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日本の伝統 保存食を極める
第九回 東京で手に入る全国の保存食
むらからまちから館 東京都千代田区
2014/11/12
第九回 東京で手に入る全国の保存食むらからまちから館 東京都千代田区
日本の伝統 保存食を極める
2014/11/12
保存食は、食料が慢性的に不足する季節や不測の事態に備えたり、貴重な食材を無駄にしないために世界各地で工夫を重ねながら発達してきました。
新鮮な野菜や果物、魚介類や肉類を、発酵・乾燥・燻製などの技術を駆使して加工する。保存食には、その国、その地方の食文化が生きづいています。
食文化の土台を支える生活の知恵、保存食を極める旅。
第九回目は、全国の特産品を集めた「むらからまちから館」にうかがいました。
▶第八回 沖縄の保存食 赤坂潭亭(あかさかたんてい)東京都港区
全国47都道府県の特産品を集めた「むらからまちから館」は、JR有楽町駅前(京橋口)にある東京交通会館1階に店を構えています。特産品の数は約1200品目。日本一の地域総合専門店として、いつでも多くの人で賑わっています。
「首都圏にお住まいの方が出身地の懐かしい特産品を見つけてお買い上げになったり、観光で東京に来たお客様や外国人の方がお土産をお求めになったり、ここではいろいろな方に出会えます」と言うのは、バイヤーの山内陽子さん。
水産物・乾物・漬物コーナーから乳製品・畜産物、地酒、調味料・グローサリー、お菓子など、品揃えは多分野にわたっていて、眺めるだけでも日本中を旅しているようで楽しいものです。
定番商品が並んだ棚には、その土地ならではの食材を干したり、塩漬けしたり、焙ったり、さまざまな工夫を凝らして加工した保存食が並んでいます。取材に際して、24都道府県の保存食を独断で選んでみましたが、これだけお買い物しても1万円ちょっと。お腹も気持ちもぜいたくな気分になります。
【北海道・東北地区】左下の写真(価格はすべて税抜き)
北海道留萌市「むしりほっけ」446円……北海道の近海で獲れた脂の乗ったほっけを燻製に。お酒の肴にもおやつにも最適です。
福島県南相馬市「べっこう玉葱」431円……玉ねぎを丸ごとしょうゆ味の出汁に漬け込んだ一品。歯ごたえサクサクであっさりした風味です。
秋田県雄勝郡「特選 いぶり大根漬」586円……雪の深い秋田県内陸部の名物。昔は各家庭で囲炉裏の上に大根をつるして燻ってから漬けていましたが、今では囲炉裏のある家は少なくなって、漬け物屋さんにお任せすることが多くなりました。独特の風味は健在です。
山形県酒田市「即席 庄内麩」350円……板状になった庄内地方特産のお麩。板をちぎって味噌汁に入れたり、油で軽く揚げて塩を振りかければおつまみにもなります。
宮城県栗原市「川口納豆 中粒」89円(上段の右の写真)……「むらからまちから館」の人気商品のひとつ。国産の中粒大豆を使用。味、香りともにまろやかで食べやすい納豆です。
【関東・東海地区】右下の写真
静岡県田方郡「南箱根のモッツァレラチーズ」580円……クリーミーであっさりとした味わい。トマトと和えて、塩、こしょう、オリーブオイルで味つけすれば立派なオードブルに。ピザやトーストに乗せても美味。
群馬県甘楽郡「さらりな味わい さしみこん」370円……弾力があって喉ごしはつるりと爽快。冷やして食べるとなおおいしい(からし酢みそ付)。
千葉県香取市「恋する豚研究所 ロースハム」420円……14日間じっくり熟成させたお肉。ほのかな甘みを感じるのは、九十九里浜産の塩のおかげです。
東京都大島町「本場大島 くさや」558円…強烈なにおいだけど魚のうま味が凝縮されている干物。伊豆諸島の特産品で、ムロアジやトビウオ、シイラなどを魚醤に似た発酵液のくさや汁に漬ける。本品はアオムロ。一度食べたらクセになる!?
「むらからまちから館」で扱っている商品は、どれも地方の中小企業でつくられたもの。地産の食材を使用した安全で安心なものばかりです。
「チーズのような味わいの山うに豆腐(豆腐の味噌漬け)をはじめ、『これ、なに』って驚くものがたくさん。名前を知らなかった魚もいっぱいあります。地のものは奥が深いです」(山内さん)
全国地酒コーナーには、小さな蔵がつくった希少価値のあるお酒が約200種類並んでいます。その場で斗瓶から汲んでくれる生酒はとくに人気で、コーナーの目玉です。
「一番人気があるのは、正面入口横の地域応援産直コーナーで、全国各地の限界集落や被災地から季節の旬の野菜や果物が直送されてきます。仕事帰りに寄って帰られる方が多いですね」
一度は訪れてみたい東京の名所。お店に一歩足を踏み入れたら手ぶらでは帰れません。
【近畿・中国地区】
和歌山県有田市「珍味 えびせん」329円……紀州箕島漁港で水揚げされた新鮮なえびと北海道産のじゃがいも澱粉を使って焼き上げた風味豊かなえびせんです。
三重県志摩市「きんこ芋」454円……伊勢志摩産のハヤト芋を熟成させて干したおやつ。やわらかくてねっとりとした食感で、甘味がひときわ目立ちます。
京都府亀岡市「ぱっしょん 七色ピクルス」371円……色鮮やか! ミニトマト、パプリカ(赤、黄)、赤玉ねぎ、セロリなどが入った和風ピクルス。さっぱりとした後味が印象的です。
岡山県岡山市「焼ままかりの酢漬」399円……ニシン科に属するサッパは、岡山県の特産品。「ママ(御飯)をカリ(借り)に行くほどおいしい」ということからママカリと呼ばれるようになったそうです。
鳥取県鳥取市「砂丘らっきょう たまり漬」457円……鳥取砂丘で育ったらっきょうのお漬けもの。ぴり辛味で歯ごたえはシャキシャキです。
島根県出雲市「めかぶ茶」360円……めかぶはワカメの根元部分。乾燥させためかぶをお湯に戻すと、海の香りがしみ出します。戻しためかぶは食べてもおいしく、お吸い物や酢の物にも使えます。
【四国・九州地区】
愛媛県四国中央市「夏みかん漬」432円……瀬戸内の温暖な気候で育った夏みかん。甘さ控えめで、やわらかい食感に仕上げています。
高知県土佐清水市「宗田かつお」141円……黒潮で有名な土佐清水足摺沖で獲れた新鮮な宗田鰹を原料にして、直火で一本一本じっくりと焼き上げた一品。そのままで、おやつやおつまみとして食べられますが、ほぐせばサラダやパスタなどのトッピングにもなります。
熊本県球磨郡「とうふのみそ漬」350円……平家の落武者が源氏の追手を逃れて山里に隠れ住んだときに、豆腐を味噌に漬け込んで保存したともいわれている品。日本製チーズといった味わいです。
長崎県平戸市「あご」614円……平戸近海で獲れるトビウオ(あご)の干物。とろ火で焼いて軽く叩くと、身がやわらかくなって食べやすくなります。
鹿児島県西之表市「さつまあげ」235円……種子島の近海で獲れるタラやエソなどを原料としたさつまあげ。魚の濃厚な風味が堪能できます。
沖縄県国頭郡「島らっきょう味噌」503円……沖縄産の島らっきょうをベースにしたお味噌。ご飯のお供にぴったり、調味料としても役立ちます。