発酵を訪ねる
世界を笑顔にするために
納豆×コーヒー SOYFFEE™の挑戦
2023/01/19
発酵を訪ねる
2023/01/19
古くから日本の食卓に並んできた納豆。朝食として毎日食べるという人も多いでしょう。一方で、独特の匂いを好まない、食べたことがないという声も多く上がる食品です。
日本独特の食文化というイメージも強く、日本にルーツがある人を除けば、海外で口にしたことがある人はとても少ない食品のひとつではないでしょうか。
そんな納豆を次世代納豆として開発し、日本国内はもとより世界に伝えるべく、注目を集めているのがShonan Soy Studioです。代表の小野岡圭太(おのおかけいた)さんと、広報担当の松橋明里(まつはしあかり)さんにお話をうかがいました。
神奈川県の海沿いの街、大磯にShonan Soy Studioのショールームはあります。古民家を素敵にリノベーションしたその場所には、納豆を発酵し調理するためのキッチンがあり、訪れる人が縁側で商品を試食したり購入することができます。
にこやかな笑顔で出迎えてくださった小野岡さんと松橋さんに、まずは商品について教えていただきました。
「Shonan Soy Studioが最初に開発し、商品化したのがSOYFFEETM(ソイフィー)でした。SOYFFEETMは、北海道産特別栽培大豆とラオス産のピュアアラビカコーヒーを用いてつくった納豆です。乾燥大豆にコーヒーを漬け込み、納豆菌で発酵させています。こうすることで、納豆特有の匂いが消えて、納豆が苦手な方や、海外の人にも食べやすい納豆ができました」
学生時代をアメリカのロサンゼルスやニューヨークで過ごしたという小野岡さん。オーガニックスーパーマーケットに並ぶMISOやTOFUと表示された大豆製品は広く認知され、体にいい食品として多くの人が購入していく姿をよく目にしていました。一方、納豆は、高い栄養価に関心が集まるものの、匂いを理由に敬遠する人が多いことに着目。匂いのない納豆ができないかと試行錯誤した結果、SOYFFEETM(ソイフィー)が生まれました。
「どうしたら匂いがなくなるか。紅茶や緑茶、バジルなど、さまざまな食材と掛け合わせて試してみました。そのなかで、納豆に馴染みのない海外の友人らが『おいしい』と言ってくれたのが、コーヒーを用いた納豆だったんです。コーヒーのフレーバーによってスイーツと相性がよく、そのままはもちろんですが、クリームと組み合わせて食べるととてもおいしいです」
そう語る小野岡さんに促され、『SOYFFEETM Original Double』をいただくと、なるほど、粘りは納豆のそれですが、特有の匂いはなく、ほのかに甘みを感じるコーヒーフレーバー。大粒大豆を用いた納豆であることから、豆そのもののおいしさが際立ちます。 “納豆 × コーヒー”という斬新な組み合わせに、口にするまでは味の想像が付きませんでしたが、しっくりと馴染んで、クリームとの相性も抜群です。
「『SOYFFEETM Original Double』に、湘南産の生はちみつを加えた『SOYFFEETM Original Honey』も人気です。甘みが加わって、いろいろなスイーツととても合います。
また、『SOYFFEETM Original Double』をあんこやクリームと組み合わせてシフォンケーキに挟んだり、プリンにトッピングしたスイーツも、週替りで販売しています」
という松橋さんの言葉のとおり、『SOYFFEETM』の控えめな甘さ、ほっくりとした大豆の味わいは、合わせる食材によってさまざまなおいしさを生み出しそうです。
「『SOYFFEETM』は、低温で乾燥させた『SOYFFEETM Roasted』や、パウダー状にした『SOYFFEETM Powder+』としても展開しています。『SOYFFEETM Powder+』には、ヘンプシードやオレガノをミックスした『Veggie Bowl』や、チリパウダーやしいたけ、えごまなどを加えた『Spicy Lover』など、現在6種類のフレーバーがあり、さらに今後新たなフレーバーが加わる予定です。これらは、スープやサラダなど、さまざまなお料理にトッピングして召し上がってください」と小野岡さん。
納豆の匂いが気になる人のための『SOYFFEETM』に対し、納豆の味・風味が好きな人のためのスナック『NATTO JERKY(ナットウジャーキー)』も発売以来、評判の商品です。
「『NATTO JERKY』は、“ヘルシージャンク”なおつまみとして発売しました。味付けした大豆を納豆菌で発酵させ、低温で長時間乾燥させてつくっています。フレーバーは、醤油とペッパーガーリックの2種類。ポテトチップスのようなおつまみの代わりになりつつ、中身は納豆ですので大変ヘルシーです」と、小野岡さん。
ナッツのように手でつまんでいただくと、豆同士はくっついていますが、手につかない程度の粘り気で、味や風味はしっかりと納豆のおいしさです。
「醤油味には、木樽仕込みでコクのある醤油を使っています。特に女性に人気がありますね。一方、ペッパーガーリックは、ガツンとしたガーリック味。男性人気が高く、ビールのおつまみにぴったりです」
そう教えてくださった松橋さんも醤油味がお気に入りとか。いただいてみると、たしかに『NATTO JERKY ショウユ』は、パクパクといくらでも食べ続けたくなる滋味と、癖になる食感が魅力です。
「一般的なスナック菓子100gに比べ脂質は半分以下、タンパク質は約32gと、とても高いんです。原材料も大豆、納豆菌、醤油、粗製糖のみと、とてもシンプル。ビーガンの方やヘルシー志向の方にもよろこんでいただける、プラントベースのジャーキーですので、ギフトやホームパーティなどの手土産に選んでいただくことも多いです」
体にいい食品として知られている納豆。納豆菌が大豆のタンパク質を分解し、アミノ酸を生成することでできる食品です。納豆菌は、腸内で善玉菌として働き、腸の活性化を促進するため、“腸活”に有効な菌です。また、納豆菌に含まれる酵素、ナットウキナーゼは、血液サラサラ効果があることで知られています。そうした栄養面なども配慮して製造し、商品化していると小野岡さん。
「納豆菌は、熱に強く120度くらい、ナットウキナーゼは50度くらいで、死滅するといわれています。そのため、『SOYFFEETM Roasted』や『NATTO JERKY』の製造プロセスには気を配っています。
たとえば『NATTO JERKY』は、50度以下の低温・長時間乾燥で製造。納豆の栄養を損なうことなく、おいしく、新しい食品になるよう工夫しています」
さらに、洗練されたパッケージデザインも、Shonan Soy Studioの商品が、伝統的な納豆とは趣を異にする理由のひとつです。
「商品のイラストやパッケージは、自社のデザイナーやイラストレーターが担っています。大豆発酵食品をリブランディングする上で、コンセプトや味だけでなく、デザイン性を高めることも、商品を選んでいただく上で大切なこと。当社の商品を新しい大豆製品として若い人たちにアピールするためにも、デザイン性は重要視しているポイントのひとつです」
Shonan Soy Studioでは、自社での経験をいかして、伝統的な発酵食を製造する他メーカーのパッケージ制作やデザインもサポートしています。
『SOYFFEETM Original Double』発売以来、3年の間に『SOYFFEETM』をベースとしたいくつもの製品を開発し、『NATTO JERKY』も発売。次々と新たな発想を生み出す小野岡さんの原動力はどこにあるのでしょうか?
「もともと、私が起業した根底にあるのは、“機会の格差をなくしたい”という思いです。日本人の多くは、勉強したい時に勉強でき、おいしいものを食べたいときに食べ、旅行したいと思えば旅行できる機会に恵まれています。しかし、それができない人もたくさんいます。私はそうした機会格差を是正したいという思いをずっと持ってきました。その手段として始めたのが、納豆を用いた事業なんです。
そのため、私たちは『Bite for BiteTM(あなたのひとくちが世界の誰かの一口に)』というプロジェクトを実施しています。これは、より多くの人が健康な日々を過ごせるよう、売上の一部を寄付する取り組みで、これまでラオスや日本国内の子ども食堂などに、大豆を寄付してきました」
こうしたビジョンに共感する人が社内はもちろん、社外にも増え、大きな力となって、Shonan Soy Studioのさまざまな新しい取り組みを生み出しています。
「私たちの次のステップは、Shonan Soy Studioの商品を国外で展開すること。フードマイレージを考えて日本から輸出するのではなく、海外で製造する方法を模索したいと思っています。まずは縁のあるロサンゼルス、ニューヨークからはじめ、いずれ当社の製品を世界に広げていきたいですね」と小野岡さん。納豆×コーヒーという発想は、新たな“おいしい健康食”をつくり出しただけでなく、世界の人々の笑顔へとつながっているのです。
SOYFFEETMを使った発酵スイーツ(※DMで予約可能)とSOYFFEETMの試食体験&量り売り、ドネーションで飲めるラオス産コーヒー体験などができるショールーム。
飲んで食べて腸活が出来る 大豆と発酵のテイクアウトカフェ