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手仕事カレンダー
vol.6 思い立ったらいつでも仕込めて、食べられる。
糀たっぷり!ダンノマリコさんの「一晩でできる白味噌」
2023/09/14
手仕事カレンダー
2023/09/14
秋から冬にかけて、ますます出番が増えるのが味噌。一般的な味噌を手作りしようとすると、寒い時期に仕込んで、半年〜1年間は熟成させる必要があります。しかし、この白味噌なら作りたい時に仕込めて、すぐにでき上がります。
今回は、発酵食品などの保存食作りがライフワークであり、著書もある、フードスタイリストのダンノマリコさんによる白味噌の作り方とそのおすすめアレンジ法を紹介します。ちょっと珍しい、手製の発酵食品も見せてもらいました。
保存食のレシピは、昔ながらの方法を手本にしたり、老舗店の製造工程などを参考にしたりして、自己流のアレンジを楽しんでいるという、ダンノさん。「この白味噌も味噌蔵の製造工程をいくつか参考にして、レシピを考えました」
白味噌は、一般的な味噌の2.5倍量の米糀を用いるのが特徴です。
「糀がたっぷり含まれているので、美容面でも注目されていますよね。塩分量が少なくて、やさしい甘みが感じられるだけでなく、旨味もしっかり。白味噌と酒粕を2:1で混ぜて作る漬け床をストックしていますが、余り野菜や切り身魚を漬けると驚きのおいしさです」
白味噌の発酵を常温で進めると、2〜4週間程度かかります。今回教えてくれたのは、炊飯器の保温モードを使う方法。「60℃前後に保温することで発酵を促して、夏は17時間、冬は22時間ぐらいで完成します」
ただし、温度が上がりすぎないような工夫が大切、とダンノさん。「温度が上がり過ぎると、糀菌が死滅して発酵がストップしてしまうので注意が必要です。コツは、炊飯器のふたはあけたままにすることと、ヒーターがある底に炊飯釜が直接当たらないように、炊飯器の底にふきんを敷くこと。味噌種は容器にできるだけ均等に、すき間なく詰めると、ムラなく熱が加わります」
2.大豆が水を十分に吸ったら、鍋を中火にかける。沸騰したらアクをとり(最初に出てくる、少し黒っぽいもの。後から出てくる、白いアクはとらなくていい)、ふたをして弱火にし、吹きこぼれないようにしながら、大豆が潰れる程度にやわらかくなるまで煮る。
4.厚手のポリ袋に大豆を入れて、親指のつけ根でなめらかになるまで潰し、あら熱をとる。
5.別の厚手の袋に糀を入れ、袋の上からもみほぐす。塩を加えて混ぜ合わせる。
6.④の大豆に⑤を加え、袋を振るようにしながら、全体を均等になるまでよく混ぜる。
7.②のゆで汁を100㎖前後、様子を見ながら加えて混ぜ、手でボール状にまとまり、表面がしっとりとするくらいに調節する。
8.耐熱容器に⑦をげんこつで押し込むようにして、底や周囲にすき間なく詰める。容器の口にアルミホイルをぴたりとかぶせて、はしで数カ所、穴をあける。
9.炊飯釜の底にたたんだふきんを入れて、上に⑧の容器をのせる。容器の中身がかぶるまで40℃程度のぬるま湯を入れる。炊飯器のふたはあけたまま、布巾をかぶせる。
10.湯が減ったら水を足し、炊飯器を保温モードに設定し、真夏は17時間、真冬は22時間を目安におく。途中、発酵を均一にするために、一度とり出して、かき混ぜる。糀の粒がやわらかくなったら、炊飯釜からとり出す。好みでざるでこす。
*乾燥しないよう保存容器に入れて、冷蔵で1週間、冷凍で半年間保存可能。
漬け床のほかにも、ダンノさん流の使い方を教えてくれました。
「そのまま野菜のディップにしてもおいしいですが、白あえの調味におすすめです。絹ごし豆腐50g、白味噌を大さじ1、白胡麻大さじ1/2をポリ袋に入れて、豆腐を崩して混ぜるだけ。しょうゆやみりん、砂糖など複数の調味料を入れなくても、白味噌の甘みと適度な塩けだけで味がきまります。好みで、少し塩で味を調えてもいいでしょう」
なすとも相性抜群。「白味噌を酒で少しのばしたものをのせて田楽にしたり、揚げなすにからめたりしてもおいしいです」
ダンノさんがお手製の保存食を作り始めたのは、現在高校生の長男が生まれてからだそう。「子育て中で、ゆったりした時間が持てたことがきっかけです。小さな子どもと作業しても楽しそうだなと、味噌を作ったのが最初でした」
それから、旬の食材を使った発酵食作りにチャレンジするように。「発酵食作りは育てていく過程が楽しいですよね。塩をした魚が熟成していく様子とか、おもしろくて。漬物をよく食べますが、市販のものより手作りの方がしっかりと発酵させられておいしいですし、素材を吟味できるのもいいですね」
定番のしょうゆ糀をアレンジしたオリジナルの発酵食品を見せてもらいました。
「実山椒の旬の時期に必ず作る、山椒しょうゆ糀は、水煮の実山椒としょうゆ糀を合わせて、ミキサーにかけるだけ。サラダや冷ややっこなどにかけるとおいしいんです。大豆入りは、しょうゆ糀を作るときにゆで大豆も加えて、仕込みます。煮込み料理や肉そぼろに使うと、大豆ごと食べられて、食べ応えも出ますよ」
フードスタイリスト、栄養士。豊洲市場や漁港直送の旬の魚介と食材を楽しむ「ミナトゴハン」を主宰。そのほか、保存食をはじめ、さまざまなジャンルのレシピを雑誌・書籍などで提案するほか、スタイリングも手がける。著書に『スーパーのお魚で!港町の漁師飯』(春陽堂書店)、『保存食&食べ方テク』(朝日新聞出版)など。
https://www.instagram.com/marikodanno/