暮らしの中の、小さな知恵

アウトドアのプロ直伝!
マンネリ料理からの脱却に「発酵BBQメシ」

2020/07/09

年間を通して人気の外遊びといえばバーベキュー。家族や友人とともに、自然いっぱいの環境や屋外で楽しめるバーベキューは、格別の味わい!食材を焼くだけという手軽さも魅力です。
しかし、「焼きすぎて硬くなったお肉や焦げた野菜の味がいまいち」「いつも結局、同じような味になってしまう」といった不満を感じている人も多いのではないでしょうか。雰囲気で味わうバーベキューもいいけれど、せっかくなら本当においしい「BBQメシ」を簡単に楽しみたいですよね。

そこで今回は、アウトドアをコンセプトにした東京・水道橋のカフェ「BASE CAMP」の店主で、アウトドアと食を結ぶ、遊びのプロフェッショナルであるA-suke(エースケ)さんに、バーベキューのコツを教えていただきました。マンネリ脱却のカギは、「発酵」にあるようです。

お肉は「発酵漬け込み」で
ワンランクアップ

肉や野菜を焼いて、市販の焼肉のタレで食べ、最後は焼きそばでしめるというのは、一般的なバーベキューの定番。とはいえ、毎回同じようなメニューでは、出発前から料理に対する期待値が下がってしまう場合もあります。
また、バーベキュー用の食材は、量を優先するあまり、質がおざなりになりがち。満腹にはなってもどこか満足できないのは、そのあたりに理由があるのかもしれません。

「料理やお酒が現地で不足する事態を避けるために、質より量の買い出しになるのはよくあることです。でも、それなりの質のお肉を、火がしっかり通るまで(焦げぎみに)焼いて、いつもと同じタレで食べていたら、最初はいいけれど、最後はいまいちな感じになるのは当然ですよね。
もちろん、参加者全員がおなかいっぱいになるだけの量を準備しておく必要はありますが、マンネリを防ぐには、少し上質な食材でアクセントを加えるといいですよ。例えば、いつものお肉の合間に牛肉の良い部位を挟むといった『特別感』を用意しておくだけで、最終的な満足度が違います」(A-sukeさん)

さらに、「バーベキューは発酵が大きなカギ。焼いた肉をタレにつけて食べるのではなく、発酵調味料を使った漬けダレに漬け込んだ肉を焼くのがおすすめです」とA-sukeさん。
漬けダレに発酵調味料を使うことで、いつものお肉でも、格段においしくなるそうです。

東京・水道橋のカフェ「BASE CAMP」の店主、A-suke(エースケ)さん。

「味噌や塩麹、醤油麹などの発酵調味料に漬け込むと、発酵調味料に含まれるたんぱく質分解酵素の作用でお肉が柔らかくなり、旨みがアップします。お肉の腐敗を遅らせてくれるので、食材の傷みが気になる暑い夏にも便利です。豚肉なら、肩ロースの塊肉を5mmから1cmくらいの厚さに切って、漬け込みましょう」

発酵調味料のほかにも、パイナップルやマンゴーなどのフルーツジュース、ドレッシングなど、さまざまな味のタレに漬けたお肉を用意しておくと、最後までバーベキューを飽きずに楽しめるそうです。
買い出しの際には、特別な食材の用意と、漬け込み調味料をどれにするかを考えることからスタートしてみるのも、おもしろいかもしれません。

そして、いつもとは違う味をバーベキューで楽しみたいという人のために、A-sukeさんが手軽に作れる発酵BBQメシ「漬け込みタンドリーチキン」の作り方を教えてくれました。

漬け込みタンドリーチキン

  • [材料]
    鶏もも肉1枚
  • (a)
    ヨーグルト500g
    カレー粉20g
    10g
    にんにく、しょうがチューブ3cm程度
    ケチャップ50g
    レモン汁大さじ1
  • [作り方]
    1. 鶏もも肉は、余分な脂肪や小骨、軟骨などを取り除く。縮むのを防ぎ、味を染み込みやすくするため、包丁の先やフォークなどで全体にプスプスと穴を開けておく。
    2. (a)を混ぜ合わせ、(1)といっしょに口の閉まる保存袋などに入れて1晩漬け込む。
    3. 漬け込みダレを軽く落として焼く。

「焦げやすいので様子を見ながら焼いてください。タンドリーチキンというと鶏胸肉で作るイメージですが、僕はいつもジューシーな鶏もも肉で作ります。発酵食品のヨーグルトに漬け込むことで、より柔らかくしっとり仕上がりますよ。口の閉まる保存袋などに入れておけば、持ち運びも簡単。帰るときのゴミも最小限で済みます」

野菜は水分を飛ばさずに
調理することが重要

お肉とセットでメインを張る野菜も、バーベキューではつい焦がしてしまい、おいしさが半減してしまうイメージです。

「ちょっと乱暴な言い方ですけど、ただ単に焼いて食べるだけでおいしい野菜って、僕はほとんどないと思っているんです。野菜は無造作に焼くと水分が飛んで、すぐに焦げてしまう。だから、みずみずしさを保てる調理法を選ぶのがポイントです」

野菜をみずみずしい状態で食べるために、A-sukeさんがバーベキューで提案するのは次の3つです。

<野菜をおいしく焼くコツ>
・オリーブオイルなどを塗って焼く
・アルミホイルで包み焼きにする
・ダッチオーブンなどを使って蒸し焼きにする

バーベキュー全体の満足度を考えると、お肉の合間に食べる野菜がおいしいことは、必須条件。
調理法をちょっと工夫するだけで、野菜がパサパサに干からびたり、真っ黒に炭化したりするのを防ぎ、見た目もいい一品に仕上げることができるそうです。

「蒸した野菜はそのまま食べてもおいしいですが、クリーム状のソース、ディップをいっしょに用意しておくと場も華やかになりますし、食が進みますので、ぜひ試してみてください」

続いては、A-sukeさんがおすすめするもうひとつの発酵BBQメシ、「バーニャカウダ風 野菜ディップ」の作り方をご紹介します。

バーニャカウダ風 野菜ディップ

  • [材料]
    お好きな野菜
    にんにく1片
    オリーブオイル大さじ1程度
    アンチョビ2尾程度
    マヨネーズ大さじ3
  • [作り方]
    1. 野菜を蒸す(今回は調理にダッチオーブンを使用)。
    2. オリーブオイルを火にかけ、刻んだにんにくの香りが出てきたら、アンチョビを崩しながらなじませる。
    3. (2)の粗熱を取り、マヨネーズを混ぜる。

「面倒な印象のバーニャカウダも、生クリームの代わりにマヨネーズを使えばOK。発酵したイワシの旨みで、十分濃厚なディップができます。
また、屋外での蒸し料理はハードルが高いと思われがちですが、実は意外と簡単。蒸し器やせいろといった専門の調理器具がなくても、鍋やフライパンに水を張って少し高さのあるお皿やザルに野菜を並べてセットして、蓋をすれば代用できます」

人と人とのつながりこそ、
アウトドアの魅力のひとつ

最後に、A-sukeさんはアウトドアの良さについて、こう話します。

「アウトドアには、キャンプはもちろん、フライフィッシングやハンティングなど、さまざまなものがありますが、それぞれ専門分野や得意分野が違っても、相手をリスペクトできることが魅力です。店には、多くのアウトドア好きの方が来訪されるのですが、まったく違う“好き”が出会って、新しいつながりが生まれていく瞬間に立ち会えるのはうれしいことですね」

A-sukeさんのお店「BASE CAMP」のコンセプトは、アウトドアカフェ。
多趣味なA-sukeさんが「好きなものでつながれる場を作りたい」という思いでオープンしたとあって、多くのアウトドアマスターたちがふらっと訪れては、アウトドア談義を繰り広げているそうです。

お店の入り口横には、A-sukeさんがデザインしたアイテムも含めて、「あるともっと楽しくなる」キャンプグッズがずらり。気になる人はぜひ、お店の扉を叩いてみてください。
そして、この夏一味違ったバーベキューを楽しんでみようかな…と思ったら、「発酵BBQメシ」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

BASE CAMP

住所:
東京都千代田区神田三崎町2-22-8 梨本ビル1F
TEL:
03-5213-4884
営業時間:
火~金
  11:30~15:00(L.O.14:30)、
  17:00~23:30(L.O.22:30)
  土
  17:00~23:30(L.O.22:30)
定休日:
日・月、祝日
URL:
https://www.cafe-basecamp.com/