発酵でつながる、おいしい輪!「私の発酵“推し”美食」
Vol.13 愛犬ともシェアできる!
お菓子料理研究家・森崎繭香さんの
「甘酒バスクチーズケーキ」
2024/07/04
Vol.13 愛犬ともシェアできる!お菓子料理研究家・森崎繭香さんの「甘酒バスクチーズケーキ」
発酵でつながる、おいしい輪!「私の発酵“推し”美食」
2024/07/04
食にかかわるプロに、お気に入りの「推したい発酵食」を教えてもらう本連載。今回お話を伺うのは、お菓子料理研究家の森崎繭香(もりさきまゆか)さんです。
森崎さんにとっての発酵食品は、お菓子にやさしい甘みや奥深い味わいを加えてくれる頼れる相棒です。
今回は、最愛のペットとも一緒に楽しめる、甘酒がポイントのこっくりバスクチーズケーキを教えてもらいました。
お菓子料理研究家として活躍する森崎繭香さん。発酵食品は、お菓子づくりにおいても身近で頼りになる存在だと語ります。
「お菓子によく使う発酵食品といえば、まず代表的なのはヨーグルトやチーズですね。まろやかなコクと乳酸菌発酵のさわやかな酸味、旨味が、お菓子に深みを与えてくれます。また、甘酒や甘糀などもやさしい甘みをプラスするのによく使っています」
発酵食品をうまく活用することで、脂質や糖質を控えられるのもうれしいポイント。
「生クリームや砂糖をふんだんに使ったスイーツももちろん大好き。でもそれは特別な日の楽しみにして、ふだんのおやつは体がよろこぶヘルシーなものがいいなと思っています。お菓子の定番レシピも一つひとつ材料を見直しながら、発酵食品で代用するとどうなるかな、旨味を補うために発酵食品を加えてみようかな、などと試行錯誤しながらレシピを作っています。犬の体にやさしいものは、きっと人間の体にもやさしい。安心して食べられるお菓子をと頭を巡らせ、失敗もたくさんしながらチャレンジしています」
もともとみそ、ヨーグルトなどの発酵食が好きだったという森崎さん。お菓子にも発酵食品を意識して使うようになった背景には、愛犬の陸(りく)くんの存在があります。
「陸が2歳になるころのことでした。おなかに赤いぶつぶつができて、かゆがるようになったんです。獣医さんに診てもらうと、アレルギーの可能性があるとのこと。毎日のごはんを手づくりする方法があると教えていただき、書籍などでも勉強しながら手づくりフードにチャレンジするようになったんです。それから数ヶ月後、陸のおなかはすっかりきれいに。犬も食生活が大切なんだと気づかせてもらった、大きなできごとです」
この経験をきっかけに本格的にペットの食事について勉強を始めた森崎さんは、ペット食育准指導士の資格も取得。人と犬が一緒に食べられるおやつとごはんのお店「one’s daily(ワンズデイリー)」をオープンしました。
「手づくりごはんの魅力は、飼い主が自分で選んだ材料で、添加物を使わずに調理できること。犬の年齢や体調に合わせて、栄養価や形状をカスタマイズできるのもいいですね。何より犬や猫にとって、食べることって大きな楽しみ。食べる時間を充実させてあげることが、彼らの幸せに直結するなと、陸を見ていても実感します」
陸くんの毎日ごはんでも、発酵食品は大活躍。とくにみそなどの発酵調味料は、塩分を控えながら、満足感のある味わいに仕上げるのに欠かせないと言います。
「愛犬の体に負担のない食事づくりのコツは、薄味で素材の味をいかしたメニューにすること。たとえば少量のみそで味つけをすると、塩分控えめでもぐっと旨味がアップします。おいしそうに食べている姿をみると、私も幸せになります」
野菜や果物と甘酒を合わせたポタージュやスムージーも、愛犬・愛猫とシェアできるおすすめメニュー。森崎さんのお店でも人気の商品です。パウチタイプで持ち歩きしやすいので、散歩中の水分補給時に、水に少量まぜてあげている家庭も多いとか。
「外では水を飲みたがらないというワンちゃんも、ほんのり甘みを加えてあげると喜んで飲む、という声をよく聞きます。甘酒は飲む点滴と言われるくらい、栄養が満点。腸内環境を整えてくれる働きも期待できます。最近では、犬たちの健康管理においても“腸活”が注目されていて、愛犬のための腸内フローラ検査もあるくらいなんですよ」
自然な甘みとまろやかなコクが一体となったスムージーは、人間にとってももちろん極上のおいしさ! 愛犬と飼い主が一緒に笑顔になれる時間を増やしてくれる、やさしい味わいです。
栄養満点の甘酒と、こちらも発酵食品のクリームチーズを使った手軽なケーキを教えていただきました。
3. 型に流し入れ、220度のオーブンで30〜35分焼く。型から出して粗熱をとり、冷蔵庫で半日ほど休ませる。
「材料をすべてミキサーやブレンダーでまぜて、型に流し込んで焼くだけ。クリームチーズを室温にもどす必要もないので、思い立ったらすぐに作れるお手軽おやつです」
ミキサーやブレンダーがない場合は、室温にもどしたクリームチーズ、はちみつ、卵、米粉を順に加え、その都度、泡立て器でなめらかにまぜればOKです。
「バスクチーズケーキの生地は生クリームとクリームチーズで作ることが多いのですが、このレシピでは生クリームの代わりに甘酒を。あっさりしてしまうかと思いきや、意外にも甘酒が生クリームのようなコクと深み、まろやかさを出してくれて、王道のバスクチーズケーキの味わいです」
クリームチーズを裏漉しタイプのカッテージチーズに代えてアレンジすると、よりさっぱりとした口当たりになります。
愛犬の誕生日やクリスマスなど、特別な日のお祝いにあげるなら、水きりヨーグルトでデコレーションしたり、フルーツを飾ってもすてきです。
次回、森崎さんからのバトンは、料理家の蓮池陽子さんへと渡ります。山とアウトドアをこよなく愛する蓮池さんの“推し”を、どうぞお楽しみに!
フードコーディネーター・お菓子料理研究家
フードコーディネーター・お菓子料理研究家
料理教室講師、パティシエ、フレンチ・イタリアンの厨房での修行を経て、独立。書籍、雑誌、WEBなど、幅広いメディアで活躍中。『はじめてでもおいしくできる! おうちおやつ』『ボウルやホーローバットで作る 焼かずに作れるケーキ』など、著書多数。
one’daily(ワンズデイリー):https://onesdaily.com