発酵を訪ねる
発酵の魅力に出合えるテーマパーク
「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」
2020/11/12
発酵を訪ねる
2020/11/12
2020年10月、埼玉県飯能市に発酵のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」がオープンしました。天覧山のふもと、能仁寺敷地内の約3,000坪という広々とした土地に誕生した同施設のコンセプトは、「『OH!!!』と驚くような発酵体験、“食の魔法”を楽しもう!」。
発酵の力を味わい、学び、体感できるという、緑あふれる自然に囲まれた発酵テーマパークを訪ねました。
「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」(以下、OH!!!)を手掛けたのは、漬物メーカーの株式会社ピックルスコーポレーションです。「日本の伝統食品である発酵食品を通じて、現代の暮らしにもなじむライフスタイルを提案したい」という思いから、この「OH!!!」が発案されました。
そして、構想を進める中で、縁あって能仁寺の広い敷地を使用できることに。森林文化都市である飯能市と、500年以上の歴史を持つ能仁寺の荘厳で落ち着きのある雰囲気が発酵のテーマパークにふさわしい場所だと考え、この地でのオープンが決まったそうです。運営する株式会社OHの尾中真二社長は、「発酵食品はまさに食の魔法です!」と語ります。
「微生物の力によって、食材は旨みや甘み、香りが豊かになり、保存性も高まります。そうして生み出された発酵食品は、栄養価が増したり消化吸収を助けたりするほか、腸内環境改善や免疫力向上といった作用も注目されています。
当施設では、おいしくて健康になれる、そんな発酵食品の魅力にふれ、『これも発酵食品なんだ』『発酵すると食物はこんなにおいしくなるんだ』といった、驚きや感動を見つけていただきたいと思っています」
同施設内では、発酵食品を中心としたレストランやカフェ、発酵食品を手作りするワークショップなどを展開。体験を大切にしているのも「OH!!!」の特徴です。
「漬物をはじめ、味噌や醤油などの発酵食品は、スーパーなどでも多く売られています。それをただ買ってきて食べるだけではなく、どうやって作られているのかという過程を知ると、発酵の魅力がより伝わるのではないでしょうか。五感を使って発酵を学べるような、さまざまなワークショップも企画中です。発酵食品がもっと身近になるような提案ができればうれしいですね。発酵食品のすばらしさを、ここ飯能から世界に向けて発信していきたいです」
「OH!!!」には、発酵をテーマにしたレストランやカフェ、全国から厳選した発酵食品を販売するセレクトショップがそろっています。
薪火と発酵のレストラン「Femy_(フェミー)」は、地元飯能市の森林で伐採した間伐材の薪を使用した薪火窯で、香ばしく焼き上げた肉や魚、新鮮な地元野菜を取り入れた創作発酵料理を味わうことができます。
料理長の河合幹雄さんに、店の特徴やコンセプトについて詳しく話を聞きました。
「ドレッシングやデザートに用いる麹ソースをはじめ、調味料もすべて手作りにこだわっています。中でも評判なのは、発酵をキーワードに考案した風味豊かなオリジナルのクラフトコーラです。こちらは、ショウガやバニラ、秩父産の柚子、スダチの皮、黒文字(爪楊枝の材料にもなる。清涼感がありスッとした感じがする)など、20種類以上の素材やスパイスなどをブレンドした発酵ドリンク。白ワインとソーダなどで割ってスプリッツァとして楽しむのもおすすめです」
発酵・熟成といった伝統技法と旬の食材のおいしさを最大限に引き出す調理法で、味はもちろん体にも優しい料理を提供するレストランとして注目です。
また、何種類もの「やさい糀甘酒」が味わえる野菜×乳酸菌×米糀の発酵デリカフェ「Piene Café」や、漬物を中心に、全国各地から選りすぐりの発酵食品が集まるセレクトショップも充実。
ショップ内には、地元・飯能の採れたて野菜や特産品を扱う「飯能マルシェ」のコーナーもあり、広々としたテラス席では、豊かな緑と季節の風を感じながら、くつろぎのひと時を過ごせます。
蔵造りの「パリシャキ研究所」では、発酵にまつわるワークショップやイベントを開催しています。今回、実際に体験したのは、オリジナルの「ご飯がススムキムチ」が作れるワークショップ。工場直送のヤンニョム(韓国語の合わせ調味料の総称)をベースに調味料を足して、世界にひとつだけの自分好みのキムチを作ることができます。
辛味を強くするなら唐辛子、まろやかな甘さを際立たせたいなら梨ペースト、コクを足すなら塩辛など、ブレンドできる調味料は20種類以上。楽しみながらキムチの作り方が学べ、完成したキムチは自分の写真入りラベルを貼ってお土産として持ち帰りも可能です。
ほかにも、味噌の仕込みやぬか床づくりのワークショップ、地元作家によるクラフト教室などを開催予定。坐禅や写経と発酵食品を組み合わせたイベントなど、隣接する能仁寺とのコラボ企画も計画しているそうです。
木々に囲まれ、広場や池もあるパーク内は、散歩をしているだけでもゆったりと心が癒やされます。15分ほど歩けば飯能市のシンボルでもある天覧山の山頂が、道を挟んだすぐ向かいには飯能市中央公園、さらに下ると飯能河原もあり、休日のお出掛けにもピッタリです。
発酵は日本に昔から伝わる先人の知恵。思わず「OH!!!」と驚くような、発酵食品の新たな魅力が発見できるかもしれません。