大湯みほのぬか漬けロマン

Vol.1 愛情込めて育てよう!みほ流「ぬか床」の作り方

2018/02/09

Vol.1 愛情込めて育てよう!みほ流「ぬか床」の作り方
Vol.1 愛情込めて育てよう!みほ流「ぬか床」の作り方

昔から食べられている日本の代表的なお漬物「ぬか漬け」。発酵食品が話題となっている昨今、乳酸菌をたっぷり含んだぬか漬けもまた「再評価」ともいうべき注目を集めています。もちろん、そのまま食べてもおいしいぬか漬けですが、ぬか漬けを使ったアレンジレシピがたくさんあることをご存じでしょうか?

特に忙しい日は、食事を作るのも面倒になってしまうこともあるかと思います。そんなとき、あまり手をかけずに作ることができて、美容・健康にもつながるレシピがあったらぜひ知りたいですよね。そこで、以前インタビューをさせていただいた“ぬか漬けソムリエ”の大湯みほさんに、時間も手間もかけずにササッと作れるおいしいぬか漬けレシピを紹介してもらう連載をスタートします!

とはいえ、まずはぬか漬けを漬けるところから始めてほしいということで、初回は「ぬか床」の作り方をレクチャー!「興味はあるけど、お手入れがたいへんそう…」と、始めるのを躊躇している方にチェックしていただきたい、大湯さん流のぬか床作りを教えてもらいますよ。

▶前回のインタビューはこちら
お笑い芸人が「ぬか漬けソムリエ」になった理由―大湯みほとはいったい何者?

長く「同居人」として付き合っていける
「ぬか床」を作ろう

はじめまして。ぬか漬けマイスターの大湯みほです。初めて私のことを知る方もたくさんいらっしゃると思いますので、まずは簡単に自己紹介させていただきます。

普段はお笑い芸人としても活動している私ですが、そんな私がぬか漬けにハマったきっかけは、祖母が亡くなった7年前に、祖母が大切に育てていた「我が家の宝物」でもある「ぬか床」を受け継いだことです。

私の母がぬか漬けをやらないというので…ばあちゃん子だった私は、ここぞとばかりに床分け(※)をしてもらいました。それを地元の宮城から東京に持ち帰り、「大切に育てよう!ばあちゃんの味をまた食べられる!」と思ったのですが…そこからは失敗とチャレンジの繰り返し!

※床分け:ぬか床を分けてもらうこと。発酵が促進され、より深い味わいになります。昔は地域交流の一環として、ご近所さんらとぬか床を分け合ったり、交換したりすることがよく行われていたそうです。

そう、ぬか床は「生き物」なんです。その土地の温度や湿度、かき混ぜる人によってもまったく味が変わるということを初めて知ったのです。「うわ~、ばあちゃんが元気なうちにちゃんと聞いておけば良かった~」と、当時は後悔ばかりしていました。「なんでこんなに水が出るんだろう?」「なんで変なにおいになるんだろう?」「じゃあ、これを入れてみよう」と、試行錯誤の連続だったんです。

ぬか床との毎日のコミュニケーションが、
おいしいぬか漬けを生む

幼少期を思い出すと、ばあちゃんは床に這いつくばるように必死で床下にある何かをかき混ぜていました。それがぬか床であることに気付き、「あ、そういうことだったのか!」とピンとくることがたくさん。子供のころ、何気なく見ていた記憶がよみがえってきたのと同時に、「それがぬか漬けをおいしく漬けるための秘訣なのかも!」と思ったのです。

そのばあちゃんの記憶をたどりつつ、自分自身でもいろいろ試しながらあれやこれやとやっているうちに、我が家の「ぬか床」は当時の輝きを取り戻していきました。そんなぬか床の「表情」は、まるでばあちゃんが笑っているよう。だからこそ、毎日私は朝と夜に「おはよう」「おやすみ」などと声をかけ、時に歌ったり、その日の出来事を話して聞かせたりして、ぬか床とコミュニケーションをとりながら、たっぷり愛情を込めてかき混ぜています。

それだけ愛情を注いで育てたぬか床は、きちんと基本さえ押さえれば「種ぬか(※)」としてもしっかりしますので、あとはコツをつかめば、ずっと長く同居人としてともに暮らしていけます。心配しているほど難しいことではなく、料理が苦手な私でさえ続けられることなので、誰にでもできるんですよ!

※種ぬか:ぬか床を作るにあたって元となるぬかのこと

大湯みほ直伝!ぬか床の作り方

それでは、ぬか漬けづくりの基本となる、大湯みほ流のぬか床の作り方をご紹介しましょう。

 

  • [材料]
    炒りぬか400g
    500ml
    食塩大さじ2
    昆布7cm程度
    鷹の爪2本
    捨て野菜(芯・ヘタ・皮・いらない部分であれば何でもいいです)
    ビール大さじ1
  • [作り方]
    1. 炒りぬかに、水を2~3回に分けながら混ぜる。目安として、ぬかが耳たぶくらいの固さになればOKです。
    2. 塩を加え、空気を入れるように下から上へ、ぬかがよく混ざるようにかき混ぜる。
    3.<ポイント!>ぬかにビールを投入。麦芽の酵母が発酵を促進してくれます。

    自分用に買ったビールでOK!

    4. 捨て野菜をぬか床の中心に埋めて「捨て漬け(※)」を行う。

    ※捨て漬け:ぬか床をおいしく発酵させるための大切な作業。捨て野菜は3日ほどで新しい物と交換して、毎日かき混ぜてください。1週間~10日ほどで匂いに変化が出てきたら、おいしく発酵しはじめている状態です。

    大根なら茎の部分を半分~4分の1程度に切って。

    5. ぬか床の表面を平らにならして空気を抜き、旨味を出す昆布と鷹の爪を上にのせたら出来上がり。お好みで、にんにくスライスや生姜、山椒などをいれてもOK。

さあ、野菜を漬けてみましょう!

ぬか床が発酵したら、いよいよ本漬けです。野菜をしっかり塩もみをしてから、余分な塩や水分はしっかりとクッキングペーパーで拭き取り、ぬか床にすっぽりと埋まるように漬けてください。

ぬか床の管理、毎日かき混ぜなくちゃだめ?

直射日光があたらない場所に置き、湿気の多い場所は避けてください。17~25℃が乳酸菌発酵に適しているといわれていますが、タッパーなどの蓋付きの物であれば冷蔵庫管理でもOKです。ただ、なるべく常温に戻して1日1回かき混ぜるようにしてください。

旅行などでどうしても家を数日空けなくてはならず、ぬか床をかき混ぜられないときはどうすればいいのか…気になりますよね?その場合の対処法もお伝えします!

A…2~3日かき混ぜられない場合

2~3日かき混ぜられなかった場合は、その分いつもよりも多めに空気を下から上に入れ、乳酸菌のバランスを整えるようにかき混ぜてあげればOK。

B…1週間~10日以上かき混ぜられない場合

まずは、ぬか床の野菜を全部取り出します。次に、ぬか床を少し持ち上げて、ぬか床の底をテーブル等にトントンと軽く落とす動作を何回か繰り返し、ぬか床内の空気を抜きます。そして、ぬか床の上に空気が入らないようにラップで密封し、チルドルームに保存しておいてください。

C…1ヵ月以上かき混ぜられない場合

Bの工程と途中までは同じです。ラップをするまえに、ぬか床の表面に0.5~1cmほど塩を敷き詰めて、白い絨毯のようにしてください。その上から密封するようにラップをしてから、チルドルームで保存しましょう。

※ぬか床をチルドルームから出す際は、一度常温に戻し、表面の塩の部分はおたまですくって捨て、炒りぬか(生のぬかに熱を加えた物)を少し足してください。

ぬか床には愛情を込めて接しましょう

ぬか漬けは、おいしくて美容・健康にもいい日本の伝統食。お手入れ方法としては、

・水気が出てきたらキッチンペーパーで拭き取る
・毎日、愛情を込めてかき混ぜる

この2つが基本ですので、この機会にぜひチャレンジしてみてください!

次回以降、ぬか漬けの簡単アレンジレシピの紹介に加え、ぬか床をおいしく保つ秘訣など、ぬか漬けにまつわるワンポイントアドバイスも併せて紹介していきますよ!

撮影協力:株式会社オフィスニート

大湯みほ(おおゆみほ)さん

大湯みほ(おおゆみほ)さん

大湯みほ(おおゆみほ)さん

1981年生まれ。お笑いコンビ「チェリー☆パイ」での活動などを経て、祖母のぬか床を受け継いだことをきっかけに「ぬか漬け芸人」「ぬか漬けタレント」として本格的に始動。全国でぬか漬けにまつわるワークショップを開催するほか、テレビやラジオなどのメディアに出演してぬか漬けをPR中。2014年には初の著書「カラダいきいき!におわないぬか漬けレシピ」(SPACE SHOWER BOOKS)を発表している。

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