発酵に恋して。

甘酒が好きすぎて、専門店をオープン。
甘酒専門店麹家 横山 美左人さん

2023/09/07

静岡県浜松市で「甘酒専門店 麹家」を営む横山美左人(よこやまみさと)さん。
子育てをするなかで甘酒と出会い、恋して、小さいながらも店舗をオープン。
10年にわたり甘酒と発酵を研究し、発酵のもつ効能と美味しさを追求して作ったという甘酒専門店には続々とお客様が集まってきます。そんな横山さんに甘酒への想いを伺いました。

若い方に甘酒を通して
発酵の魅力を知ってもらいたい。

JR東海道本線の浜松駅から豊橋駅方面に2駅のところにある舞阪駅からクルマで約5分。住宅街のなかに、突如現れるのが、「甘酒専門店 麹家」です。心地よい音楽が流れ、のんびりとした空気が流れています。
静岡県富士市出身の横山さんは、清水市出身のご主人と結婚し、仕事の関係で浜松に移住をしたそう。
「子どもが幼稚園に入る前で、浜松がすごく住みやすかったんですね。ここで子育てをしたいと思い、移住をしました。結婚前は小児科の医療事務をしていて、結婚後、子どもができ、そこからはこれといった職業にはついていませんでした。スーパーでコミュニティ副店長として衛生監査、管理の仕事を週に3回ぐらい入るといった生活を少しやっていて、まさか自分が甘酒専門店をやるとはまったく思ってもいませんでした」

ではなぜ、甘酒の店舗をオープンするに至ったのでしょうか。

「お友達がイベント出店をしていて『どうしても隣に誰か出てほしい、何かない?』と相談を受けたんです。そのとき甘酒を作っていたので『甘酒だったら1日くらいならできるかも』と、軽くイベントに出たことがきっかけでした。それでやってみたら反響がすごく大きくて。意外に性別関係なく1030代ぐらいの方たちが『甘酒ってなんですか』と聞いてくれて。すごく楽しくなって、露店をやり始め、メニューがどんどん増え、キッチンカーを買ってイベント出店をしていたら、お客さんから毎日買える場所が欲しいって言われ、ならば自宅の駐車場で、週に3日ぐらいならやろう!と2019年に店舗を始めました」

住宅街に佇む店舗は芝生の上にパラソルやベンチが置かれ、地元の人々の憩いの場となっている。

店名は「この場所で甘酒について研究し、ストアで販売してお伝えします」という想いが。常にメニューを考案。

こんなにいいものはない!
「飲むスキンケア」&「飲む点滴」

10年ぐらい前の甘酒第1ブーム。子育て中、目覚めが悪く、すっきりと起きられない日々が続き、栄養ドリンクを飲んでいたところ、友人がおすすめしてくれたのが甘酒。そこから甘酒生活がスタートしました。

「寝起きがスッキリしたのと同時に、顔を洗ったときに肌がつるんとしたんですよね。即効性に驚きました。使っているものは米麹と水のみで、値段も安く手に入りますし、子どもも一緒に食べられるので、自然と常に取り入れるようになったんです。夜寝る前にヨーグルトに甘酒を大さじ2杯ぐらい入れて毎日飲んでいます。腸の中を綺麗にすると、からだの調子が全然違います」

「こんなにいいものはない!甘酒はいろんなものに使えるんです」と横山さん。

シンプルに美味しい甘酒を知ってほしい。

「米麹は自分で作ってみようと思い、いろんな麴を試したのですが、やはり麹によって粒の大きさが違ったり味が違っていて、甘酒に合う麹と合わない麹があるんです。餅は餅屋じゃないですが、麹は麹屋さんに任せた方がいいなと思い、安心安全な愛知県のコシヒカリを使用した麹を入れています。とにかく全部材料がわかるもの、自分の子供に食べさせて、安心なものしか販売しないと決めています。最近では農家さんをはじめいろんな方と知り合っていくうちに、安全なものをできる限りは取り入れた方がいいなと実感しています」

米麹甘酒と酒粕甘酒はICEとHOTを用意(各378円)。酒粕甘酒は男性からの支持が高い。

「甘酒スムージー グリーン」(540円)は米麹甘酒、豆乳、モリンガ、ほうれん草、小松菜、セロリ、パセリ、リンゴを使用。
三方原にある知り合いの農家が栽培したモリンガなど、顔の見える方から安心安全なものをなるべく使用。

溢れ出る創作意欲。
月に2回は新作メニューでおもてなし。

夏はレモン、秋からはサツマイモ、カボチャ、ほうじ茶、冬から春にかけて緑茶、春には桜と季節ごとに定番メニューが楽しめる。

「皆さんが飽きないように、意外性があって驚きのある組み合わせをたくさん考え、月に2個は新作を出しています」と横山さん。

甘酒を凍らせて削っている「凍り甘酒」のみたらし醤油麹(810円)。醤油麹と練乳の相性が絶妙にマッチ。

レモンとマンゴーの甘酒スムージー(648円)は米麹甘酒、レモンシロップ、マンゴー、米麹ホイップ、
有機ホワイトチアシード、自家製レモンゼリーでヘルシーな味わい。

小さなお店でもできること、
小さなお店でしかできないことを。

素材へのこだわりはもちろん、オーガニック、プラントベースミルク、地産地消など、環境に配慮した取り組みも麹家のこだわり。未来の子どもたちに美しく豊かな環境を引き継ぐためにはどうしたら良いのか考えるようになりました。

「地球環境を考えるようになったのは、子どもたちの未来は大丈夫なのかと心配になったこと。いまのうちにできる限りのことはしたい、取り入れたいと思うようになりました。プラスチックは使わずペーパーカップにしたり、パッケージやストローは素材に配慮したものを取り入れています。また、作る責任、売る責任を意識し、必要な分だけを買うことができる『量り売りシステム』をはじめました。うちの店が発信源になって、皆さんの生活にちょっとでも取り入れてもらえれば嬉しいなと思っています。浜松はまだまだ環境に配慮したお店も少ないのでどんどん知ってもらえたら嬉しいですね」

「環境に配慮した取り組みは当たり前にやっていきたい」と横山さん。

米麹は量り売りで販売。予約注文も電話やLINEで受け付けている。

甘酒のよさをたくさんの人に
知ってもらいたい。

甘酒好きではじめたお店は週に3回営業。横山さんは甘酒のよさを広めるために、地元のイベントに定期的に出店したり、2022年からは地域の協働センターからのお誘いもあり、甘酒の作り方や甘酒を使ったチーズケーキやスムージーをレクチャーするワークショップも開催。活動の幅を広げています。

「家の冷蔵庫に納豆を常備したり、毎日ご飯を炊く感覚と同じように、甘酒が常に家にある世界になってほしいです。これだけいいものを広めて伝えていきたいんですよね。お店で米麹を売っている理由もその想いがあるからです。一緒に作り方のレシピをお渡ししていて、もう作り方教えてあげるから自分で作りなさいっていう気持ちで(笑)。とにかく毎日取り入れてほしいんです。ワークショップは皆さんからいろんな話を聞くことができて楽しいですね。なかには、自分で麹を作っている方や、酵素ジュースを作っている方がいて、たくさん教えてくれます。皆さん意外に発酵生活をやってるんですね(笑)。10年前とは取り巻く環境も変わって徐々に発酵が根づいてきているので、甘酒ももっともっと知ってもらえる取り組みを積極的にしていきたいですね」

甘酒専門店 麹家

住所:
静岡県浜松市西区雄踏町宇布見8130-1
TEL:
070-3402-1001
営業時間:
11:00〜17:00
営業日:
月火水日
駐車場:
店舗 横2台 後4台
URL:
https://amazakekoujiya.amebaownd.com/