発酵を学ぶ

発酵食品の底力を知る!
「日本発酵文化協会」の麹教室に潜入

2018/03/01

発酵食品の底力を知る!「日本発酵文化協会」の麹教室に潜入
発酵食品の底力を知る!「日本発酵文化協会」の麹教室に潜入

「発酵マイスター検定制度」を世界で初めて立ち上げた日本発酵文化協会。発酵に関する正しい情報の発信、発酵食の開拓・普及・継承を目指す同協会の発酵教室は、味噌・醤油・甘酒・麹のベーシック講座を軸に、スペシャリストの育成に取り組むほか、発酵を学びたい人たちの交流の場となっています。

日本発酵文化協会の発酵教室についてはこちらをチェック!

そのベーシック講座の中でも、味噌や甘酒、日本酒などを原材料として、日本の食文化を支える「麹」を学ぶ「麹教室」に編集部スタッフが潜入!麹や発酵について学びながら、塩麹を手作りする授業の様子をレポートします。

発酵と麹に関する知識を深める前半戦

ベーシック講座は、発酵マイスターの資格取得希望者のみならず、ちょっと発酵を学びたいという方の単発受講もOKということで、この日は20名ほどが受講していました。女性がメインではありましたが、男性の姿もチラホラ見られます。

この日は発酵プロフェッショナル、発酵マイスターであるハタヤマナツコさんを講師に、講座の前半はテキストを使用しながら発酵や麹の成り立ち・歴史などを体系的に学んでいきます。現在注目を集めている発酵食品や麹ですが、「そもそも発酵とは?」「麹って何?」と素朴な疑問を持っている方も多いはず。この講座では、そういった初心者にも優しくわかりやすく説明してくださいました。

東京・祐天寺にある、古民家風の趣ある建物内で行われました。

麹菌は日本の国菌に定められたすごい菌

微生物の働きによって行われるのが発酵。食材が発酵すると保存性や栄養価がアップするなどの利点があり、日本だけでなく世界中で発酵食品が作られ、独自の文化を築いています。

中でも気候や風土に恵まれた日本は有数の発酵先進国で、日本の発酵に欠かせない物が「麹」。味噌や醤油、酒や酢など日本の伝統的な発酵食品の多くは麹で作られており、麹菌は日本の「国菌」として認定されています。

考えてみれば、日本では麹によってできた食品や調味料を口にしない日はないというほど、とても身近な存在なんですね。

麹菌=人間にとっていいことずくめの「カビ」

麹菌とは「カビ」の一種。熱や乾燥などに弱く、デリケートな性質で、それゆえに海外では作ることが難しいのだとか。ハタヤマ先生がホワイトボードを使って、イラストを用いて麹菌の成り立ちや発酵のメカニズムを詳しく説明してくださいました。

講師のハタヤマナツコ先生。発酵マイスターであるほか、きき酒師でワインエキスパート、
さらにチーズプロフェッショナルでもある、発酵のプロです!

麹とは、蒸した米や麦、大豆などの穀物に麹菌を付着させ、繁殖させた加工品のこと。米麹に豆麹、麦麹などいろいろな種類の麹があり、この麹を作る作業のことを「製麹(せいきく)」と呼ぶそうです。

なお、麹には約100種類の酵素が含まれており、これらの働きによって旨味や甘味が生まれ、さらに麹菌によってアミノ酸やビタミンといった人間にとって有益な栄養素が生み出されているそうです。塩麹に肉や魚を漬け込んだり、野菜につけたりすると、旨味や栄養価がアップするといわれているのはこのためなんですね。まさにいいことずくめ!

麹の成り立ちや発酵のメカニズムもわかったところで、塩麹づくりがますます楽しみになってきました。

さまざまなアレンジが利く塩麹づくりを体験!

講座も終盤に差し掛かり、いよいよ受講者それぞれで塩麹づくりに挑戦です。

材料はいたってシンプル。塩分濃度によって分量は変わりますが、今回は次のとおりに作りました。

・米麹…100g
・塩…28g(塩分濃度12%で作る場合)
・水…100g程度

お好みの塩分濃度に応じて加える塩の量は変わってきますが、作り方も想像以上に簡単。ビニール袋の上から手で米麹をつぶし、容器に入れたら塩と水を加え、蓋をしてシェイクするだけなんです。

徹底的に麹をつぶします!


容器に麹と塩を加えます。


容器に蓋をし、よく振って混ぜます。


よく混ざったら蓋を開けて水を加え、再び蓋をしてさらに振って混ぜます。

「え、これで終わり!?」と確認したくなったほどですが、大切なのはここから。仕込んだ塩麹の素を1日1回、容器ごとよく振り、常温で5〜7日間保存します(※)。そうすると、トロッと熟成した生の塩麹が出来上がるので、気を抜かず「育てていく」ことが肝心なのだそうです。「ペットのようにかわいがりながら育ててほしい」というハタヤマ先生の言葉が印象的でした。

※塩麹の出来上がりまでの日数は、季節や仕込んだ量によって異なります。

自宅に持ち帰り、「おいしくなりますように!」と念じながら1日1回シャカシャカ振るのです。完成した塩麹の使い道は無限大!肉や野菜や魚などさまざまな素材といっしょに食べるほか、和え衣にしたり漬床にしたり、下味をつけるのに使用したり、ドレッシングにしたり…と、ハタヤマ先生のおすすめの簡単レシピも紹介してくださり、完成した塩麹を使うのがますます楽しみになりました。

なお、講座では、豆腐を塩麹に2週間漬けた物、10日間漬けた物を試食させてもらい、より長く漬け込んだほうが塩気もマイルドになることを実感したり、塩麹と人参で作られたドレッシングをお土産にいただいたりもしました。こちらのドレッシングは、塩麹によってまろやかでフルーティーな風味。もちろん、レシピも教えてもらいましたよ!

豆腐の塩麹漬け、漬けた日数違いの物を食べ比べしました。

麹が健康食として注目されている理由に納得!

「アスペルギルス(麹菌のカビの分類)」や「プロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)」など、聞き慣れない用語も出てきましたが、発酵や麹についての理解が深まった2時間ほどの講義は、あっという間に終了。講義が終わったあとも、受講者の方々は熱心にハタヤマ先生へ質問を投げ掛けていました。それぞれの発酵に対する思いが伝わる光景です。

なぜ発酵食品や麹がこれほどの長い歴史の中で廃れず、私たちの生活と密接に関わっているのか、なぜ健康食として注目されているのかが納得できた今回の講義。発酵食品のしくみについて気になっている人は、ぜひこういった講義に参加してみてはいかがでしょうか?

―その後―

「麹教室」で仕込んだ塩麹は、6日間毎日シャカシャカ振り続けて完成しました!

よりトロッとしたテクスチャーに仕上がりました。

切ったトマトにちょっとかけて食べるだけでも嘘みたいに美味。こんなにおいしくいただける上、栄養も豊富だなんて、麹を使用しない手はありません。さすがは古来から日本の食生活を支えてきた麹。ぜひ作ってみてください!

「発酵を学ぶ」の他の記事を読む

To Top

このサイトについて

https://www.marukome.co.jp/marukome_omiso/hakkoubishoku/
お気に入りに登録しました