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ヘルシーフード探訪
月曜日はおいしいビーガンランチを食べに
東京都庁の職員食堂へ行こう!
2019/08/22
ヘルシーフード探訪
2019/08/22
近年、世界のベジタリアン、ビーガンが増加傾向にあり、ベジタリアン食品市場は年々拡大していると言われています。ベジタリアンとは、肉や魚などを食べない菜食主義の人、ビーガンとは肉・魚に加えて卵や乳製品なども口にしない完全菜食主義の人を意味します。海外では、ベジタリアン・ビーガン人口増加の流れを受け、ハンバーガーチェーンが植物性タンパク質を用いたハンバーガーをこぞって発売。食肉売り場に植物性タンパク質を用いた“フェイクミート”が並ぶなど、今やベジタリアン・ビーガンは、ひとつのライフスタイルとして一般化し、定着しつつあります。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えた日本にもその流れがやってきていると言われていますが、今回はそうした事例のひとつ、東京都庁の職員食堂で提供されているビーガンメニューについてお話を伺いました。
ベジタリアンやビーガンを選択する理由はさまざまですが、大きくは「宗教」「健康」「動物愛護」「環境問題」などが主な理由として挙げられます。なかでも欧米の「環境問題」への意識は高く、畜産物1kgの生産に、その何倍もの穀物を家畜に与える必要があり、人が直接食べるよりも多くの穀物が必要だという食物問題を背景とした環境保護の理由から、ベジタリアン・ビーガンを選択する人が増加。基本的にはベジタリアンでありながら、時には肉や魚も食べる「フレキシタリアン」と呼ばれる人も現れ、2014年にオックスフォード辞典にもこの言葉が追加されるなど、耳にする機会が増えています。
そうした流れのなか、週1日だけでもお肉を食べない日をつくろうという運動が世界各所で広がっています。そのひとつが、ミュージシャンのポール・マッカートニー氏が提唱する「ミートフリーマンデー」です。これは地球環境や、健康への意識から「月曜日はお肉を食べない日にしよう」と呼びかけたもの。ニューヨーク市の公立学校の給食などでも採用されています。
東京都庁の職員食堂でも、2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、誰もが「食」の多様性を尊重し、楽しむことができるよう、2018年10月から月曜日のみビーガンメニューが提供されています。
ビーガンメニューが提供されている東京都庁第一本庁舎32階にある職員食堂は、職員だけでなく一般客にも開放されたカフェテリア&食堂です。取材したこの日はあいにくの天気でしたが、32階という立地から、眺望を楽しめることでも知られています。2018年10月にリニューアルオープンしたばかりということもあり、店内は真新しく、中央のエリアではコーヒーやパンを購入できるほか、南北エリアには麺類や定食などさまざまなメニューがあり、多くのお客様で賑わっています。ビーガンメニューもリニューアルと同じタイミングでメニューに加わりました。
毎週月曜日に提供されるビーガンメニューの監修などを行う栄養士の雨森裕子さんは、「ビーガンメニューをオーダーしてくださるお客様は、ビーガンの方に限らず、ヘルシーなお料理を求める方が多いようです。月曜日以外は、『ヘルシーランチ』を注文してくださる女性が、月曜日はビーガンメニューを選択されることも多いようですね。また、外国のお客様のご利用や、月曜日には『今日もまだありますか?』とビーガンメニューを目指してきてくださるお客様もいらっしゃいます。いろいろなお客様がオーダーしてくださるので、植物性の食材だけでつくるお料理であっても、おいしく、食べごたえのあるメニューになるよう気を配っています」とお話しくださいました。
この日のビーガンメニューは、『ソイミートのキーマカレー』。雨森さんの言葉通り、麦ごはん、野菜だしのスープ、サラダもセットになった、ボリュームたっぷりの定食です。
「市販のソースには乳製品が使われていることが多いため、ビーガンメニューの場合、市販品を使わず手づくりでソースやタレなどをつくることが多いです。今日のキーマカレーの場合は、通常カレーなどに入るバターなどを用いずにつくるため、ガラムマサラなどのスパイスを効かせてコクを出したり、豆を加えてボリューム感をアップさせるなど、おいしいカレーになるようにと考えました。また、よく噛むことで満腹感を得ることができるため、レンコン、ゴボウなどの根菜類を用いるのも、ビーガンメニューを満足度の高いメニューにする工夫ですね」
また、ソイミート(大豆ミート)を利用する機会が増えたと言います。
「ビーガンメニューの中で人気があるのは、『回鍋肉(ホイコウロウ)』『油淋鶏(ユーリンチー)』『しょうが焼き』『キーマカレー』といった、ビーガンメニューでなくても人気のある料理。ミンチ、ブロック、スライスなど形状の違うソイミート(大豆ミート)が手に入るようになったため、お肉をソイミートに置き換えることができるようになり、料理のバリエーションが増えました」
月曜日以外にも、海藻サラダやレンコンの酢漬け、ピクルスといったビーガンメニューの小鉢が、用意されており、ビーガンの方もそうでない方も、定食などに一品加える姿をよく見かけるようです。
「ビーガンメニューとカテゴライズしてはいますが、どんな人にとってもおいしく、ヘルシーな料理になるよう工夫しています。都庁近くにお越しになった方は、ぜひこの食堂に立ち寄って、ビーガンメニューをたべていただけたらうれしいですね」
お問い合わせ
(一財)東京都人材支援事業団業務部管理課 食堂売店担当
電話 03-5320-7392