発酵人
料理研究家牛尾理恵さんが実践する、
体も心も整う
“筋トレ”&“菌トレ”ライフ
2022/10/11
発酵人
2022/10/11
「なんだか体が重い」「昔よりやせにくい」「体形が崩れてきた」など、ある年齢を過ぎると、体の変化をじわじわと感じるものです。加齢にはどうせあらがえない、と半ばあきらめぎみの人も多いのではないでしょうか。
料理研究家であり、栄養士の牛尾理恵さんが体づくりに目覚めたのは、40歳目前のこと。筋トレと食事の管理に取り組んで手に入れた人生で最良の体と、体づくりとともに生まれ変わった心、その基礎となる腸活と発酵食品の力について伺いました。
20代、30代と料理の仕事で活躍する一方、体重は確実に増えていったという牛尾さん。39歳のときには、20歳のころよりも 10kgほど増加していました。そんなとき、糖質オフのレシピ本を担当したことが大きな転機に。「このままの体で40歳を迎えたくないという思いが強くなり、本を参考にダイエットを始めたんです」。
仕事上、糖質を完全に制限できないため、夕食だけ糖質制限を行い、ランニングなどの有酸素運動も加えると、徐々に効果が。「8カ月で体重は10kg減り、40歳の誕生日を20歳と同じ体重で迎えることができました」。
運動も食事も習慣になり、42歳でフルマラソンに挑戦するまでに。「もっとできることがある気がして。体重を落とすだけではなく、引き締まったいい体をつくることを目標に、運動と食事を再び見直しました」
運動のメインを、有酸素運動から筋トレに変更。週4〜5日、夜の食事を済ませてから、近所のジムへ。「昼は仕事で家にこもって頭を使うことも多いので、夜に体をしっかり使うと疲れがとれ、すっきりした状態で寝られるのがいいですね」。
体づくり以外にも、筋トレには素晴らしい効果が。筋トレを行うと、“幸せホルモン”とも呼ばれる「セロトニン」が出るため、思考が前向きになったそう。「私は決して、世の中の女性が望むようなスリムさではないですし、モデルのような体形でもありません。しかし、このポジティブホルモンのおかげで、自分の体や自分自身を認めてあげられるようになりました」。
夜にしっかりトレーニングするのが習慣になっている牛尾さんですが、日中も、同じ姿勢を続けて筋肉が凝り固まらないように、合間をみてはストレッチをしているそう。運動が得意でない人にも取り入れやすいおすすめのストレッチを2つ教えていただきました。
一方、食事面でも見直しを。「筋肉の質を高めるためにはたんぱく質だけでなく脂質もとらなければならないし、運動するためには糖質も必要です。回り回って、制限することよりもバランスが大事だと気づきました」。
引き締まった体だけでなく、疲れにくく元気な体も手に入れたいと考えた牛尾さん。日々の食事の中で、良質の栄養をいかに効率的にとるか、工夫する毎日です。「そのために腸活を意識的に始め、発酵食品をよく食べるようになりました」。
発酵食品を積極的にとることは、いわば菌トレ。これなら、誰でも今日からすぐに始められますね。
みそ汁や納豆のような手軽に食べられるものに加え、酒かすや、米麹でつくる自家製甘酒は、もっぱら小腹がすいたときの間食として、日常的によくとるそう。「酒かすと米麹は栄養価が高く、腸内環境を整える、注目のレジスタントプロテインが豊富。お菓子をつまむより断然、体にいいですよ」。
味が決まりやすく、肉や魚などを漬けるとやわらかくなるなど、塩麹やしょうゆ麹は時短レシピの中でも大活躍の発酵食品、と牛尾さん。「ひとつでいくつかの調味料の役割を担い、うまみもあるので重宝します」。自家製の発酵食品も実は漬けておくだけでおいしくできて、簡単、手間いらず。「発酵食品を用いた発酵ごはんは、究極のラクチン料理だと思います」。
『2023年版 主婦の友365日のおかず家計簿』
「健康、節約」に役立つ250レシピ掲載の、ロングセラー家計簿『おかず家計簿』の2023年版が、10月11日に発売。巻頭特集『牛尾理恵さんの季節をめぐる発酵ごはん』では、塩麹や酒かす、甘酒などの発酵食を使ったレシピや自家製発酵食など、36品を紹介。979円(10%税込み)/主婦の友社
料理研究家、フードコーディネーター、栄養士。病院での食事指導、料理研究家のアシスタント、料理専門の制作会社を経て、独立。シンプルで無理なく、ヘルシーかつおいしいレシピに定評がある。著書に『大豆ミートでキレイやせ』(主婦の友社)など多数。