めにし、食べるラー油とXO醤を合わせたような味わいになるよう工夫しました」と店長 山本さん。
蒸し鶏にも、餃子のピッツァにもぴったりの味わいに、口々に「おいしい!」「何に使っても良いアクセントになりそう」との声があがった。また、ラー油だけを持ち帰って自宅でも使いたい!という声に応え、持ち帰りでの販売も予定している。試作品を持ち帰るモニターは「ぜひ玉子かけごはんと一緒に食べてみたい!」と顔をほころばせていた。
<中国厨房 一番飯店 レシピ内容>
蒸鶏の内藤とうがらしラー油和え、餃子ピッツァ
今日の会を迎え、プロジェクトを運営する手塚プロの日高さんは、「当初、内藤とうがらしを地域で育てたいと考えた時には、このような大きな取り組みになるとは考えていませんでした。でもたくさんの方々の協力もあり、このような華やかな会を開き、内藤とうがらしを食していただく機会を得ることができてとてもうれしく思います」と語る。
これから販売に向けての取り組みが始まることについては、「今後商品を多くの人にPRし、たくさんの人に内藤とうがらしを知ってもらい、味わってもらうことが大切になります。また、これが伝統文化の継承につながり、内藤とうがらしが地域の顔として根付くためには、まだまだ長い道のりがあります。
次の展開としては、協力企業を増やし、料理を提供してくださる加盟店も増やして、より高い品質のとうがらしを育てたいですね。提供料理には生のとうがらしも用い、よりフレッシュで瑞々しい味わいも感じてもらいたいです」と、次の展開へと思いを馳せる。
小さな苗木を皆で分けるところから始まった「内藤とうがらし再興プロジェクト」。実際に地域で味わえる商品として展開されることで、今後より多くの人にこの試みが広がることになるだろう。地域の取り組みがこうして続けられかぎり、一歩一歩さまざまな人の記憶に残ることになり、いつか地域の顔となる日も近いかもしれない。ぜひ戸塚地区(高田馬場・早稲田・落合)を訪れた際には、ピリリと刺激的な中に、地域の人の意気込みと愛情がこもった内藤とうがらし料理を堪能してほしい。
<料理提供店>
リーガロイヤルホテル東京(新宿区戸塚町1-104-19)
提供:5月1日~6月30日
「東京野菜フェア」の一環でランチ・ディナーとして提供
ホテル内提供店舗:中国料理 皇家龍鳳/日本料理なにわ/懐石&鉄板焼/グルメブティック メリッサ
鉄板焼 大都会本館(新宿区高田馬場4-11-8)
提供:5月中旬~7月中旬
マルコメキッチンカー(新宿区高田馬場1-34-7)※住所はマルコメ東京支社
提供:4月上旬or中旬~
中国厨房 一番飯店(新宿区高田馬場4-28-18)
提供:4月7日~