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発酵に恋して。
手間なく続けられて食べ切れる!
料理研究家・島本美由紀さんのラク発酵のススメ
2024/02/22
発酵に恋して。
2024/02/22
料理研究家・ラク家事アドバイザーとして、時短レシピや食品を無駄にしないアイデアを提案している島本美由紀(しまもとみゆき)さん。祖母が韓国人で、日本と韓国の食文化に触れて育った島本さんにとって、発酵食品はとても身近な存在。キムチのアレンジ方法や簡単水キムチレシピなど、手間や時間をかけなくても発酵食品をラクに楽しめるアイデアを教えてもらいました。
島本さんと発酵の出会いは幼少時代。島本さんの祖母が韓国人ということから、キムチやコチュジャンなど、発酵の宝庫である韓国料理に親しんできました。
「おばあちゃん子だったこともあり、祖母の家に行くと韓国料理を食べていたんです。小さい時は辛いものが食べられないから、キムチをさっと水で洗ってもらって食べていましたね。乳酸菌たっぷりで身体に良いからとキムチの汁を飲ませてもらったり、酸っぱくなったキムチは捨てるのではなく、炒めたり煮たりするといいよと教えてもらうなど、発酵はとても身近な存在でした」
時にはキムチ作りのお手伝いをすることも。大根を使ったカクテキやえごまの葉のキムチを作ることが多かったそう。
「キムチの味の要となるヤンニョムは漢字で書くと薬念。韓国は食べるものが薬になるという薬食同源という考え方があって、キムチを作る時も家族の健康を願って、楽しい気持ちを込めないといけないよって教えてもらいました」
祖母から韓国料理、母親からは和食と、2つの食文化をミックスして育った島本さん。大人になるにつれて食文化の違いに興味を持って、世界中を旅するように。そして旅先で学んだアイデアを料理研究家として提案するようになりました。
「モンゴルで遊牧民と暮らした経験があるのですが、遊牧民って移動しなくてはならないので食材をきちんと食べ切るんです。そこからエコに目覚めて、食材を使い切るにはどうすればいいのか考えるようになりました。それに日本は家事のすべてを自分で背負ってしまうけれど、東南アジアだとキッチンがない家も多いし、台湾だって朝ごはんを外に食べに行くのが当たり前。家事がラクにできればいいなと思って、手早くおいしくできるレシピや、身近な発酵と使い切りアイデアを組み合わせたレシピを提案するようになったんです」
健康でいられるのは発酵食品のおかげという島本さん。とはいえ、すべて手作りするのは性格的に合わないと、手間なく楽しめる工夫をして発酵食品を取り入れているそう。
「発酵マイスターの資格も持っていますが、味噌や塩麹を手作りした時にカビを生やした経験も(笑)。キムチは発酵してすぐに食べられるので作るんですけどね。一から作る時間を楽しむよりも、買ってきた味噌と何かを組み合わせたり、無駄なく食べ切れるアイデアを考える方が好きなんです」
普段から冷蔵庫に常備している水キムチも簡単なレシピで。今回教えてくれた「なんちゃって水キムチ」は大根とりんごを使っていますが、キャベツなど季節折々の旬の野菜を使っても。
「夏はもっと本格的な作り方で水キムチを作るのですが、冬は発酵が進みにくいので水キムチ風の浅漬けにして気軽に。10日くらい日持ちして、野菜がいっぱい食べられます」
市販のキムチもアレンジすることで新たなおいしさに。軽く塩漬けしたきゅうりに切り込みを入れて、白菜キムチを詰めるだけでオイキムチに変身!
「このオイキムチはおばあちゃんがよく作ってくれました。きゅうりは食品ロス上位の食材のひとつでもあるんです。安いからと5本入りを買ったものの、使い切れなかったりして。ポテトサラダにキムチを入れてもおいしいですよ。ただし、市販のキムチの中にはタレに漬けただけの非発酵キムチもあるので、時間が経つと酸っぱくなる発酵キムチを選んでください」
また、発酵食品同士の組み合わせは相性抜群。キムチを納豆に加えたり、味噌汁にちょい足ししても。
「水切りしたヨーグルトとキムチ、オクラなどをごはんにのせて、ごま油をかけた『ヨーグルトキムチ丼』も発酵食品同士の組み合わせでおすすめです」
そしてキムチと相性のいい豆腐や牛乳は、ロングライフ紙パック入りのものを利用するのが島本さんおすすめのアイデア。豆腐は約6ヶ月、牛乳は約3ヶ月常温保存可能で、近年注目を集めているそう。
「ストックしておけば豆腐・キムチ・チーズで温奴、キムチ・牛乳で韓国風のクリームパスタやシチューなどが作れます。豆腐や牛乳は冷蔵のものだと賞味期限が短く、つい捨ててしまうことも多いので、ロングライフの商品を活用するとムダも出ません」
発酵食品である調味料コチュジャンも使い切れずに、食品ロスになりがちなもののひとつ。「コチュジャンは唐辛子が入った味噌と考えて、日本の味噌と同じ使い方をすればいい」と島本さん。マヨネーズとコチュジャンを同量ずつ合わせて野菜とディップしたり、納豆にコチュジャンを加えたり、使い方はさまざま。
「味噌汁やサバの味噌煮を作る際、日本の味噌を減らしてコチュジャンを少し足しても。食パンにコチュジャンを塗ってチーズをのせて焼いたコチュジャントーストもピリ辛でおいしいです。醤油との相性もいいので、肉じゃがやチキンの照り焼きにちょっと加えてみても韓国風の味になりますよ」
料理研究家
料理研究家
これまで50か国、200回を超える海外旅行を経験。旅先で得たアイデアを料理や家事に活かし、手軽でおいしい料理レシピを考案。発酵マイスター、家事全般を楽にする「ラク家事アドバイザー」、エコの観点から食品保存や冷蔵庫収納を提案する「食品ロス削減アドバイザー」としても活動。著書は80冊を超え、テレビや雑誌、講演会など多方面で活躍中。
https://shimamotomiyuki.com/