暮らしの中の、小さな知恵

体よろこぶ、甘酒朝ごはんのススメ

2017/01/26

甘酒は、朝ごはんにぴったりの優秀な発酵食品

特に寒さが厳しいこの時期、朝はテンションが低く、食欲もなくて、朝食をしっかり食べられない…という人も多いのでは? そんな時におすすめなのが、発酵食品・甘酒を使った朝ごはん。米と米糀、塩のみで作られる甘酒は、昔から“飲む点滴”と呼ばれるほど栄養満点。やさしい甘さが体を刺激して、頭をすっきり目覚めさせる効果も期待できそう。
「発酵食品は、朝から積極的に摂るようにしています。甘酒というと、どうしても飲み物というイメージが強いけれど、実は料理に使いやすい食品なんですよ」と、料理研究家の近藤幸子さん。ふたりの女の子を持つ“働くママ”でもある近藤さんは、小学校へ通う長女のため、保育園へ通う次女のためと、毎朝2回、時間を分けて朝食を準備しているのだとか。
「朝ごはんづくりにかける時間は、10分から15分ぐらい。子供が食べやすいように、品数が多すぎず、でも、栄養バランスはととのった食事を心がけています。朝ごはんづくりでも、甘酒はとても便利。砂糖やみりんとはまた違った自然な甘み、旨み、風味があるから、余分な調味料を加えなくても美味しくなります。パンケーキや卵焼きに混ぜてもいいし、調味料のひとつとしても使えるし、忙しい朝にはうれしいですよね」
そこで今回は、近藤さんに甘酒を朝ごはんに取り入れるアイデアと、朝ごはんにおすすめの甘酒レシピを提案していただいた。体にやさしい朝にぴったりの甘酒レシピ、ぜひお試しを!

甘酒を朝ごはんに取り入れる3つのアイデア

① “いつものメニュー”にプラスする
朝の食卓でおなじみのメニューに、甘酒を加えて。甘酒そのものに甘みや旨みがあるから、パンケーキやホットケーキなら牛乳の代わりに、厚焼き卵やおひたしならだしの感覚で、手軽に取り入れられる。

② 調味料として使う
甘酒は、ナチュラルな甘さが特徴。調味料として、みりんの代わりに使ってみよう。鶏の照り焼き、肉じゃが・筑前煮などの煮物、きんぴらなど、甘みを足したい時に重宝する。甘酒特有の風味も加わり、深みのある美味しさに。

③ スープにする
甘酒の美味しさをスープとして楽しむのも手。中華スープと合わせれば中華風、かつおだしなら和風、コンソメベースなら洋風と、さまざまな味わい方ができる。具材は長芋や大根、にんじん、れんこんなど、特に根菜類との相性が抜群。夜のうちに作っておけば、朝は“温めるだけ”という手軽さもうれしい。

近藤幸子さんが教える、甘酒を使った朝ごはんレシピ

<甘酒パンケーキ>

牛乳の代わりに甘酒を使ったシンプルなパンケーキ。美味しそうな焼き色を付けるには、フライパンが低温のうちに生地を流し入れ、弱火から中火で焼くのがポイント。パンケーキ自体の甘さは控えめなので、きなこバターのほか、ハムやソーセージ、サラダを合わせても。

[材料]4枚分
薄力粉…120g
ベーキングパウダー…小さじ1
卵…1個
甘酒…1本
塩…少々

<きなこバター>
バター、きなこ…各10g
練乳…小さじ2

[作り方]
【1】 きなこバターを作る。バターは常温に戻し、ほかの材料を加えてよく混ぜておく。
【2】 生地を作る。卵は泡立て器でほぐし、甘酒、塩を加えて混ぜる。
【3】 薄力粉、ベーキングパウダーを合わせて[2]のボウルにふるい入れ、粉っぽさがなくなるまで泡立て器で混ぜる。
【4】 テフロン加工のフライパンを火にかけ、やや熱くなったら[3]の生地の1/4量を流し入れ、蓋をして焼く。全体にプツプツと細かい泡が出てきたら裏返し、裏面にもきれいな焼き色が付くまで焼く。残り3枚も同様に焼く。
【5】 器に盛り付け、きなこバターを添えていただく。
※ 2枚目からは、焼く前にフライパンを濡れ布巾の上にのせ、冷ましてから生地を流し入れると、きれいな焼き色が付く。

<鶏肉の甘酒照り焼き>

味付けは、甘酒としょうゆのみ。コクのあるタレでいただく、ご飯と相性抜群の絶品照り焼き。香ばしく焼いた鶏肉は、皮はパリッと、中はふっくら・ジューシー! 冷めても軟らかなので、お弁当のおかずにもおすすめ。

[材料]2人分
鶏もも肉…1枚

(a)
甘酒…1/2本
しょうゆ…大さじ1
しょうがのすりおろし…小さじ1/2

<付け合わせ>
エリンギ…1パック
スナップえんどう…6本
サラダ油、塩…少々

[作り方]
【1】 鶏肉は厚い部分に包丁を入れ、(a)を合わせたタレに10分漬け込む。
【2】 付け合わせを作る。エリンギは食べやすい大きさに割き、スナップえんどうは筋を取って縦に割く。サラダ油を熱したフライパンでさっと炒め、塩を振って取り出す。
【3】 [1]の鶏肉のタレを絞り取り、[2]のフライパンに皮目から入れて焼く。フライ返しなどで押し付けるように香ばしく焼いたら取り出し、食べやすい大きさに切る。焼き時間は皮目を4分、裏返して4分を目安に。
【4】 フライパンの余分な脂を拭き取り、[3]の残ったタレを入れてとろみが付くまで煮詰める。器に鶏肉と付け合わせを盛り付け、タレを鶏肉にかける。

<甘酒薬膳スープ>

鶏肉、長芋、きくらげと、食べ応えのある具だくさんスープ。甘酒のナチュラルな甘みと旨みがひと口ごとに広がり、お腹も心も満たしてくれる。薬膳の世界では、体を温めるとされる食材ばかりなので、寒い日の朝ごはんにぜひ!

[材料]2人分
鶏手羽元…2本
塩…小さじ1/4
長芋…10cm(100g)
きくらげ…3g
水…200cc
甘酒…1本
中華スープの素…小さじ2
しょうゆ…小さじ1
しょうがのすりおろし…小さじ1/2
クコの実(あれば)…適量

[作り方]
【1】 鶏手羽元は塩で下味を付け、10分置く。長芋は皮をむき、食べやすい大きさに切る。
【2】 すべての材料を鍋に入れ、蓋をして15分ほど煮る。途中、何度かアクを取る。

●使ったのは、こちらの甘酒

<プラス糀 糀甘酒>

米、米糀の分解酵素の働きによって自然な甘さを引き出した、そのまま飲んでも美味しいストレートタイプの甘酒。アルコール0%だから子供でも飲みやすく、栄養豊富なのもポイント。紙製のカートカン入りで、開封後、電子レンジで加熱できる。
プラス糀 糀甘酒

料理研究家

近藤幸子(こんどうさちこ)さん

料理研究家

近藤幸子(こんどうさちこ)さん

大学で栄養学を学んだ後、仙台の料理学校でアシスタント、講師を経て、料理研究家として独立。2004年に拠点を東京に移し、江東区・清澄白河の自宅にて料理教室『おいしい週末』を主宰する。新刊『重ねて煮るからおいしいレシピ』(主婦と生活社)、『おいしい週末、だれか来る日のごちそう献立』(地球丸)が発売中。