Facebook Twitter -
緑提灯の輪(国産食材の店)
第五回 ばんやしおさい(東京都渋谷区)
2014/01/09
第五回 ばんやしおさい(東京都渋谷区)
緑提灯の輪(国産食材の店)
2014/01/09
全国各地で緑提灯を掲げる飲食店が日に日に増えています。
国産の農林水産物をカロリーベースで50%以上使用している店で飾ることのできる緑提灯は、日本を元気にするボランタリー活動の象徴です。このコーナーでは、「糀」を使ったオリジナルメニューが楽しめる緑提灯の名店をリレー方式で紹介していきます。 第五回は、伊豆諸島の食材尽くし『ばんやしおさい』さんに伺いました。
緑提灯についてもっと知りたい!→http://midori-chouchin.jp/緑提灯は国産の食材をメインにしている店に掲げられるが、『ばんやしおさい』で出されるのは同じ国産でもさらに限定的で、伊豆諸島産がほとんど。三宅島に拠点を置くスーパーマーケットの直営店というだけあって、レア度は高めです。
お店の責任者、浅沼豪さんはもちろん三宅島出身です。
「伊豆諸島の海には黒潮の影響で栄養豊富なプランクトンがたくさん生息しているので、獲れる魚介類は文句なしに美味い。春先の上り鰹や飛魚にはじまり、赤イカやアオリイカ。天然のしまあじ、カンパチなど。底ものの金目鯛やムツなども格別の味わいですよ」
伊豆諸島から直送で届く新鮮な海産物は店の目玉。本日の刺し盛りには、アオリイカ、あじ、タコ、ブリが盛られていた。店名の「ばんや(番屋)」とは、漁師が海辺で寝泊まりしながら作業する小屋のこと。まずは、獲れたてならではのコリコリした食感を残す生ものをいただきたい。
「島で普通に食べられているものをそのままお出しするのは、島の文化も知ってもらいたいため。ちょっとクセが強いかもしれませんが、ぜひお試しください。女性の方がけっこうチャレンジャーでなかなか好評ですよ」
島ならではの食べ物といえば、くさや。
飛魚やむろあじなどを「くさや液」と呼ばれる魚醤に似た独特の風味をもつ発酵液に浸した後に天日干しにした干物で、とにかくにおいが強烈です。
飛魚一尾丸ごとのくさやは、においも凄いが、味も比較するものがないほど個性的で、噛めば噛むほど魚の濃いエキスがにじみ出てきます。な、なにか飲み物をください!
「くさやに合う酒は、これまた個性の強い島焼酎しかない。常時、6、7種類用意しているので、ロックでぐいぐい流し込んでください」
見た目はグロテスクだけど、味は繊細。
亀の手と呼ばれる小さな甲殻類の塩ゆでも、島料理の定番。その食感は、蟹そのもので、焼いて食べるのも最高だとか。亀の手は、みそ汁の出汁にもよく使われるが、これほど大ぶりだったら身をしゃぶり尽くしたい。
「海のものだったら2月から獲れる島海苔。野の食材だったら、明日葉(あしたば)や赤芽いも、パッションフルーツをどうぞ」
さすがは南国。野菜やフルーツもふんだんに獲れます。
明日葉は、今日葉を摘んでも明日にはまた芽が出るほど繁殖力に富んでいて、味に独特のクセがあるけれど栄養素をたっぷり含んだ特産品。
この明日葉をしょうゆ糀とゴマで和えたおひたしは、味に丸みが出てもりもりいただけます。
赤エビに糀をまぶした焼き物も、香ばしくてやさしい味に仕上がりました。
「魚や肉に糀を和えれば身がやわらかくなるし、納豆×糀とか豆腐×糀など、発酵食品を掛け合わせるとより味に深みが出ると思います」とはイケメン料理長のご意見。伊豆諸島の荒々しい食材にも、糀はしっかりフィットするようです。