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発酵でつながる、おいしい輪!「私の発酵“推し”美食」
Vol.6 果物の新しいおいしさを発見!
料理研究家・祐成二葉さんの酵素ドリンク
2023/09/28
Vol.6 果物の新しいおいしさを発見!料理研究家・祐成二葉さんの酵素ドリンク
発酵でつながる、おいしい輪!「私の発酵“推し”美食」
2023/09/28
料理研究家、フードコーディネーターとして活躍する祐成二葉(すけなりふたば)さんの手にかかれば、酵素ドリンクも色鮮やかでおしゃれなノンアルコールカクテルの雰囲気に! 料理に苦手意識がある人でも気軽に作れる酵素ドリンクと、漬け込みフルーツを活用した焼き菓子を教えていただきました。
祐成二葉さんが1年を通して作り続けている「酵素ドリンク」。季節の果物を砂糖漬けにすると、夏なら1週間、冬なら2週間ほどで発酵し、色合いも美しい酵素ドリンクができ上がります。
「たっぷりの砂糖に漬け込むことで果物から水分が出て砂糖が溶け、発酵が始まります。夏は水やソーダで、冬は人肌程度のぬるま湯で割っていただきます。ラム酒、コアントロー、オレンジ系のリキュールなどと合わせて、ソーダで割ったカクテルも美味。ビールと合わせれば、ほろ苦さと甘みがクセになるビアカクテルになりますよ」
普段、あまり料理をしない人でも、酵素ドリンクなら手軽に作れて続けやすいと、教室も毎回大人気だそう。
「『モーツァルトを聴かせています』『子どもみたいにかわいい』なんて方も。微生物が元気に活動できるようにと見守る時間は、ほっと心を癒してくれるものでもあるようです」
「また、フルーツにハーブやスパイス類を入れて、自分好みのブレンドに仕上げるのも楽しみのひとつ。甘みと酸味のバランスをイメージしながら果物を組み合わせたり、風味をプラスするスパイス、ハーブ類を加えたりすることで、フルーツ単体で味わうのとはまた違う味わいの発見がありますよ。スパイスには抗菌作用もあり、味に深みを与えてくれます。クコの実や黒米など、好みのスーパーフードを加えてもいいですね」
酵素シロップの作り方は、とてもシンプル。清潔な保存瓶に、上白糖、果物の順に3回にわけて重ね、最後に砂糖で果物を覆います。
「800gのぶどうに対し、上白糖は880g。フルーツの1.1倍の砂糖を使います。酸味と甘みのバランスがいいぶどうは、酵素ドリンク向きのフルーツです。巨峰、マスカットなど色の違うものを2種くらい組み合わせると、見た目もきれいですね。ほかにも、りんごとレモン、金柑とはっさく、オレンジとビーツなどもおすすめ。合わせて800gになればOKです」
スパイスやハーブを加えて、味わいに奥行きをもたせるのが祐成さん流。シナモン、カルダモン、八角、丁子、黒胡椒などのホールスパイス適量を砂糖のうえにのせれば、準備はOK。あとは軽くふたをかぶせて、発酵を待ちます。
「ぶどうの酵素シロップには、バタフライピーティーをひとつかみ。きれいな紫色に発色します。りんごとレモンには紅花、パイナップルにはクチナシなど、天然素材で色づけできるものを加えると、水で薄めたときにも美しい色で目を楽しませてくれますよ」
翌日からは、1日1回、手でぐるぐるとまぜて砂糖をとかします。砂糖が完全にとけ、白い細かい泡が出てきたら発酵が進んだ証拠です。夏は1週間、冬は2週間くらいで完成! できあがったシロップはこし、別の容器に入れて冷蔵庫で保存しましょう。冷蔵庫内でもゆっくりと発酵が進むので、蓋は完全に閉めず、かぶせる程度にすると安心です。
シャリッとした食感を残しながら、ほどよく水分が抜けた自家製レーズンは、ぶどうの酵素ドリンクのうれしい副産物。そのまま食べてももちろんおいしいし、ヨーグルトにのせたり、焼き菓子にまぜこんだり、ラム酒やブランデーをまぶしてワインのおつまみにも!
休日は、酵素ドリンクを飲みながらゆっくりお菓子作り、なんて過ごし方もすてきですね。
「酵素ぶどうは、フレッシュなぶどうとレーズンの中間くらいの食感。酵素ぶどうはお菓子作りにも使い勝手がいいですよ」
1年中切らすことのない酵素ドリンクだけでなく、麹を使った発酵調味料も祐成家の食卓には欠かせない存在です。
「麹で下ごしらえしたお肉は臭みがなく、しっとりやわらか。高齢の母にとっても食べやすいから、我が家ではほぼすべての料理に甘酒や麹の調味料を活用しているくらい。息子のお弁当に入れるおかずも、麹調味料で下ごしらえや調味をすると、冷めてもおいしい。料理にもお菓子にもパンにもフル活用で、毎日発酵生活です(笑)」
冷蔵庫には、塩麹、醤油麹のほか、トマトジュースと麹で発酵させたトマト麹、玉ねぎのすりおろしと麹を発酵させた玉ねぎ麹など、自家製の麹調味料や甘酒を常備。料理に合わせて使い分けています。
「麹って和のイメージがあるけれど、世界の料理にもよく合います。たとえばガスパチョに黒麹の甘酒をトッピングすると、キャビアみたいで見た目も華やか。黒麹の甘みと酸味が、トマトの旨味を引き立ててくれます。魚介と塩麹、甘酒を一緒に炊き込むごはんも絶品! 玉ねぎ麹やトマト麹は、ブイヨン代わりに便利。ちょっと味が足りないなというときも、発酵の旨味が助けてくれます」
朝のめざめの1杯に、ふだんごはんに、おやつタイムに、毎日の食に発酵をふんだんに取り入れる祐成さん。
「麹調味料はなんにでも使い勝手がよく、使いこなすと本当に便利! また、酵素ドリンクは色や香りも楽しくて、気分があがります。腐敗したり、カビたりすることもないので、はじめての発酵食品づくりにもぴったりですよ」
次回、バトンは、料理研究家のほりえさちこさんへ。どうぞお楽しみに!
料理家・フードコーディネーター
料理家・フードコーディネーター
料理家、フードコーディネーター。ドイツ国立マイスター校卒業。5年間のヨーロッパ留学を経て、1988年「祐成陽子クッキングアートセミナー」のメイン講師に就任。フードコーディネーターや料理家を育成し、現在活躍する多くの人気料理家を輩出。書籍、雑誌、テレビ、広告のほか、イベントや食育の講習会、親子で通える料理教室など、幅広く活躍中。
https://www.sukenari.co.jp