発酵マイスターに聞く!知って得する発酵豆知識
味噌汁を毎日飲むメリットって?
2019/03/22
味噌汁を毎日飲むメリットって?
発酵マイスターに聞く!知って得する発酵豆知識
2019/03/22
和食の定番であり、日本が誇る健康食の代表格・味噌汁。発酵学の第一人者である小泉武夫先生も「毎日欠かさずに飲んでいる」と語るほど、優れた栄養食であり私たちにとって身近な存在です。では、味噌汁はどんなところがいいのでしょうか?
今回は、味噌汁のメリットや、栄養をより効果的に得る方法、気になる塩分などについて、マルコメ株式会社 広報宣伝課の発酵マイスター・尾田春菜(おだ はるな)が紹介します。
味噌汁が体にいいということは何となく知っていますが、毎日飲むことによるメリットとは、いったいどのようなものなのでしょうか?
「味噌自体の栄養に加え、味噌汁の具材としてさまざまな食品を合わせることで、栄養価をアップさせることができる、というのがひとつの大きなメリットだと思います。野菜や、ワカメなどの海藻類、お肉など、具材のバリエーションはとても豊富。
野菜ひとつとっても、ブロッコリーやアスパラ、トマトなどの洋風野菜を含め、合わないものはほとんどありませんよね。どんな具材でもおいしくしてくれるというのも魅力です」
和食のイメージが強い味噌汁ですが、どんな具材でも◎な懐の深さがあります。合わせる具材によって、摂取できる栄養の種類や健康的な作用が変わってくるという意味では、無限の可能性を秘めた万能な健康食といえますね。
「バターや牛乳、豆乳を入れて洋食と合わせるのもいいですよ。調理がシンプルで楽チンなのも味噌汁のいいところ。食材を煮ようか炒めようかと迷ったときは、味噌汁に入れてしまうというのも手です。具だくさんの味噌汁であれば一汁一菜でもそんなに栄養が偏らないし、何よりいろいろと献立を考えなくていいので気が楽ですよね(笑)。忙しくて食事を作る時間が割けない方にもおすすめです。
ちなみに、野菜を茹でると栄養分が茹で汁に流れてしまうといわれていますが、味噌汁の場合は汁ごといただけるので栄養を丸ごととれるというのもメリットといえるでしょう」
味噌汁=塩分量が多い、そんなイメージを抱いていませんか?特に高血圧などで塩分量に気を使っている人の中には、意識的に味噌汁をあまり飲まないようにしているという声もあります。実際のところ、味噌汁に含まれている塩分量はどの程度気にするべきなのでしょうか?
「味噌汁は、ほかのメニューと比較してもそこまで塩分量の高いものではないんですよ。確かに、味噌自体は10〜13%程度の塩分を含んでいて、そのままたくさん摂取すると塩分過多になってしまいますが、お湯に溶かせば1杯あたり1gちょっとの塩分量になるので、そこまで神経質にならなくてもいいのではないでしょうか。カレーやラーメンなどと比べたら断然低いですし、1日3杯程度の味噌汁であれば問題ないと思います」
塩分はそこまで気にしなくていいというのはうれしい事実ですね。さらに、塩分が気になる人にぜひ知ってもらいたい耳寄りな情報があるそうです。
「とりすぎてしまった塩分の排出を助けてくれる、カリウムという栄養素があるのですが、これは特にワカメやあおさなどの海藻類に多く含まれています。ワカメといえば味噌汁の定番といえる具材。塩分の気になる方は積極的にとるといいですよ。海藻類は乾燥した状態で売られていることが多いので、ちょい足しにも便利ですよね。これからの時期だと、たけのことワカメの味噌汁がおすすめです」
たけのこもカリウムを多く含む食材。普段から意識して、高カリウム食材を定番具材のレパートリーに加えておくと良さそうです。
次に、味噌汁をおいしく作るポイントや、気を付けるべき点について教えてもらいました。
「最も気を付けてほしいのは、味噌汁を沸騰させないということです。味噌の風味は酵母が作り出すアルコールによるもの。ですが、沸騰させることによってアルコールが飛んでしまうと風味が損なわれてしまうんです。ちょうどふつふつと煮立ち始める『煮え花』と呼ばれるタイミングが、火の落とし時。
その後、火を止めてすぐがおいしさのベストタイミングなので、火をかけすぎず、作り置きをせずに飲んでいただくといいと思います。朝ごはんに召し上がる場合は、前の晩に出汁をとって具材を茹でておき、朝は味噌を溶くだけの状態まで準備しておくと調理が楽ですよ」
とはいうものの、少しでも朝はゆっくり寝ていたい、疲れた夜は少しでも早く寝たいというのが忙しい現代人の本音。朝はコーヒー1杯で済ましてしまう、ともすれば朝食抜きで出掛けてしまうという人も多くいます。
「味噌汁1杯分を作るのが面倒、洗い物を増やしたくないという方もいらっしゃいますよね。そんなときは、お湯を入れるだけで完成するだし入り味噌や、味噌玉(※)を作っておくのもいいと思います。ワカメやねぎなどの乾燥具材をいくつか常備しておけば、具材のバリエーションも増えますし、お湯を入れるだけでOKの便利な味噌加工品も豊富に市販されていますから、そういった物を利用するといいと思いますよ」
※味噌玉の作り方はこちら
アウトドアでも味噌汁を楽しもう!
(左)インスタントの「お徳用 料亭の味 あおさみそ汁」、(右)だし入りで液体タイプの味噌「液みそ 料亭の味」。いずれも、お湯を注ぐだけで味噌汁が出来上がる!
これまで、1杯のコーヒーで朝食を済ましていたなら、1杯の味噌汁に変えてみると栄養のバランスが良くなりそうですね。なお、「一人暮らしだったり、外食の機会が多かったりなど、味噌をそんなに使わない場合は、冷凍庫で保存するのがおすすめ」とのこと。特に、温度の高い夏は味噌が褐色に変色し、風味が変わってしまう可能性が高いので気を使いましょう。褐色化しても栄養面には問題ありませんが、やはりおいしさを損なってしまうので注意です。
具材や献立を選ばず、手軽に調理できるマルチな健康食・味噌汁。上手に付き合っていくことで、より健康的な生活を目指していきましょう。
出典元:みそ健康づくり委員会
発酵マイスター
発酵マイスター
マルコメ株式会社広報宣伝課所属。
発酵マイスターに加えてジュニアソイフードマイスターの資格を持ち、発酵食品関連のイベントなどにも多く登壇している。