発酵でつながる、おいしい輪!「私の発酵“推し”美食」
Vol.8 おやつで手軽に栄養チャージ!
管理栄養士・渥美まゆ美さんのヨーグルトバーク
2023/11/02
Vol.8 おやつで手軽に栄養チャージ!管理栄養士・渥美まゆ美さんのヨーグルトバーク
発酵でつながる、おいしい輪!「私の発酵“推し”美食」
2023/11/02
毎日の料理はパパッと効率よく作りたい!でも、栄養バランスだって気になる――。そんなジレンマを鮮やかに解決するレシピで人気の渥美まゆ美(あつみまゆみ)さん。
管理栄養士の渥美さんが推すのは、発酵とフルーツの組み合わせです。日頃、栄養が偏りがちな人も、甘いご褒美が大好きな人にもおすすめの2品をご紹介します。
管理栄養士として、健康と食の関係を追求する渥美さん。でも、そのモットーは「だまっておいしいものを提案すること」だと笑います。
「栄養学の理論をあれこれ並べるより、パッと見て『おいしそう!』と心が動くことのほうが、きっと伝わるものが多いのではないかな、と思うんです。手に入りやすい材料で簡単に作れること、カラフルな色で気分が上がること、何より食べてみておいしいこと。それで自然と体にいいものがいっぱいとれている、というのが理想です」
確かにカロリー計算をしたり、必要な栄養が満たされているかと確認しながらの食事では、食べることが義務のように感じられてしまうかもしれません。また、忙しい毎日のなか、栄養バランスのととのった献立を用意するのは大変! 忙しくて、ゆっくり食事をする時間もない、という人も多いかもしれません。
「そんな人にこそおすすめなのが、フルーツ。調理いらずで手軽に食べられて、ビタミンやミネラル、食物繊維も豊富。忙しい現代人にフィットする健康的な食材だと思います」
フルーツを手軽に食べる習慣として、渥美さんがおすすめするのが手づくりアイス「ヨーグルトバーク」です。
「ヨーグルトと甘酒をまぜ、好みのフルーツを並べて冷やし固めれば完成。さわやかな甘みでご褒美スイーツのポジションにいながら、実はたんぱく質、ビタミン、ミネラルがいっしょにとれちゃう1品です」
4.好みの大きさに切る。
「甘酒の自然な甘みが、ヨーグルトの酸味をまろやかに食べやすくしてくれます。砂糖のようにストレートな甘さではないから、果物の味わいを引き立ててくれますね。フルーツはキウイのほか、バナナ、柿、ぶどうなどなんでもOK! 旬の果物で、季節感も感じながら楽しんで」
寒い季節は、同じ材料で温かなデザートスープに仕立てるのもおすすめ。
「ヨーグルトと甘酒を軽く温め、フルーツを加えていただきます。好みで甘酒の割合を少し多くしたり、はちみつを垂らしてもおいしいですよ。おなかをじんわり温めてくれるから、寒い日の朝ごはんにもぴったりです」
「2023年、厚生労働省は果物の目標摂取量を200gに引き上げました。しかし、20〜40代では6割以上の人が推奨量の半分、100gも満たせていない、という報告があります。昔は手軽なデザート、おやつといえば果物でしたが、今はコンビニでもいろいろなスイーツが買える時代。フルーツが食卓に上がる機会は減ってきてしまっているようです。でも、楽しみながら栄養がとれるフルーツを活用しないなんて、もったいない。もっと手軽に食卓に取り入れてほしいな、と思うんです」
そこで渥美先生が白羽の矢を立てたのが、発酵食品であるヨーグルトや甘酒です。
「発酵食品の魅力の一つは、さまざまな旨味がまざり合っているところ。発酵によって生み出される自然な甘みや酸味は、ツンツンとがっていなくてまろやかですね。料理は、旨味の掛け合わせで奥深くなっていきます。発酵食品を使うと、手軽に奥行きをつくってくれますよ。」
果物を甘酒に漬け込んで作る「フルーツマリネ」も、渥美さんのお気に入りメニューのひとつ。
「酸味のあるフルーツが好きではないという人にも、甘酒との組み合わせはおすすめです。甘酒の深い甘さが、酸味や苦味をうまくカバーしてグンと食べやすくしてくれます。夜に仕込んでおけば、時間のない朝だってささっとフルーツを添えた朝ごはんで1日をスタートできますね。コンビニやスーパーでもよく見かけるカットフルーツを使えば、さらに手軽。冷蔵庫で3日ほど日持ちしますよ」
果物に含まれるビタミンやミネラルは、体の代謝を上げる働きをしてくれます。よく「朝の果物は金」といわれるのも納得です。さらに甘酒やヨーグルトなどの発酵食品と組み合わせれば、おいしさも栄養もグレードアップ!
「1日の目安量の200gは、たとえばみかんなら2個くらい。朝食とおやつなど、2回に分けて100gずつくらい食べられると理想的です」
次回は、料理研究家の阪下千恵さんにバトンタッチ! どうぞお楽しみに。
管理栄養士
管理栄養士
管理栄養士、フードコーディネーター、料理家、フードプロデューサー。管理栄養士として保育園に勤務し、離乳食、乳幼児食、アレルギー食に携わる。行事食や誕生日メニューなどにも力を注ぐうちに、料理やスタイリングへの興味がさらに高まり、フードコーディネーターに。健保組合、大手料理教室の講師などをへて、2016年に株式会社Smile mealを設立。『世界一ラクチンな栄養ごはん』(西東社)など著書多数。