緑提灯の輪(国産食材の店)
第七回 朝日屋(茨城県稲敷市)
2014/07/10
第七回 朝日屋(茨城県稲敷市)
緑提灯の輪(国産食材の店)
2014/07/10
全国各地で緑提灯を掲げる飲食店が日に日に増えています。
国産の農林水産物をカロリーベースで50%以上使用している店で飾ることのできる緑提灯は、日本を元気にするボランタリー活動の象徴です。このコーナーでは、「糀」を使ったオリジナルメニューが楽しめる緑提灯の名店をリレー方式で紹介していきます。
第七回は、自然に囲まれた「朝日屋」さんに伺いました。
緑提灯についてもっと知りたい!→http://midori-chouchin.jp/
茨城県の霞ヶ浦湖畔、田んぼと畑に囲まれた緑豊かな地。地元の人や昨今では遠方から訪れるバス釣り客でにぎわう食事処「朝日屋」さんは、緑提灯をいち早く掲げたお店です。
「緑提灯の事務局に地元出身の人がいたので、親しくなりいろいろとご指導を受けています。食材は地元で採れる野菜を使っていて、以前から食肉は国産ものばかりです」
矢幡孝志さんは三代目社長。お父様とお母様もまだ現役で奥様もいっしょに働いています。週末に訪れる釣り客を除けば、客も地域の顔見知りばかり。のどかな風景がそのまま店内に伝わって、のんびりした雰囲気に包まれています。よっぽど落ち着くのか、お店の玄関口ではツバメがせっせと巣をつくっていました。
茨城県の特産品のひとつは、全国の収穫量の約半分をしめるれんこん。ハウス栽培の恩恵で年中手に入るけれど、旬はまさに今。7月上旬から2~3週間に採れるれんこんは、ちょっと湯がいて刺身でいただくと最高だそうです。
「水分が多いからしゃきしゃき。甘味があっておいしいですよ。もうちょっと遅い時期にきたら食べられたのに……」
残念無念。せっかくなので収穫直前のれんこん畑を撮影してきました。
「れんこんの素揚げチップスは定番。あとは、粉末にして米や蕎麦に混ぜたり、れんこん茶で飲んだり。花粉症やアトピーに効くといわれているらしくて、近所に住むぜんそくのおばあさんに粉末を分けてあげています」
ユニークなれんこんの活用法を見つけました。れんこんの茎を乾かしたストロー。このアイデアには都会からくる子どもも大喜びだそうです。
もうひとつ、懐かしいものがありました。米に砂糖をからめて圧力をかけ膨張させた「バクダン」(別名、ポン菓子)と呼ばれるお菓子。とうもろこしを原料とするポップコーンの日本版です。米は1分づきがちょうどいい塩梅に膨らむそうで、れんこんパウダーが隠し味で使われています。
肉料理や和えものに使う塩糀は自家製です。
「魚や鶏肉、豚肉は2日くらい漬けるとだいぶやわらかくなって、味にもコクが出ます。野菜を漬けるならば、置き石してひと晩。野菜と塩糀を混ぜるだけなら2~3日じっくりと。塩糀は料理に欠かせません」
塩糀に漬け込んだ鶏を使った唐揚げと照り焼きは、歯ごたえがやさしくて味は濃厚。きゅうり、キャベツ、にんじんにすり胡麻をまぶした塩糀お浸しは、うまみが乗って食べ応え十分。ご飯が欲しくなります。
「霞ヶ浦のれんこんを食べて育ったれんこん豚も塩糀に漬けると一段とおいしくなります。おろしたれんこんとひき肉で作る<れんこんコロッケ>も名物です」
ふと、お店の外に視線を移すと、視界の大部分は自然界の緑で覆われます。都会で暮らす人にとっては、これこそ最高のごちそうではないでしょうか。