発酵を訪ねる
東京・神楽坂から甘酒の魅力を発信!
甘酒専門店「のレン MURO」の心意気
2020/03/19
発酵を訪ねる
2020/03/19
近年では、「飲む点滴」ともいわれ、女性を中心にその作用に注目を集めている麹甘酒。しかし、「アルコールが入っているのでは?」「なんだか飲みにくそう」といったイメージもまだまだ根強く、「興味はあっても、飲んだことはない」という方も多いのではないでしょうか。
「のレン MURO 神楽坂店」は、「甘酒を通じて、心身ともに人々の健やかな毎日に貢献する」をコンセプトに、2017年11月にオープン。北海道から沖縄まで全国各地から選りすぐりの甘酒を扱う、全国でも珍しい甘酒専門店です。
今回は、「のレン MURO」のこだわりのほか、麹甘酒の魅力、初心者でも飲みやすい麹甘酒の選び方、飲む際の注意点について、発酵マイスターの資格を持つ、店長の高瀬真由美さんに教えていただきました。
江戸時代には夏バテを防ぐ飲み物として、広く庶民に愛されていたという甘酒。現在、日本全国で作られている甘酒の種類は500とも1,000ともいわれているそうです。
「のレン MURO」では、その中から選りすぐりの約90種類を常時販売。店頭に並ぶ商品はすべて、スタッフが実際に飲んで、味を確かめた麹甘酒のみを取り扱っているのだとか。
「お米と麹だけで作られた麹甘酒だけをそろえています。使われている材料はすべて国産で、できるだけ無添加であることにこだわってセレクトしています。麹甘酒はアルコールが入っていませんので、小さなお子さんから年配の方まで、安心して飲んでいただけるのが魅力。そういった意味でも、素材には気をつけています」
お店がオープンしてから2年、毎日甘酒を飲んでいるという店長の高瀬さんも、その効果を実感しているといいます。
「甘酒を飲むようになってから、おなかの調子が整ったり、風邪を引かなくなったりといった体調の変化を感じるようになりました。でもそれ以上に、おいしくて手軽に飲めるところが気に入っています。発酵食品が体にいいということはわかっていても、毎日続けて摂取することは意外と難しいと思うのですが、甘酒は習慣として続けやすいんです。私自身も実感してきましたので、そこも含めて訪れる方たちには甘酒の魅力をお伝えしていきたいと思っています」
近年の発酵ブームによって、身近な存在となったように思える甘酒ですが、高瀬さんによると「興味はあるけど飲んだことはないという方も、まだまだ多くいらっしゃいます」とのこと。
「お店で試飲をしていただくと、『思っていたよりもおいしい!』と、皆さん驚かれるんです。そういった声を聞くたびに、興味はあったけれど一歩踏み出せていなかったという方たちの、背中を押すお手伝いができているのかなと思います」
とはいえ、一口に甘酒といっても、銘柄ごとにまったく味が異なります。90種類もある中から、どのようにして一人ひとりに合う甘酒を紹介しているのでしょうか。
「スタッフがお客様の好みを細かく伺いながら、ご提案するようにしています。甘酒にもいろいろなタイプがあるので、味の好み以外にも、お米の粒感があるほうがいいかどうか、濃縮タイプとストレートタイプではどちらが飲みやすいかといったことをヒアリングします。また、ほとんどの商品には、スタッフお手製の味の特徴を5段階で表記したポップをつけていますので、そちらもご購入の参考にしていただければと思います」
甘酒の材料はお米と麹。しかし、使用する素材によって味にそれぞれの特徴が生まれます。
「お米といっても白米のほか、玄米、酒米、雑穀米、古代米があります。白米の中でも餅米を使った物は甘さが強くなりますし、玄米の場合はあっさりしていて香ばしいという特徴があります。さらに、麹の種類でいうと、白麹や黒麹を使った物はクエン酸が含まれているため、酸味を感じる味わいになります。
最近では乳酸菌を加えたものや、フルーツ果汁を加えた甘酒も増えてきました。乳酸菌入りはさらっとした味わいで、フルーツ果汁入りは、いい意味で甘酒っぽくないので、甘酒にあまりなじみがない方でも飲みやすいと思います」
神楽坂という場所柄、「のレン MURO」を訪れるお客様は、地元の方から外国人観光客まで、老若男女さまざま。自分用に探しに来る方はもちろん、贈り物として選ばれる方も多いのだとか。
中でも特に人気の高い商品、ベスト3を教えていただきました。
・神楽坂甘酒
「神楽坂甘酒は、当店のオリジナル。大分県の酒蔵で造られる酒米を使った甘酒で、砂糖や添加物不使用のため自然な甘みがありながら、スッキリとした味わいを楽しんでいただけるバランスのいい仕上がりです」
・乳酸菌甘酒「白神さらら」
「白神山地から生まれた植物性の乳酸菌と、あきたこまちのお米と米麹を使用し、名水・白神山水で仕込んだ甘酒です。飲むヨーグルトのような程良い酸味で、甘さも控えめなので、女性だけでなく男性の方からも飲みやすいと評判です」
・大吟醸米麹甘酒 健美のしずく
「昨年10月に収穫した新米を、大吟醸という名のとおり50%まで精米したものが使われています。でんぷん質の多いお米の芯の部分から作られているので、かなり甘みがありますが、雑味がなくてスッキリとした味わいです。ここまで磨いたお米を使っているのは、数ある甘酒の中でも珍しいと思います」
健康に一役買ってくれるとされる甘酒。その作用を十分に得るためには、どのような飲み方がおすすめなのでしょうか。
「甘酒に、こう飲まなければいけないというものはありません。ただ、お米の糖質が入っていますので、飲み過ぎには注意が必要です。体にいいからと一度に大量に飲むのではなく、1日あたり150〜200mlを目安に毎日継続することが大切です」
お店では、今後もいろいろな試みを計画中と話す高瀬さん。
「昨年夏に開催した、全国各地の甘酒を無料でご試飲していただく『利き甘酒まつり』は大変ご好評をいただきました。ほかにも、小規模ながら月に1度、メーカーさんや蔵元さんを招いての試飲会などを開催しています。甘酒や麹という、日本人の身近にありながらも、あまり知られていない文化をもっともっと知っていただくために、ここ『のレン MURO』が貢献できたらうれしいですね」