Facebook Twitter -
素晴らしき、ニッポンの味噌。
味噌料理の専門店「嘗(しょう)」で、
上品な和食を気軽に楽しむ。
2018/04/26
味噌料理の専門店「嘗(しょう)」で、上品な和食を気軽に楽しむ。
素晴らしき、ニッポンの味噌。
2018/04/26
お雑煮に西京漬、賀茂茄子や生麩の田楽、今宮神社門前のあぶり餅、正月の菓子・花びら餅まで、数多くの料理やお菓子に使われる京の白味噌。コクのある味と甘さ、上品な味わいで知られる白味噌専門店『山利商店』の味に惚れ込んだ店主が営む、味噌料理専門店の『嘗(しょう)』にお話を伺いました。
2016年7月、京都御苑からほど近い丸太町通に店を構えた『嘗(しょう)』。店主の河原奈美さんはアパレル業界から転身した経歴の持ち主です。
「中学2年の時に図書室でおでんについて書かれた本を読んで、将来はおでん屋をするって決めたんです。日本の誰もが知っているのに、全国で味が全然違っているでしょう。それが他の料理にはないおもしろさだと。35歳までは好きなことをやって、その後はおでんに人生を捧げようって。でも料理人になるのではなくて、おでんのことは常に頭の片隅に置きながらも、経営と接客を学んで。そんななか出合ったのが『山利商店』の白味噌でした。甘すぎないし、衝撃的なおいしさだったんです」
大豆と米麹を使って作る米味噌のなかでも白味噌は、米麹を贅沢に使い発酵の期間を短くすることで甘く白く仕上げる製法です。多くの料亭や懐石料理店で使われ、愛用する料理人も多い『山利商店』の白味噌は、味わいもひときわ上品な名品として知られています。
「すっかりはまってしまい、店は『山利商店』とおでんの2本柱で始めることになりました」と河原さん。
「京都にありそうでなかったのが味噌料理専門店。麹が生きている味噌はとても身体にいい調味料。海外でも通用する誇りある調味料だから、日本の方はもちろん海外の方にも広く知ってもらえればと思っています」
長年に渡り構想をあたため続けていたおでんは、鰹節と昆布を使った一番出汁と、鶏がらスープを合わせたものが味の基本です。鶏がらスープは白濁するまでしっかり煮出し、漉して透明にしたものを使います。すっと箸が入るまで柔らかく炊いた大根、とろりと黄身が流れる半熟のたまごなどの具材に、一番出汁でのばした白味噌を掛けるのが『 嘗(しょう)』のおでん。味噌を掛けた時にちょうどいい塩梅に仕上がる、控えめさが味の特徴です。関西らしい上品な出汁の風味と、味噌のまろやかさが具材を引き立てています。
おでん以外の料理も、すべて『山利商店』の味噌が使われているのが特徴。運ばれてきた途端に歓声が上がる「嘗のお味噌汁〜カプチーノ仕立て〜」は、半熟卵やあさり、とろろが入った味噌汁に、味噌味の泡を乗せたインパクトのある一品です。ふわふわの泡が食べ終わるまでキープされているのも不思議で、目でも楽しめる驚きの仕掛けとなっています。
まるでコロッケのような見た目の「コロポテ」は、おでんのじゃがいもとたまごをおでん出汁で和え、香ばしく炙ったパン粉を乗せてから味噌ソースを掛けた創作料理です。
ほかにも、田舎味噌で下味をつけた味噌からあげや、味噌で甘みを加えた出汁巻き玉子、バーニャ味噌がアクセントのお野菜バーガーなど、意表をつく味噌料理の数々が揃います。
「私はアイデア担当。割烹出身の料理長が料理に仕上げることで、和食の基礎はきっちり押さえて守っています」と河原さん。
「旬の食材をその時々でというのではなく、あえて定番を用意するのがうちのスタイル。これ食べたいなと思って来てもらった時に、いつも同じ味・料理でお出迎えできればと思います」
料理店の名前には珍しい『 嘗(しょう)』という漢字には「最後の一滴まで味わうという意味もあります。分解すれば口が旨いとも書きますし」と河原さん。
最後のひと口まで味わい尽くしたくなる味噌料理がここにあります。