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日本の朝ごはん
旅立つ人の朝ごはん
羽田空港の大人気メニュー、たまごかけごはん
2014/06/12
日本の朝ごはん
2014/06/12
たまごかけごはんは、生卵をメインの食材に使った世界でも珍しい日本独特の料理です。
料理といっても、ほかほかのごはんの上に生卵を落とすだけ。こんなに簡単な調理法でも、糖質や脂質、タンパク質がしっかり摂れてビタミンもたっぷり。たまごかけごはんは、シンプル・イズ・ベストの極みです。
今回、取材に伺ったのは、年間で約6900万人(1日平均は約19万人)の乗降客数を誇る日本一にぎやかな羽田空港のターミナルビルに店を構える「赤坂うまや うちのたまご直売所」さん。朝8時の開店から夜9時まで、おいしいたまごかけごはんを求める旅人たちで店内の15席はいっぱいです。
ごはんと卵だけで「おいしさ」を追求するからには、当然、ごはんと卵の質にはこだわっています。
「おいしい卵を産む健康な親鶏は、福岡県飯塚市の自然豊かな養鶏場で育てます。開放型鶏舎の周囲は鹿よけのフェンスで囲まれているんですよ。とてものどかな環境で、親鶏はストレスなくのびのびとしています」
説明してくれるのは、羽田空港店の店長、池田大輝さん。JR九州のグループ企業、JR九州たまごファーム株式会社が運営する養鶏場からは、毎日、産まれたての新鮮な卵が空輸で送られてきます。
生後120日齢から15カ月間のみ飼育した親鶏から産まれる卵は、無洗浄でもクチクラというたんぱく質の膜で覆われているため、空気を通してもカビや細菌を通さないといいます。試しに卵をひとつ手に持ってみると、小ぶりだけど心なしか重めで、割ろうとしても殻が頑丈でなかなか割れません。
えいや、とばかりに殻を割って中身を出すと、なんて丈夫なこと。弾力のある白味の上で丸みを帯びた黄身がぷるぷるとふるえます。
白味と黄身を箸で混ぜるのもひと苦労で、なかなか一体化しません。これが、健康な卵の証なのでしょうか。口に含めば、舌ざわりはまろやかで、ほのかな甘味を感じます。
この足腰がしっかりした卵を、熊本県産ヒノヒカリの新米の上にかけて、卵のうまみを引き立てる美味しい特製のだし醤油「うちのたまごによくあう醤油」を振っていただく。おいしくないわけがありません。
たまごかけごはんは550円。卵1個とごはん1杯はおかわり自由で、おかかと小鉢付き。おまけに、宮崎県の大根を使った「つぼ漬け」と長崎県の白菜でつくる「唐人菜」は食べ放題。オプションで、有明湾産のあおさの味噌汁(100円)を頼めば、完璧な朝食が目の前にそろいます。
「女性のお客様も多いですが、みなさんごはんをおかわりして卵を2個食べていきます。以前、お客様に『たまごかけごはんは飲み物です』って言われて驚いたことがあります(笑)」
一昨年、7月に東京で初めて出店した同店のたまごかけごはんは、旅人の朝ごはんとしてしっかり定着しました。
「羽田空港に出店したのは、ここが東京の出入り口で情報の広がりが早いからです。九州の魅力をもっと多くの人に知っていただきたいです」
卵を使ったメニューは、たまごかけごはんだけではありません。卵を2個溶いて特製のだしといっしょに煮た具の上にさらに生卵1個を落としていただく「たまごだけ丼」(550円)や佐賀県産の地鶏の切身がたっぷり乗った「親子丼」(750円)も人気です。
おいしい卵はごはんに合うし、スイーツでも大活躍。「ミルクセーキ」(350円)や「プリン」(250円)は、いずれも卵をたっぷり使ったぜいたくなスイーツで、卵(6個入りで420円)とともにテイクアウトできます。
前回、登場していただいた朝食の達人、向笠千恵子さんは、<脂肪、カルシウム、鉄分、ビタミンなど、卵は雛の生命を育むための栄養分がぎっしり詰まった天然のスーパーカプセルです>とおっしゃっていましたが、卵づくしのメニューをいただくと、肌はつるつるになって体の中にパワーがみなぎるような、そんな気がしてきます。