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発酵を学ぶ
楽しみながら知ってほしい発酵のこと。
子供と学ぶ「発酵絵本」
2021/01/21
発酵を学ぶ
2021/01/21
おいしく食べて、健康にもつながる発酵食品。時代を超えて受け継がれてきた日本の発酵文化を知ることは、そのまま子供の食育にもつながります。
といっても、発酵の仕組みや魅力を子供にわかりやすく伝えるのは至難の業。何からどう伝えていいかわからない…という人も多いでしょう。
そこで、おすすめしたいのが絵本です。親子の絵本タイムに発酵に関する絵本を取り入れて、子供といっしょに楽しく発酵を学んでみませんか?
ここでは、絵本de子育てコーチの大久保徳久子さんに、おすすめの発酵に関する絵本を教えていただきました。
絵本や児童書の編集に30年携わり、現在はフリーランスとして「絵本de子育てコーチ」という肩書で活動する大久保さん。雑誌やウェブサイトで絵本を紹介するほか、絵本のある子育てを応援する親向け講座や、絵本と食をつなげるための親子料理教室、親子野菜作りクラスの運営なども積極的に行っています。
そんな大久保さんにとって、絵本は読む物ではなく、使う物。
絵本は、大人と子供がいっしょに読み合うことで大人発信の一方通行にならず、子供に自分の力で考えさせることができるといいます。
「子供の興味を引き出したいときこそ、絵本がおすすめです。大人が絵本から知識を得ている様子や、「おもしろ~い!」と心躍らせている姿を見せるだけで、子供は自然と絵本の世界に引き込まれていきます。さまざまな分野の絵本がありますので、教えたい、知ってほしい分野の足がかりとしても活躍するのではないでしょうか。発酵にまつわる絵本だけでも、本当にたくさんの種類があるんですよ」
そんな大久保さんセレクトの、発酵に関するおすすめの絵本を見ていきましょう。
おすすめの年齢:年少~(3歳~)
「みそ みそみそ てまえみそ」のキャッチーな歌詞とメロディで味噌づくりの工程を紹介するDVDつき絵本「てまえみそのうた」(農文協)。かわいらしいイラストと、思わずまねしたくなるダンスが子供たちを虜にすること間違いなし!歌って踊っているうちに、いつのまにか味噌の作り方を覚えられるので、親子で味噌づくりをする際には、子供も大きな戦力になってくれるかもしれません。
「妊婦や幼児の親子が参加して味噌づくりをするイベントでも、この絵本を読んでいますが、子供たちに大人気です!最後に写真入りのレシピもついていますので、ご家庭でも歌いながら味噌づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか」
おすすめの年齢:年中~年長(4~6歳)
子供にとってとても親しみのある飲み物、牛乳。「ぎゅうにゅうだいへんしん!」(ひさかたチャイルド)では、白くておいしい牛乳が、クリームやバター、チーズへと形を変えて乳製品になる様子を、写真つきで順を追って詳しく紹介しています。
「身近な食品のルーツを学びながら、さりげなく発酵にふれられる一冊です。いつも食べている物は何からできているだろうと、食品に興味を持つきっかけにもなります」
おすすめの年齢:年長~小学校低学年(6~8歳)
発酵学の第一人者、小泉武夫先生が監修した写真絵本「しょうたとなっとう」(ポプラ社)。納豆嫌いの子供・しょうたが、おじいちゃんと畑で大豆を育てるところから納豆づくりにチャレンジする様子を、いきいきとした写真で追いかけています。
孫のためなら手間をいとわぬおじいちゃんの無償の愛、手作りの納豆を口に運んだしょうたの表情など、見所はたくさん。「納豆ってこうやってできるんだ!」「大豆ってすごい!」という素朴な発見の連続が楽しい一冊です。
「写真絵本なので、大豆が変身していく過程がリアルにわかるのが魅力です。しょうたに共感しながら読む子供も多いのではないでしょうか。祖父と孫のやりとりに、大人もついついほろりとしてしまいます」
おすすめの年齢:7~10歳
朝鮮半島には、秋の終わりにひと冬分のキムチを漬ける「キムジャン」と呼ばれる行事がある――。
「きょうはソンミのうちでキムチをつけるひ!」(らんか社※現在品切れ。図書館などでご覧ください)は、韓国を代表する発酵食品、キムチを通して、韓国文化にもふれられる絵本です。ソンミのうちと、ソンミのうちの近くに住んでいるネズミさん一家のキムチづくりが同時進行する構成がユニーク。キムチの歴史や種類などを学べる解説ページも、読み応えがあります。
「子供が大人のマネをしたがるのは、日本も韓国も、ネズミさんもいっしょ(笑)。本格的なキムチづくりを楽しく知ることができる、稀有な一冊です。ネズミさんの視点から見た、キムチづくりの世界観をぜひ楽しんでください」
おすすめの年齢:9~12歳
食品加工にまつわる素朴な疑問に対して、「なぜそうなるのか」をわかりやすく教えてくれる「絵本 おもしろふしぎ食べもの加工」シリーズ。その第5弾となる「ぶくぶく発酵するふしぎ」(農文協)は、乳酸菌が作るヨーグルト、麹が作る味噌と醤油、イースト菌が作るパンなどを紹介し、微生物と食べ物との関わりを解説しています。
「ぬか漬けのような発酵食品の基本から、リンゴと砂糖、ドライイーストで作るアップルサイダーなどの変わり種まで、発酵食品が盛りだくさん。『発酵するとなぜぶくぶくするの?』『そもそも発酵って何?』『どうしておいしくなるの?』など、発酵の原理に興味を持ち始めたお子さんにおすすめです」
感受性や想像力、語彙力を育てるといわれる読み聞かせですが、「感情を込めて読むのが苦手…」「子供がなかなか集中してくれない」といった、悩みを持つ母親も多いのではないでしょうか。
「読み聞かせは、親子のコミュニケーションなんですよね。だから、うまくいかないこともありますし、正解があるわけでもありません。子供に声を届けるつもりで、気楽に読みましょう。
また、読み聞かせは字がまだ読めない園児までのものと思われる人も多いようですが、文字が読めるようになっても、親子のお楽しみタイムとして続けて欲しいですね。そして、特に発酵のような知識系の絵本は、親子で実際に発酵食品を作ったり、食べたりすることで、さらに深い興味や好奇心に結びつくので、ぜひ絵本と体験をセットにすることがおすすめです」
また、子供にたくさんの絵本にふれてもらうため、選び方も工夫してほしいと大久保さん。
「つい本屋に陳列されている絵本のラインナップから選びがちですが、実は図書館にしかない本もあるんです。
絵本選びの場所に図書館をプラスすると、選択肢がぐっと広がって、飽きずに読み聞かせを楽しめますよ」
今回ご紹介した絵本のうち、「ぶくぶく発酵するふしぎ」などは、主に図書館などに置いてあるものです。
ぜひ親子で本屋や図書館に足を運んで、読み聞かせを楽しみながら納豆やキムチ、味噌づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
絵本de子育てコーチ。JPIC読書アドバイザー。NPO法人子育てkitchenグループ副理事。「絵本は子供だけでなく、親にとっても子供の好きを見つけられるツールというメリットがあります。絵本のある子育てを、ぜひ多くのご家庭で楽しんでもらいたいですね」。
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