発酵に恋して。
元フェアリージャパン・畠山愛理さんが語る、
美しさを保つ食事の魔法
2019/06/27
発酵に恋して。
2019/06/27
美を競う競技でもある新体操選手として、現役時代は演技のみならず、見た目の美しさもキープすることの努力も重ねていた畠山愛理さん。しかし、引退直後は、それまでの生活から大きく変化したことで、体型も変わってしまったといいます。
ですが、現在は体重も現役時代のころと同じくらいまで戻り、キャスターやモデルなど活躍の幅を広げていることで、美しさにも磨きがかかっているよう。その秘訣を「食事のおかげ」と話す畠山さんに、普段の食事で気を付けていること、さらにはアスリート時代の経験から学んだ食の大切さについて教えていただきました。
現役時代は1日8時間以上の練習をこなしていたという畠山さん。新体操というと、体型維持のために食事を制限する印象がありますが、当時の食事はどのようなものだったのでしょうか。
「現役時代は、1年の半分はロシアでの合宿、もう半分は味の素ナショナルトレーニングセンターという、さまざまな競技のトップアスリートたちが集まる合宿センターで過ごす生活でした。
日々ハードな練習をこなしているので、皆さんが想像するよりもしっかり食べていたんですよ。ただ、食事の質にはすごく気を付けていて。量は多めでも、例えば油っぽいものは控えるとか、夜ご飯のときは脂質の少ない鶏のささみやむね肉にするといった感じです。
また、おなかの調子を整えるために納豆やキムチといった発酵食品も意識してとるようにしていました。ロシアに行くときは日本食が恋しくなるので、お味噌汁も必ず持って行きましたね」
そして、2016年のリオデジャネイロオリンピック後に現役を引退。すると、こんな変化が畠山さんの体に起こったそうです。
「だるかったり、体がむくんだりなど、体の不調が続きました。1日8時間の練習がなくなって、それまでの生活リズムから変化したからというのもあると思いますが、今振り返ると、引退直後は食事のバランスが現役時代と比べて崩れていたんですよね。
仕事で夜遅くなったときはあまり食べずに寝ちゃったこともありましたし、食べたら太るんじゃないかという恐怖もあって食事そのものの量も減り、質も良くなかったと思います。それによって体はむくみ始めるし、体重も7kgほど増えてしまったんです」
当時は、取材などで試合会場や練習場に顔を出すと、コーチから開口一番「太ったわね」と言われるほどだったそう。体の不調に加え、そうした周囲からの声がきっかけで、畠山さんは食事のとり方を見直すことにしたといいます。
「現役のころから、発酵食品は自分に合っていると感じていた」という畠山さん。一番の悩みだったむくみを改善するにあたって、最初に取り入れたのも発酵食品でした。
「引退後は実家に戻っていたのですが、母親が毎朝甘酒を使ったスムージーを作っていたんです。お酒を飲めない私は(『酒』とついている)甘酒も飲めないだろうと、ずっと避けていて。でも、米麹の甘酒って、アルコールは入ってないんですよね(笑)。
それで試しに飲んでみたら、すごくおいしくて。しかも、時間がないときでも手軽にスッと飲めるのもいいですよね。甘酒って『飲む点滴』や『飲む美容液』といわれますけど、甘酒を日常的に飲むようになったからか、おなかの調子が良くなってきたんです。しかも、肌の調子も良くなってきて。
やっぱり、腸のめぐりが悪いと、体調が悪くなるんですよね。そういった不調が、甘酒をはじめとする発酵商品を意識してとるようになってから、改善されたような気がします」
こうした経験から改めて食の大切さに気付いた畠山さんですが、実は現役時代にも食の力に助けられた出来事があったそうです。
「私は中学1年生のときに、鉄欠乏性貧血になったことがあって。階段も上れないくらい症状が重かったんですね。それをきっかけに鉄分のことを勉強して、鉄分の多い食材を食べるようにしたり、より体に吸収されやすい食べ方にしたりするようにしたら、みるみる改善していったんです。貧血になる前よりも断然バテずに練習がこなせるようになったし、それによって練習の質も変わりました」
みずからの食を見直したことで、引退後に増えた体重も元に戻ったという畠山さんは、現在「アスリートフードマイスター」の資格取得を目指して勉強中とのこと。そこには、こんな思いがあるといいます。
「私自身が食の大切さを実感している今思うのは、アスリートを指導する方たちは、その競技のことだけ教えるのではなく、食事のこともちゃんと教えてあげたほうがいいということです。新体操の場合、かつては食事を制限されることもあって、多くの女性競技者は月経が来ないことに悩んでいたりするんですよね。
でも、思春期の女の子が女性らしい体に変化していくことは当然のこと。そのときに、ただ食事を制限することだけをしいられていたら、体に良くないのはもちろん、練習の質も落ちるし、逆にストレスで食欲が抑えられないなどの悪循環に陥ってしまいます。そうならないためには、小さいころからバランスよく食べ、しっかり動くというサイクルを作っておくことが大切だと思うんです」
アスリートフードマイスターの資格取得を目指しているのには、もうひとつ、こんな願いも。
「アスリートにとって一番つらいのは、ケガなどで自分の好きなスポーツができなくなることなんです。それを避けるためには、まず体づくりをきちんとしておくことが大切。選手にとってバランスのいい食事というのは、好きなスポーツを長くやり続けられることにもつながってくると思うんですよね」
そう言って、「私ももっと早く食の大切さに気付いていれば良かったんですけど(笑)」と笑う畠山さん。とはいえ、食を通して伝えたいことは、アスリートに向けたものだけではありません。
「女性の場合、ダイエットをしている方も多いと思うんですけど、そのときも食べないでやせるとか、何かを抜いてやせるとかではなく、食事の質を見直してほしいと思います。食べないダイエットはリバウンドもしやすいですし、栄養が不足して肌もボロボロになったりして、やせられたとしてもきれいではなかったりしますから。
なので、それこそ甘酒などの発酵食品を上手に取り入れて、体の中から美しくやせることを目標にしてほしいですね」
1994年生まれ。新体操選手として、2012年のロンドンオリンピック、2016年のリオデジャネイロオリンピックに日本代表として出場。リオ五輪後に現役引退。現在は、スポーツキャスターやモデルを務めるほか、バラエティー番組への出演など幅広く活躍中。