緑提灯の輪(国産食材の店)

第八回 ワイン酒場 ヴィーノテリア(埼玉県さいたま市)

2014/10/20

全国各地で緑提灯を掲げる飲食店が日に日に増えています。

国産の農林水産物をカロリーベースで50%以上使用している店で飾ることのできる緑提灯は、日本を元気にするボランタリー活動の象徴です。このコーナーでは、「糀」を使ったオリジナルメニューが楽しめる緑提灯の名店をリレー方式で紹介していきます。

今回は特別版。和食ではなく、イタリア料理に糀をマッチングさせている「ワイン酒場 ヴィーノテリア」さんに伺いました。

緑提灯についてもっと知りたい!→http://midori-chouchin.jp/

イタリアンにも糀はぴったり。

醤油や味噌など日本を代表する調味料をつくるのに欠かすことのできない糀は、それ自体を調味料としても使える万能な発酵食品です。今回は、日本の食文化を支える糀を洋食に活用しているシェフのお店に行きました。

大宮駅東口から歩いて3分のアクセス。ひとつのフロアに5つの飲食店が軒を並べる開放的なスペースに『ヴィーノテリア』はありました。

「フレンチやイタリアンではよく八丁味噌を調味料として使っています。糀だって利用できるはずだと思っていろいろチャレンジしています」

イタリアンを20年間究めてきた店主の佐藤広宣さん。最初に取り組んだのは、サバの燻製でした。

「糀をサバに塗りこんでからスモーク。いつもよりも身がやわらかくなって、風味は西京焼きっぽくなりました。西京味噌はもともと糀の割合が多い味噌なので、風味が似るのは理にかなっていますよね」

お店のメインの飲み物は、白赤合わせて15種類ほど揃えているヨーロッパ産のワインですが、西京焼き風のおつまみとも相性はばっちり。糀の主な特徴は、魚や肉の身をやわらかくして、うま味やコクを引き出すこと。このメリットはイタリア料理だけでなく、世界各国のどんな料理にも生かされるはずです。

「イタリア料理では、糀と同じ発酵食品のアンチョビが調味料としてよく使われています。ワインと日本酒は同じ醸造酒だし、チーズをはじめ、発酵系のおつまみは合うのかもしれませんね」

定番メニューの糀を使った料理は、牛モツの赤ワイン煮込み。シロモツを糀に漬けてハチノスとともに特製ソースでじっくりと煮る。やわらかな肉の身にソースがしみ込んで、味の深みがいっそう際立ちます。

広がる糀の可能性。

定番メニューのほかに『ヴィーノテリア』では、黒板に書かれた日替わりのメニューが盛りだくさん。今日は、特別に糀を使ったポルケッタ(ローストポーク)をつくっていただきました。

豚バラの塊り肉を1~2センチほどの厚さに開いて、ニンニク、バター、セージやタイムなどの香草やスパイスとともに、糀をたっぷり塗りこむ。そして、開いた肉をロール状に巻いてオーブンで1時間半。

できたてをひと口ほおばると、肉汁のジューシーさとハーブの香りが広がります。糀の効果なのか、肉の歯ごたえはやさしくて味わいはどこか和風で懐かしい。大成功です。

「ハーブと糀の不思議なハーモニーがうまく出ていますね。糀をアンチョビだと考えれば、パスタやピザにも合いそうですが、それではあまりにも安易なので、これからも違ったアプローチをするつもりです」

なんとも頼もしい佐藤シェフ。いったいどんな新メニューが開発されるのでしょうか。

今回は、糀の可能性を舌でたっぷり感じられた取材でした。

ワイン酒場 ヴィーノテリア

住所:
さいたま市大宮区仲町1-49 酒場140 3F
TEL:
048-642-8882