発酵を訪ねる

体の中から温まる!
具材やつけだれに発酵食材を活用した発酵鍋とは?

2020/03/05

体の中から温まる! 具材やつけだれに発酵食材を活用した発酵鍋とは?
体の中から温まる! 具材やつけだれに発酵食材を活用した発酵鍋とは?

食生活の改善や腸活、手作り味噌など、近年のブームを受け、大手グルメ情報検索サイト「ぐるなび」でも、キーワード検索数がこの2年で4.5倍になっているという「発酵」。その結果、2019年のトレンドとして、発酵をテーマにした「発酵鍋グランプリ」が開催されました。

このコンテストにおいて、「発酵美食で賞」をはじめとする3部門に入賞したのが、「めり乃 秋葉原本店」が提案した「腸活“発酵鍋”!甘酒チーズラムしゃぶ」です。さまざまな発酵食品が織りなす味わいはもちろん、見た目も美しい発酵鍋の魅力について、その開発秘話やこだわり、自宅で楽しむ食べ方について、総料理長の伊藤圭一さんに伺いました。

試行錯誤の末に見つけたのは
「糀甘酒」

元々、中華料理の料理人出身という総料理長の伊藤圭一さん。そのため、発酵鍋というキーワードから、最初は中華食材を使った鍋を考えたそうです。

「中華食材にも豆板醤や甜麺醤といった、発酵食品がたくさんあるんです。まずは、いろいろな中華食材を買い込んで試作をしてみました。しかし、いずれも食材の味が強く、日本人好みの味わいに仕上がらなかったんです」

いきなり壁にぶつかってしまった伊藤さん。そこで、再び一から考え直したときにキーとなった食材が、糀甘酒とヨーグルトだったそうです。

メニュー開発中の食事は、ほとんど鍋だったという総料理長の伊藤さん。

「『日本人が好む発酵の味とは?』という視点で、改めて考え直しました。当店にいらっしゃるお客様は女性が多いこともあり、女性の方に興味を持ってもらえる、食べてみたいなと思ってもらえる鍋を、意識しました。改めてさまざまな食材を組み合わせて、20種類くらいの鍋を作って食べ比べた中で、これだと思った食材が、糀甘酒とヨーグルトの組み合わせだったんです。さらに、パルメザンチーズとカマンベールチーズという2種類のチーズを加えることで、より女性に喜んでいただける味を発見しました」

これら3つの発酵食品は、どれも私たちにとってなじみ深いものですが、一般的に温めるイメージがないヨーグルトを鍋に入れるという発想には驚きを隠せません。

「そこは自分の中でもひとつの挑戦でした。多くのお客様においしく召し上がっていただくために、普段からあまり突飛なメニューは開発しないようにしているのですが、一方で、皆さんが考えつかないもの、お金を払ってでも食べたいと思う非日常的なものをご提案することも、僕ら飲食店の役目だと思うんです。普通やらない調理法にしてみたらどうなるかという、答えを探してみたかった。開発を進めた裏には、そのような個人的関心も強くありました」

糀甘酒の優しい甘みとヨーグルトの酸味に、チーズのコクが加わったまろやかな味わいは、乳製品特有の癖を感じさせません。思った以上にあっさりとしていて、ラム肉や牛タンとの相性もぴったり。箸が止まらないおいしさに仕上がっています。

お肉をお替わりすると、卓上の羊や牛のフィギュアが増えていくというめり乃のシステム。

つけだれや調味料で最後まで
飽きのこない味わいに

いくらでも食べられる「腸活“発酵鍋”!甘酒チーズラムしゃぶ」セット(写真は2人前)。

つけだれにも、こだわりの発酵食材が使われているところもこの鍋のポイント。

「発酵鍋専用のつけだれは、ヨーグルトと胡麻だれ、麹味噌を使って作りました。スープでしゃぶしゃぶしただけでも十分おいしく召し上がっていただけるのですが、味の変化や、奥深さを出すにはどうしたらいいかと考案したのが、この特製のつけだれです。さらに、辛さが欲しいという方には塩麹とコチュジャン、豆板醤、麹味噌で作った『ピリ辛麹醤』をアクセントにしていただくのもおすすめです。そして最後のシメには、納豆とキムチうどんをお出ししています」

シメは納豆とキムチ、うどんで決まり!最後まで発酵を味わい尽くすことができる。

まさに、「発酵鍋」という名にふさわしい一品。グランプリ各賞の選定に携わった、マルコメ株式会社の広報担当・多和彩織によると、「糀甘酒やチーズ、ヨーグルトといった多くの発酵食品の組み合わせがすばらしいということに加え、見た目の美しさとネーミングも女性ウケしそう」と、総合的に評価された上での受賞だったそうです。

「運ばれてきた後に、蓋を開けたときのインパクトっていうのも、お鍋を楽しむ醍醐味だと思うんです。そのため、見た目に関してもこだわりたいと思い、たくさんのお鍋を食べに行って研究しました。とはいえ、このスープに入っているねぎやレモンも、ただの飾りというわけではないんです。ねぎは薬味として、レモンもスープの甘みを緩和するという意味で、重要な役割を果たしています」

発酵鍋を自宅で手軽に
再現するには?

総料理長・伊藤さんのこだわりと工夫が詰まった発酵鍋。「めり乃」だからこそ味わえるといっても過言ではない「腸活“発酵鍋”!甘酒チーズラムしゃぶ」ですが、思えば糀甘酒もヨーグルトもチーズもスーパーなど、身近なところで入手できる食材です。「自宅でも再現したい」と考える方のために、家庭で作るときのコツを教えていただきました。

「まったく同じ味にするのは難しいかもしれませんが、昆布だしに、糀甘酒、ヨーグルト、チーズといった3つの発酵食品を加えることでベースの味を作ることができます。ラム肉や牛タンの代わりに、鶏肉や豚肉を入れてももちろんOK。具材もお好みで構いませんが、最初に野菜やきのこをスープに入れて煮込むと、それらのだしによってより深い味わいになるので、おすすめです。ぜひご家庭でも発酵鍋を試してみてください」

「めり乃」では、季節ごとに新しいメニューを提案しています。その、いずれにも力を注いでいることはもちろん、ここでしか食べられない味を目指して開発を続けているそうです。
今回ご紹介した発酵鍋は、20203月末までの限定メニューとなりますので、気になった方はお早めに!

めり乃 秋葉原本店

めり乃 秋葉原本店

住所:
東京都千代田区神田佐久間町2-11 JD秋葉原ビル1F
TEL:
03-5829-4088
営業時間:
月~金 15:00~23:00(L.O. 22:30)/
 土日祝 11:00~23:00(L.O. 22:30)
定休日:
元旦

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