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発酵でつながる、おいしい輪!「私の発酵“推し”美食」
Vol.7 1日のスタートに体が
よろこぶ目覚めの1杯を!
料理研究家・ほりえさちこさんの酒粕スムージー
2023/10/05
Vol.7 1日のスタートに体がよろこぶ目覚めの1杯を!料理研究家・ほりえさちこさんの酒粕スムージー
発酵でつながる、おいしい輪!「私の発酵“推し”美食」
2023/10/05
「体によさそうなことはすぐに試しちゃうほうなんです」と笑うほりえさちこさん。ヨーグルトソムリエや乳酸菌ソムリエの資格も持ち、発酵食をふだんから自然に食卓に取り入れているといいます。とくにここ数年、欠かさずに飲んでいるのが酒粕を使ったスムージー。栄養満点のスムージーレシピに加え、酒粕の活用法もたっぷり教えていただきました。
「酒粕に注目するようになったきっかけは、4〜5年前に見たNHKの情報番組。1日50gの酒粕を摂ると、肌のコラーゲン量がアップするという研究が紹介されていて、興味をひかれたんですよね」
酒粕とは、発酵した醪(もろみ)から酒を圧搾するときに出る固形物のこと。日本酒をつくる工程で必ず生まれる副産物で、たんぱく質や食物繊維、アミノ酸などの栄養が豊富に含まれています。甘酒の原料としても使われ、粕汁や粕漬けなど、さまざまな料理に活用されてきました。
ほりえさんが、毎日酒粕をとり入れるために考えたのが、酒粕入りのグリーンスムージーです。
「朝起きたら、まずスムージーを作ってゴクッと一杯。これでかなりおなかが満たされます。その後、掃除などをするとまたおなかがすいてくるので、焼きいもとコーヒーでプチブレイク。これが私の朝の定番ルーティンです(笑)。夏は冷たく冷やして、冬は人肌程度に温めて。もう何年も続けていますが、飽きませんね」
材料をすべて合わせ、ミキサーでなめらかに撹拌する。
「小松菜はアクが少なく、スムージーに使いやすい葉野菜です。ざく切りにして冷凍しておくと、スムージー自体もほどよく冷えておいしいですよ。小松菜の代わりに水菜やミント、パセリなど、旬の野菜で味比べをするのもおもしろいですね。また、フルーツもりんごや梨、マンゴー、オレンジなどなんでもOK! 皮の付近に栄養が豊富なので、私はよく洗って皮ごとミキサーに放り込んじゃいます。撹拌すると舌触りもなめらかで、皮まで入っているとは気がつかないかも!」
酸味と甘味、小松菜のさわやかな青味が心地いいスムージーは、最後にふわっと抜ける酒粕の風味が大人なアクセントに。
「酒粕を料理に使うと独特の風味が強く残ることもありますが、このスムージーはほんのりと香る程度。手軽に作れて飲みやすいことも、ずっと続いている理由かなと思います。冬は電子レンジで1分温めて、ホットスムージーに。しょうがも入っているから、体の芯からぽかぽか温まりますよ」
ほりえ家では、毎朝のグリーンスムージーのほかにも、さまざまなメニューに酒粕が活用されています。 たとえば、具だくさんの豚汁にも酒粕をプラス。コク深く、複雑な旨味の1杯になります。
「豚肉とごぼう、にんじん、大根などの根菜類、短冊切りにしたこんにゃく、薄切りにした長ねぎをごま油でいため合わせ、油が回ったらだしと酒粕を入れて、7〜8分煮ます。仕上げにみそをとき入れたら完成! だし250mlに対し、酒粕は50〜60gが目安です」
「我が家では肉や魚の下ごしらえや、野菜の漬け床にも酒粕を活用しています。魚の切り身をみそと酒粕を合わせたものに漬けておくと、臭みがとれてしっとりジューシーに。軽く拭き取って魚焼きグリルで焼けばメインの1品が完成です。みそだけで漬けるよりも塩気がマイルドなのもお気に入りのポイント。酒粕とみりん、塩を合わせた漬け床は、ぬか床よりも扱いやすく、初めての自家製漬物作りにもおすすめですよ。今回はきゅうり、赤パプリカ、かぶを漬けました」
ほりえさんの毎日の食生活には、発酵食がふんだんに登場します。冷蔵庫を開ければ、酒粕にヨーグルト、納豆などの常備発酵食がズラリ!
「ヨーグルトは1リットルの牛乳パックで作ってたっぷり食べていますし、納豆も3連パックが2つはないと不安になっちゃう(笑)。お気に入りは、納豆とごま油、お酢をまぜて作る納豆ドレッシング。サラダや温野菜、豆腐などにかけていただきます。キムチもピリッとした酸味を感じるくらい発酵が進んだものが好き。軽くいためてスープにすると、すごく深みのある味になりますね。キャベツと塩だけで作る水キムチにもハマったし、改めて振り返ってみると、毎日いろいろな発酵食を食べていますね」
生きた微生物の働きが大きく関わる、発酵食の旨味や香り。自然が作り出すものだからこそ、毎日でも飽きずに食べ続けられるのかもしれません。
「最近、師匠の料理研究家、祐成二葉先生から黒麹を分けていただいて、醤油に1週間ほど漬けて醤油麹を作り、鶏むね肉を漬けてみたんです。にんにくやしょうが、お酒などを加えなくても、ビシッと味が決まって、ぷりっといい食感になったのには驚きました。まるで新鮮なレバーのような食感で、もちろんパサつきは一切なし。麹の力は、ヨーグルトやみそとはまた違いますね。発酵は奥深いなーと改めて実感!」
ひとくちに発酵食品といっても、食品ごとに微生物の種類や働きが違うのもおもしろさのひとつ。さまざまな発酵食品を継続して食卓にとり入れることが、ほりえさんの元気の源になっているようです。
次回は、管理栄養士、フードコーディネーターとして活躍する渥美まゆ美さんの「発酵推し美食」をうかがいます。どうぞお楽しみに!
料理研究家
料理研究家
料理研究家、栄養士、食育アドバイザー、ヨーグルトソムリエ、乳酸菌ソムリエ、飾り巻き寿司インストラクター。雑誌や書籍、テレビなどを中心に活躍中。『3品15分! 超時短 糖質オフ1カ月晩ごはん献立』など著書多数。高校3年生の男子の母でもあり、育児の経験をいかした栄養たっぷりで作りやすいレシピに定評がある。