おいしく長寿。魅惑の発酵王国NAGANO

長野県専門の
ワインツーリズムを通して、
長野ワインと食の魅力を発信中!

2024/06/27

長野県専門のワインツーリズムを通して、長野ワインと食の魅力を発信中!
長野県専門のワインツーリズムを通して、長野ワインと食の魅力を発信中!

ワイン好きなら一度は体験したいのがワインツーリズム。ワインツーリズムとは、ワインの生産地を訪れ、普段は見られないワイナリーの醸造施設や貯蔵庫、ぶどう畑などワインの製造現場を見学するツアーのこと。醸造家やぶどう栽培者たちと交流し、大切に育てられたぶどうに触れ、ワインテイスティングや地元のグルメを味わうなど、ワインはもちろんその土地の風土や文化にも触れる旅なのです。「長野ワイントラベル」は、知る人ぞ知る長野県を専門にワインツーリズムの企画・運営をする旅行会社。その代表であり、自他ともに認める“ワインオタク”だという前澤知江(まえざわともえ)さんにお話をお聞きしました。

秋は収穫体験ツアーの季節。
青空の下の収穫体験に
参加者の笑顔がこぼれる

青く澄みわたった空に雲が流れ、地上では農作物が豊かに実る秋。秋が近づくとワイナリーのぶどう生産者たちはソワソワとし始めます。秋は一年の集大成ともいえるぶどう収穫の季節。毎日ぶどうの状態をチェックし、天気予報ともにらめっこしながら、最適な収穫日を狙っているのです。この頃、慌ただしい日々を送るのは、東御市(とうみし)に拠点をもつ長野ワイントラベル代表の前澤知江さんも同じです。
「この季節は、ぶどうの収穫体験ツアーが人気なんです。収穫の時期は長野県の場合、だいたい8月末から11月上旬まででメインは9月と10月。標高の低いぶどう畑から高いぶどう畑へと、徐々に収穫のタイミングが移っていきます。弊社では収穫タイミングに合わせて毎年旅程を組んでいますが、ツアーといってもジャンボタクシーで周れるくらいの少人数で行うことが多いです。
収穫体験が初めての方もたくさん。青空の下、たわわに実ったぶどうの房たちを見るとみなさん歓声が上がりますね。どんな状態のぶどうを採ればいいのか、はさみの持ち方、どこを切るのか…といったことも農家さんから直々に教えていただき、楽しそうに作業されます。農作業の後は、ワイナリー見学や、ワインのテイスティング。その頃にはみなさん和気あいあいとされて、『農作業の後の1杯はおいしいね』なんてお声をいただくと嬉しくなりますね。ぶどう畑を見ながらワインに合わせたランチを組み込むこともあり、ピクニックのような気分も味わっていただけます。
秋の長野県では、さまざまなところでぶどう畑の美しい景色や、時期によっては紅葉も見られます。おいしいものもたくさんあるので、収穫ついでに1泊して、秋の味覚を楽しんだり、温泉などの観光をされたりするのもおすすめです」

左:ぶどう畑で農作業をするツアー参加者(写真は除葉体験中)。秋はぶどうの収穫も体験できる。
右:醸造家の話を直接伺いながらワイナリー内を見学。
普段は見学できないワイナリーも地元密着のツアー会社だからこそ実現することも。

やりたいことができる!
長野トラベルのオリジナルツアー

長野トラベルでは、参加者募集型ツアーのほか、人数も地域も日数もまったくフリーで、お客様の要望に合わせて一から組み立てるオリジナルツアーも実施しています。
「最近はオリジナルツアーの方が多くなっています。みなさんおいしいワインが飲みたいというのが第一目標なのですが、長野県の美しい景色を見たいとか、生産者のお話が聞きたいという希望が多いです。また、レストランや酒販店など、プロの方が仕入れ先を探すためにワイナリーや産地のご相談をされることもあります。いま、長野県のワインは注目されていますし、県外からのお客様は多いです。
長野県に来ると、みなさん山が近いとおっしゃいますね。山の斜面を見るとワイン用ぶどうの栽培をしている光景が至る所で見られます。よく『長野のワインや畑の特徴って何ですか?』と聞かれるのですが、一番の特徴といえば標高差だと思うんです。県内のぶどう畑は標高が350mから900mにもわたっていて、産地が同じでも標高差があります。その標高によってワインの酸の出方が違ってくるんです。たとえば白ワインでお話すると、標高が高いとレモンやグレープフルーツのようなキリッとした酸味が出て、逆に低いとりんごや洋梨みたいなやわらかい感じになるんです。このワイナリーは標高が何mだからこんな味わいかな? みたいに指標の一つにすると面白いかもしれません」
ソムリエでもある前澤さんは、毎回、ガイドとしてツアーに同行し参加者と造り手のコミュニケーションを円滑にしてくれるだけでなく、ワインのプロとして、長野県ならではの産地や特徴、ぶどうの品種、マリアージュ(ワインと料理の組み合わせ)についてなど、さまざまなワインの知識や情報を伝えています。他にも、地元のおいしい店やお土産などニッチなグルメ情報もお得意で、ガイドというよりまるでコンシェルジュのよう。
「私自身もワインが大好きで、食べることも大好きなんですよ。だから、いつもアンテナをはって情報収集しているんです」

ワインが大好きな前澤さん。全国の約100カ所にも及ぶワイナリー、ヴィンヤード訪問経験を活かして、
長野県専門のワインツーリズムの会社を設立した。

趣味で続けていた、
ワイナリー巡りの経験を活かし、
ワインツーリズムの会社を設立

前澤さんがワインと出会ったのは、フランス語を専攻していた大学時代。短期のホームステイで訪れたフランスでのこと。
「そちらの家では、食卓に必ずワインが置いてあるんです。それまでワインを飲んだことはありませんでしたが、そういう食文化って素敵だと思いました」
このときワインに対する憧れのような感情が芽生えたといいます。大学卒業後、航空会社に就職。客室乗務員として訪れた先では、ワインに限らず、いろいろなお酒に出会ったそうです。
「客室乗務員の中には、ステイ先の料理やお酒を楽しみにしている人が多かったですね。私もいろいろなお店に行ってワインを飲む機会も多くなり、ソムリエの資格を取りたいと思うようになりました。海外だけでなく国内のフライトもありましたので、料理にも郷土の特色があって刺激になりました」
ワインに対する思いが強くなり、ソムリエの資格を取ると、前澤さんは航空会社を退社。メディア関連会社を経て、ワインを輸入・販売する商社に勤めます。
「そこではワインを販売する経験ができたのですが、自分の進むべき道についてまだ迷っていました。以前から時間ができると、趣味で全国のワイナリー巡りをしていて、造り手とお話をしたり、ぶどう畑やワインができる現場を見たり、農作業をしたりして、感動あり、発見ありで、体験することに魅力を感じていました。2016年に長野市で開催されたワインのイベントにボランティアスタッフとして参加した時のこと。同じく参加していた夫と出会ったんです。夫は長野県でぶどう栽培をしており、その頃、長野県にはワインを造りたい方たちが集まってきていて、特に東御市は、エッセイストとして有名な玉村豊男(たまむらとよお)さんが2ヘクタールの土地にぶどうを植え、ワイナリーを設立、2015年には『千曲川ワインアカデミー』を開講した注目の地でした。夫は同アカデミーの1期生でした」
前澤さんは旦那さんと知り合った後、東御市に移住、それまでのワイナリー訪問歴や仕事の経歴を活かして、2020年にいまの会社を立ち上げました。

撮影に協力してくださった東御市のワイナリー、アルカンヴィーニュは、前澤さんの旦那さんが1期生で学んだ
「千曲川ワインアカデミー」の開催施設。写真のワインは、右:シャルドネ、左:メルロー(アルカンヴィーニュ)。
「普段の食事に取り入れやすいバランスの整った味わい。それぞれのぶどう品種の特性や長野県のテロワールも
しっかり反映されています(前澤さん)」

現地で体験することの
大切さを教えてくれる体験型ツアー

「私が大切にしているのは、現場で学ぶということ。本やネットにはない現場で直接、生産者の方々の話を聞いて、ぶどうが育つところを肌で感じてほしい。いろいろな形での体験を絡めるのは意味があると思っています。一つ例があって、先日、新しい試みで、“微生物”を感じることを目的とした、“体験型発酵ツーリズム in Nagano”というツアーを12日で行ったんです。佐久市(さくし)、東御市、上田市の酒蔵、チーズ工房、味噌工房、パン工房、ブルワリー(ビール醸造所)、ワイナリーの見学をするツアーです。全部、発酵モノで、地元でもとても人気の工房ばかり。もちろん造り手の方々に直接お話を聞けて、テイスティングやランチなどで実際の飲食も楽しみました。
面白かったのがパン工房を訪問したとき。そこは酵母を種おこしからしているのですが、自家製の酵母を使ったパンと、市販のイースト菌を使ったパンを用意してくれて食べ比べをさせてもらいました。参加者の方みなさん驚かれたのですが、違うのは酵母だけなのに、味も香りもまったく違ったんです。私も自家製酵母の方が味わい豊かに感じました。
また、味噌工房を訪問したときもプチ実験をしてもらいました。そちらで売られている手づくり味噌と市販の味噌を用意していだき、それぞれをお椀に入れ、そこに水溶き片栗粉とお湯を注いで味噌を溶かすと、きれいに溶けたのが手づくり味噌、分離していたのが市販の味噌でした。手づくり味噌は酵素の働きによって片栗粉のデンプンを分解しますが、市販の味噌は流通するために酒精等を添加するので、その活動が止まっているわけです。たとえば、日本酒にしても流通させるものは火入れして発酵を止めていますが、火入れしていない “生酒”は現地でしか手に入らないものもあります。手づくり味噌にしても生酒にしても、酵素が活きているものの方が、味に複雑味が出るような気がします。どちらがいい悪いではありませんが、やはり、現地でないと食べられないものってあると思います。現地で体験することと、味わうことの大切さを改めて感じさせてくれたツアーでした」

長野ワインと
郷土食のマリアージュ

前澤さんはSNSでワインやグルメの情報を発信されており、SNSのファンの方も多いようです。ワインと料理のマリアージュについてもたくさん投稿されています。ここで、長野県のいろいろなおいしいものに詳しい前澤さんに、代表的な長野の食と相性の良いお酒についてお聞きしました。
「長野県といえば真っ先に思い浮かぶ野沢菜漬けから行きましょう。野沢菜漬けと合わせて飲んでもらいたいのはシードル(りんご酒)ですね。長野ってりんごの産地でもあるので、シードルもたくさん作られているんです。新しいサイダリー(シードル醸造所)も増えていますし、フレーバーのバリエーションも多く、辛口から甘口まであります。野沢菜漬けには、ほんのり甘いくらいのセミスイートなシードルがおすすめですね。次におやきですが、味噌味のおやきにはやわらかめの赤ワインが合いますよ。あまり渋すぎるとワインが勝ってしまうので、品種でいえばピノ・ノワールなどの軽い飲み口のワインがいいです。野沢菜やおやきとかって、昔からある郷土食のイメージですが、ワインと合わせて楽しむと、また違った新鮮な味わいになります。

SNSなどで長野ワインと食のマリアージュの情報を定期的に発信する前澤さん。
ワインや旅だけでなく、おいしいモノ好きなファンは多い。

長野は春になると山菜がたくさん採れるのですが、私はたらの芽やこごみなどの山菜の天ぷらが大好きなんです。レモンをギュッと絞って塩でいただくのですが、そんなときに合わせるのが白ワイン。長野県の標高が高い所にあるワイナリーのシャルドネならバッチリです。あと、長野県の食でぜひおすすめしたいのがジビエ(野生鳥獣の肉)です。ジビエとなるとやはり赤ワイン。それもしっかりタンニン(渋みのあるポリフェノール)のあるカベルネ・ソービニヨンはぴったりです。秋から冬にかけてはジビエの季節でもあります。この季節に長野県にいらしたらぜひジビエと赤ワインを味わっていただきたいです」
ワインのことだけでなく何でも気さくに答えてくれる前澤さん。きっと「ジビエと赤ワインが味わえるツアーを考えて!」なんてお願いにもしっかり応えてくれるはず。そんな長野ワイントラベルのオリジナルツアーで、長野ワインとおいしいモノを探求してみてはいかがでしょう。

前澤 知江(まえざわともえ)さん

前澤 知江(まえざわともえ)さん

前澤 知江(まえざわともえ)さん

長野ワイントラベル代表。大学時代に留学したフランスでワインと出会う。航空会社の客室乗務員を経て、ソムリエの資格を取得。ワイン商社の営業職&イベント企画職などを経て、2017年に長野県東御市へ移住。全国100カ所以上のワイナリー&ヴィンヤード訪問歴を活かし、ワインツーリズム専門の旅行会社「長野ワイントラベル」を運営。一年間で飲む長野ワインは100種類以上、趣味はワインとおいしいモノ探求。

長野ワイントラベル
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撮影協力

アルカンヴィーニュ 長野県東御市和6667

https://jw-arc.co.jp/

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