発酵でつながる、おいしい輪!「私の発酵“推し”美食」

Vol.14 ヨーグルトのさわやかな旨味を料理に活用!
料理家・蓮池陽子さんの
「きゅうりのハーブヨーグルトサラダ」

2024/08/29

食にかかわるプロに、お気に入りの「推したい発酵食」を教えてもらう本連載。今回、お話を伺うのは、料理家の蓮池陽子(はすいけようこ)さんです。
日々の料理に、またレシピ提案に、さまざまな発酵食品を使いこなす蓮池さん。数ある「推し発酵食」の中から、今回ピックアップするのはヨーグルトです。蓮池さんは、デザートやスイーツ作りだけでなく、普段の料理にもヨーグルトを活用しているそう! サラダとしてもディップとしても楽しめる、万能ヨーグルトサラダをご紹介します。

ヨーグルト使いで、
料理に変化を与えて

日本では食後のデザートや手軽なおやつ、スイーツの材料としてのイメージが強いヨーグルトですが、世界では肉料理や魚料理のソースやディップ、スープ、煮込み料理、ドリンクなど、さらに幅広いメニューに活用されています。

「ヨーグルトのほどよい酸味は、料理に深みを与えてくれます。たとえば、ヨーグルトにすりおろしにんにくと塩少々をまぜ合わせるだけでも、風味豊かなソースに。シンプルな肉や魚のソテーもぐっと味わいが引き立ちます。アンチョビや刻んだハーブなどで、アレンジも自由自在です。それから、トマト系のスープの仕上げには、お皿に盛り付けてからヨーグルトをひとすくい。口の中で、味わいがまざり合う感覚が好きなんです」

ヨーグルトはしっかり水きりして、クリーミーな口当たりに。

「また、水きりして使えば、まったり濃厚なコクもプラス。それでいて、食べ終わったあとに、どっしりとした重さが残らないのもヨーグルトのいいところですね。生クリームやチーズの代わりにヨーグルトを使うと、罪悪感も少ない(笑)。日々のごはんは、軽やかに食べられるものがうれしいな、と思います」

きゅうりの
ハーブヨーグルトサラダ

サラダとしてそのまま食べても、パンに挟んでサンドイッチの具材にしても、また肉や魚のソースとしても活躍する、蓮池さんのお気に入りの一品を教えていただきました。

好みでオリーブオイルをかけて。冷蔵庫で2〜3日保存可能。

  • [材料](作りやすい分量)
    プレーンヨーグルト200g
    きゅうり2本
    小さじ1/2
    ディル20g
    A
    フレンチマスタード(またはからし)小さじ1〜
    マヨネーズ大さじ1
    塩、こしょう適宜
  • 下準備
    ・ボウルにざるを重ね、キッチンペーパーを敷いてヨーグルトをのせる。ラップをかけて冷蔵庫で2時間〜ひと晩おき、水きりをする。
  • [作り方]
    1.きゅうりは縦半分に切り、小口から斜め薄切りにする。ディルはこまかく刻む。
    2.①のきゅうりに塩をまぶして10分ほどおき、水けをしっかりしぼり、キッチンペーパーで残った水分を吸い取る。
    3.ボウルにきゅうりとAをあえ、ディルをたっぷり加えて全体をまぜる。味をみて、足りなければ塩少々で調味し、好みでこしょうを振る。

「唯一のコツは、きゅうりの水けをしっかり取ること。私は、手でぎゅっとしぼったあとに、さらにペーパーで拭き取っています。念入りに水けをきれば、サンドイッチの具にしてもパンがベタベタすることもなく、安心です。そうめんやカッペリーニなども同じで、水けをきるべきものは、とにかくしぼりきる! しっかり味が決まり、満足感が高まります」

こっくりした肉料理に
ヨーグルトのさわやかさが新鮮!

「ステーキの付け合わせにはフレンチフライやマッシュポテトがおなじみですが、このヨーグルトサラダもお肉と抜群の相性です。さっぱりとしながらまろやかさもあり、付け合わせとしても、お肉にのせて一緒に口に運んでも最高。きゅうりの食感、ディルの香り、ヨーグルトの酸味と牛肉の旨味が口の中で複雑にまじり合う幸せときたら……!」

「ステーキは、表面はこんがりと、中はほどよくレアなのが好み。スキレットで焼くのがおすすめです。
2cm厚さのステーキ肉なら、表面を2分半、裏返して1分半、火を止めて蓋をして1分が目安。
空いている場所で、付け合わせのトマトも焼いて。」

「ヨーグルトサラダのハーブは、ミントや大葉など好みのものに変えてアレンジしてもいいですね。たとえば、ラム肉にはミントの香りもよく合います。また、大葉に変えたら、ちょっとしょうゆを垂らしたり、みそを少々加えて和風にしてもおいしいですよ」

ヨーグルトは下ごしらえにも活躍

アウトドア好きとしても知られる蓮池さん。ヨーグルトは、アウトドアごはんに持っていく肉や魚の下ごしらえにも便利だと言います。

「キウイやパイナップルなどにもお肉をやわらかくする働きがありますが、漬け込みすぎると肉の繊維がバラバラになってしまいます。その点、ヨーグルトは漬けっぱなしでもいいし、臭みをとってくれる効果も。私はよく、かたまり肉にヨーグルトをまぶして冷凍し、ほかの食材と一緒に持っていきます。お肉が保冷剤代わりにもなって、アウトドアにもってこい!」

下ごしらえには、「ヨーグルトと自家製の甘酒」「ヨーグルトとみそ」「ヨーグルトと酒粕」など、ほかの発酵食品と合わせたヨーグルトミックスを使うことも多いそう。

「やはり発酵食品同士の組み合わせは、相性がいいですね。それぞれの旨味がかけ合わさって、奥深さが増します。ぬか漬けきゅうりにヨーグルトと少しのみそ、刻んだ大葉をまぜた和風サラダも、私の大好物です」

ヨーグルトで、
ほんのり酸味と栄養をプラス!

味わいとともに、栄養源としてのヨーグルトにも信頼を寄せている、と蓮池さんは話します。
「タンパク質の補給源にもなる、というのもヨーグルトの頼もしいポイントです。忙しいとき、食欲がないときには、つい麺類などの炭水化物に偏りがちですが、ヨーグルトなら口当たりもよく食べやすいですね」

そのままでおいしいヨーグルトは、スープにトッピングしたり、焼いた野菜にソースとしてかけたりと、サッと料理に取り入れやすい食材でもあります。

「栄養の面からも味わいの面からも、もっと気軽にヨーグルトを料理に取り入れられると、日々のレパートリーがぐんと広がり、食卓も豊かになるのではないかと思います」

「ヨーグルトの活用アイデアはいろいろありますが、私のお気に入りのひとつはフルーツの白あえ。豆腐とヨーグルトに少々のレモン汁を加えたあえ衣で、いちごやいちじく、柿などのフルーツをあえます。生ハムを添えても美味! ワインのおつまみに合いそうでしょう? フルーツの甘みにヨーグルトの酸味を足してあげることで、ぐっとバランスがよくなります。ヨーグルトって、本当に料理に使い勝手がいいなと日々、実感しています」

料理家・フードデザイナー

蓮池陽子(はすいけ・ようこ)さん

料理家・フードデザイナー

蓮池陽子(はすいけ・ようこ)さん

大学卒業後、ビストロ勤務、料理教室の講師を務める。アウトドアで山の幸、海の恵を採取して料理をする中で、おいしいものの背景には「美しい自然」や「たくさんの物語」があることに開眼。食べ物にまつわる物語を料理とともに伝えることをコンセプトに、料理教室、レシピ開発、フードコーディネート、飲食店のプロデュースなど、幅広い活動を行う。
Instagram:@hasuikeyoko