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日本の朝ごはん
駅ナカ醸造場を営む酒屋がつくる
酒米を使った朝ごはん
2023/07/13
日本の朝ごはん
2023/07/13
東京駅構内の商業施設「グランスタ東京」には、世界初の駅ナカ醸造所「東京駅酒造場」があります。手がけるのは、日本酒業界や日本酒文化の発展に力を注ぐはせがわ酒店。もっと気軽に日本酒に触れてほしいという思いで2020年にリニューアルオープンしました。併設するテイスティングスペースでは、産直のフレッシュなお酒を楽しめるだけではなく、通常は世間に出回らない酒米を使ったメニューが人気です。店舗の運営を担う、後藤みのりさんにメニュー開発に至ったお話を伺いました。
東京駅改札内、グランスタ東京B1「スクエア ゼロエリア」に店舗を構えるはせがわ酒店。テイスティングバーの人気メニューのひとつが、朝定食の「酒米を使った たまごかけごはん」です。
「酒米は酒造りに特化した品種なので、特段美味しいものではないんです。コシヒカリやあきたこまちなど、世の中にはおいしいお米がたくさん! そんななかで、酒米を使ったメニューを提供する理由はひとつ、特別な体験を通して日本酒に興味を持ってほしいからです」
後藤さんが語るように、体験を通して日本酒の文化を広めたいという思いから始まった店舗づくり。日本酒を造るところを見てほしい、飲んでほしい、そして日本酒の原料である酒米についても知ってほしいし、食べてほしいという思いからメニューづくりがスタートしたと言います。
「お米自体が特別に美味しいわけでもないなかで、それでもお米を主役にしたいと考えたのが、たまごかけごはんでした。普通のお米とは異なるので、水分量など炊き方にも苦労しましたが、完成したメニューの試食会では意外といけるね!とスタッフにも好評でした」
日常に出回ることがない特別なお米である酒米を使った、たまごかけごはんの朝定食は、朝7時から11時までの提供。取材時は宮城県の「蔵の華」という酒米のごはんでしたが、7種類の酒米のなかから日替わりで登場するとのこと。
酒米は磨くことを前提につくられているため、一粒一粒が大きくしっかりとした存在感があります。口に運ぶと、粘りが控えめでさっぱりとした食べ心地。たまごの液がごはんにからみ、少し垂らしただけの醤油の味わいもしっかりと感じられて、想像以上に美味しい!! さらさらといただける新感覚のたまごかけごはんのもうひとつの立役者は、選び抜いたというお醤油です。
「いくつものお醤油を試してたどり着いたのが、日光醤油の『日光東照宮献上醤油 譜代相伝』でした。濃厚で味わい深く、さっぱりとした酒米のたまごかけごはんにぴったりです」
東京駅でしか味わうことのできない酒米が主役のたまごかけごはんは、なんと440円(2023年5月時点)というお手頃価格。それも、気軽に味わって体験してほしいという思いからなのだそう。1日限定20食で売り切れ必須なので、早起きして味わいたい特別な朝ごはんです。
11時からのランチにタイムには「酒米おにぎり定食」(550円)が登場します。小さな副菜もついて、食べ応えも満点。この日は「朝日米」の明太子と、「吟風」のしゃけのおにぎりで。どちらも具がたっぷりと入っています。別の種類の酒米を食べ比べできるのも、嬉しいポイント。
「おにぎりはテイクアウトコーナーもあるのですが、早い時間に売り切れてしまうことが多いですね。夕方にはショーケースが空になっていることが少なくありません。酒米の存在を知ってもらい、たくさんの方に食べていただけて嬉しく思います」
「よく、どの日本酒を選んだらいいか分からない、という相談を受けることがあります。様々なアプローチがあると思うのですが、たとえば、ここで酒米に触れていただいた体験から、酒米の種類に興味を持っていただいて、いつの日か『東京駅で食べたことのある酒米で造られたお酒』と、新しいお酒の選びかたに繋げられたら楽しいかもしれないと、期待もしているんです」
これまでも日本酒業界や日本酒文化の発展に力を注いできたはせがわ酒店。たくさんの人に日本酒の魅力を知ってもらいたいとつくった体験型の店舗。その気軽な入口として生まれたのが、酒米を使ったふたつのメニューでした。今後は各地の酒蔵とのコラボレーションメニューも企画しているそう。ぜひみなさんも、新しい体験をしに東京駅へ足を運んでみてください。