今日がうれしくなる器

食卓に日本の木を取り入れて

2014/03/12

木の器が生み出すぬくもり

「夏椿」の恵藤さんは、「食卓に木の器が入るだけで、一気に食卓に温かみが増す」と言う。サラダボウルにつかったり、パンをのせたり、その使い方はさまざま。須田さんのアトリエの上階にあるご自宅では、いい色に色づいた木の器たちが、さまざまな料理に用いられていた。
「なるべく安価に皆さんに届けたいという思いから、須田さんが器にオイルコーティングするのは一度だけ。あとはご自宅で使いながら、育ててもらえればというのが須田さんの考え。お客さまには最初はサラダなどに使い、ドレッシングなどで徐々にオイルを染み込ませて使ってくださいとお話ししています」と恵藤さん。たまにサラダオイルやオリーブオイルなどで拭くと、油が染み込んで、シミのない器を育てることができるという。須田さんのご自宅で見せていただいた、こっくり深い色をした器は、オリーブオイルで手入れをしたもの。「色の濃いオイルで手入れすると濃い色に。逆に色をあまり変えたくなければサラダオイルを使うといいようですよ」と須田さんの奥様。オイルを丁寧に塗り込み育った木の器は煮物や汁ものを入れても問題ないという。

夏椿には、製作課程に魅力を感じられるお客さまもたくさんおられるとか。「あるお客さまは、ご結婚記念の品として、ご自宅と双方のお父さま、お母さまへのプレゼントに須田さんの器をご注文くださいました。というのも、須田さんの器は、ひとつの木から大きなサラダボウルをつくり、その中をくりぬいた木で小さなボウルができあがります。ご家族で一つの木から生まれた器を使う。そこに魅力を感じてくださったんですね」。通常お料理に使うヘラは、右利きの人にあわせて角度がつけられていますが、左利きの人には使いづらい面もある。そうしたことから、左利き用のヘラも生まれたとか。

「料理研究家の方や、スタイリストさんごとにさまざまな好みがあります。器の角度や、大きさ。ヘラは軽い方がいい、柄は長い方がいい、短い方がいい。穴が開いている方がいい、開いていない方がいい。使用になるかた一人一人のお話を聞きながら、どうやったら使いやすいか、格好がいいかなどを考慮しながら、皆さんに喜んでいただける器をつくっていますよ」と須田さん。

日本の林への思いを器にかえて

今後は日本の林や木に関心を持ってくれる若い人が育ってくれたらという須田さん。「興味がある人には技術を伝えていますし、僕の元で勉強する人も出てきました。でも生木というのが難しいんですね。チェンソーを自在に使ったり、山に入ったりできる若い人はなかなかいない。困難なことがたくさんあるから、続けようという人も少ないわけです。なかなか現状は厳しいです」。 そうつぶやきながらも、それでもなんとか日本の林の現状を知ってほしいと作品をつくり続ける須田さん。その手から生み出される器は食卓にしっくりと馴染み、ぬくもりを届けてくれる。

「夏椿」

世田谷区上町の住宅街にある古民家を改装したギャラリー。門をくぐると美しい庭と趣のある建物、そして店主の恵藤文さんが選び抜いた器と道具が迎えてくれる。

夏椿

夏椿

住所:
東京都世田谷区桜3-6-20
TEL:
03-5799-4696
営業時間:
12:00~19:00
定休日:
月曜日・火曜日(祝日の場合営業・企画展中無休)
URL:
http://www.natsutsubaki.com/

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