暮らしの中の、小さな知恵

上手に取り入れてますか?乾物おさらい帖

発酵美食×暮らし上手

2016/08/23

日本の伝統食材で、家庭料理には欠かせない乾物。けれど、「戻すのが面倒」、「どうやって調理したらいいのか、わからない」と、苦手意識を持っている人が多いかもしれない。料理家・成沢正胡さんは、そんな乾物を毎日の食卓に積極的に取り入れている。
「特に重宝するのは、高校に通っている娘のお弁当。娘は、昔ながらの和食が好きなんです。乾物自体、保存が利きますし、切干大根やひじきの煮物など、作った料理も常備菜として保存できます。乾物で作った常備菜は2日目、3日目に食べるのも、また美味しいんですよね」
乾物の魅力は、何といっても、素材の旨味がぎゅっと凝縮しているところ。ダシも必要なく、少ない調味料で味が決まるから、実は調理がラクというのもメリット。
「素材の味がしっかり感じられますし、天日干しされた乾物は“おひさまの味”がしますよね。栄養価も高く、噛めば噛むほど美味しい! 乾物をいただくと、身体の中がきれいになった気分になります」

成沢さんに聞く! 乾物のキホンと活用術

成沢さんの乾物メニューは、実にバラエティ豊か。ベーシックな煮物はもちろん、オムレツやパンケーキ、ドライカレーの具にしたり、コチュジャンを合わせてピリ辛の韓国風にしたり……。和洋中・エスニックと、成沢さんの手にかかれば、さまざまな料理へと変身する。
「基本は押さえつつ、“この食材と組み合わせたら美味しそう”と、いつも想像をめぐらせながら調理しています。意外かもしれませんが、切干大根や高野豆腐は、トマトソースと相性抜群! いろいろ試しながら、新しい味わいが発見できるのも乾物の楽しさです」
難しく思われがちな戻し方も、コツを覚えればカンタン。「乾物の旨味を逃さないように、戻す時は最低限の水で。戻し汁をダシとして活用できる干ししいたけは、時間をかけたほうがいいですが、必要以上に浸し過ぎないこともポイントです」と、成沢さん。まずは、<ひじき><干ししいたけ><高野豆腐>の3つの乾物の戻し方と、活用術をおさらいしよう。

<ひじき>

煮物のほか、サラダや酢の物、炊き込みご飯の具として大活躍。カッテージチーズと合わせて、オムレツの具にしても美味しい。水で戻すと体積が増えるので、戻す量には注意したい。

[戻し方]

軽く洗ってボウルに入れ、たっぷりの水を注いで5分ほど浸す。

[こんな使い方も!]

●ひじき入りパンケーキ
生地に無糖ヨーグルトで戻したひじきを混ぜ込んだ、お食事系パンケーキ。ひじきを20分ほどヨーグルトに浸けて戻し、固めに泡立てたメレンゲ、卵黄、小麦粉、ベーキングパウダーなどと合わせて焼く。好みで、クリームチーズや生ハム、スモークサーモンなど、塩気のあるものを添えて。

<干ししいたけ>

干ししいたけは旨味が豊富な上、戻し汁までダシとして使える優秀な食材。干ししいたけを使った甘煮や筑前煮はもちろん、うどんやそばのつゆにも戻し汁を美味しく活用しよう

[戻し方]

カサの内側を中心に、真水で汚れをさっと洗う。ボウルに入れて全体が浸るぐらいの水を注ぎ、半日以上置く。時間をかけてじっくり戻したほうが、より旨味が引き出される。

[こんな使い方も!]

●干ししいたけのクリームパスタ
戻し汁まで余すことなく活用した、旨味たっぷりのパスタ。戻した干ししいたけは軸もスライスしてベーコンと炒め、小麦粉、牛乳、戻し汁を加えてソースを作り、隠し味に味噌をプラスし、ゆでたパスタと絡める。いつものクリームパスタが、干ししいたけの効果で奥深い味わいに。

<高野豆腐>

薄味のダシでふっくら仕上げた含め煮、ダシで煮てから卵でとじた卵とじが定番。片面に甘味噌を塗って焼き目をつけ、味噌田楽風にいただくのもおすすめ。

[戻し方]

ボウルに入れ、たっぷりの水に浸して軟らかくする。手のひらで全体を押して、中の水分を出したら、戻す。何度か繰り返し、水が白く濁ったら一度変えて、何度か繰り返す。水が濁らなくなったら両手で軽く挟み、中の水分を出す。

[こんな使い方も!]

●高野豆腐のミートソース焼き
普段は脇役にまわりがちな高野豆腐も、調理次第でメインディッシュに。合挽肉と角切りトマトを炒めて軽く煮込んだミートソースと、水で戻し、3等分に薄くスライスした高野豆腐を層にする。チーズをのせて焼けば、ボリュームのあるおかずが完成!

覚えておきたい!切干大根の定番&アレンジレシピ

<ひじき><干ししいたけ><高野豆腐>と並ぶ代表的な乾物<切干大根>は、使い方を覚えておきたい食材の一つ。ほっとする味わいの煮物から、食卓に変化をもたらすユニークな一品まで。成沢さんの切干大根レシピ、ぜひチャレンジしてみて!

<切干大根の煮物>

鶏挽肉を加えた具だくさんの煮物は、食卓の主役! 鍋の中で材料と調味料をすべて混ぜてから一気に仕上げるので、乾物初心者でも気軽に作れる。

[材料]2人分
切干大根…40g
鶏挽肉…100g
ニンジン…1/2本
インゲン…5本

<A>
ごま油、きび砂糖…各大さじ1
醤油…大さじ2
水…1/2カップ

[戻し方]

たっぷりの水に浸けて、しっかりもみ洗いする。水が濁ってきたら一度変えて、水が濁らなくなるまで、さらにもみ洗いする。

[作り方]
1. 切干大根は水で戻し、軽く絞って水気を切る。ニンジンは細切りに、インゲンは2cm長さに切る。
2. 鍋か深めのフライパンに戻した切干大根、ニンジン、インゲン、<A>を入れ、木ベラなどでよく混ぜる。
3. 火をつけて火加減を中火にし、水分を含ませるように、木ベラなどでかき混ぜながら煮る。

<切干大根とじゃこのかき揚げ>

切干大根とちりめんじゃこ、どちらも旨味が豊かな食材なので、調味料いらずという手軽さ。ポリポリとした食感も心地よく、噛むほどに美味しさが広がる。

[材料]2人分
切干大根…30g

<A>
ちりめんじゃこ…30g
白ごま…大さじ1
小麦粉…大さじ3

揚げ油…適量

[作り方]
1. 切干大根は水で戻し、軽く絞って水気を切ったら、ざく切りにする。
2. ①をボウルに入れ、<A>と混ぜる。
3. 揚げ油を160℃に温め、②を丸めてカラリと揚げる。

<切干大根のヨーグルト戻し>

水の代わりに、ヨーグルトで切干大根を戻したユニークなメニュー。ヨーグルトと隠し味の味噌は、どちらも発酵食材だから相性抜群! 副菜にもお酒のおつまみにも、ぴったり。

[材料]2人分
切干大根…20g
無糖ヨーグルト…100g
味噌…小さじ1
黒ごま…少々

[作り方]
1. 切干大根とヨーグルトをボウルに入れ、全体をなじませて15分ほど置き、戻す。
2. 切干大根が軟らかくなったら、味噌を加えて和える。
3. 器に盛り付け、仕上げに黒ごまを散らす。

●使ったのは、こちらの味噌

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成沢正胡(なるさわまさこ)さん

料理家

成沢正胡(なるさわまさこ)さん

料理家

成沢正胡(なるさわまさこ)さん

茶懐石教室のアシスタントを経て、独立。自宅にてデモンストレーションスタイルの料理教室『うらら』を主宰するほか、雑誌や広告へのレシピ提案、ケータリング業などで幅広く活躍中。
著書に『まいにち食べたい、フレンチトースト』、『ホットサンド、おとなのレシピ』、『巻いて、包んで。小さなおやつ、おつまみ77』(すべて朝日新聞出版)がある。

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