受け継がれた技と新風が交わる食の舞台、新島へ

vol.5 島寿司、明日葉、くさやに焼酎。
白い砂浜と食文化を巡る新島旅

2024/12/19

東京から約150km。伊豆七島で4番目に大きな島、新島は、独自の食文化と美しい自然が広がる魅力的な場所。島寿司やくさや、明日葉といった新島ならではの食材を味わいながら、真っ白な砂浜や雄大な海の景色を堪能できる12日の旅にご案内します。一体どんな出会いが待っているのか、日常とは離れた時間をお過ごしください。

1日目 12:00
新島に到着後、まず向かうのは、
島寿司の老舗「栄寿司」

魚はその日に獲れたものが提供される。今日はメダイ、カンパチ、真鯛の3種の島寿司。

8時過ぎ、東京の玄関口・竹芝桟橋を出発し、東海汽船のジェット船で約2時間20分。白い砂浜と青い海が迎えてくれる新島にあっという間に到着します。船旅の後にまず向かうのは、島の中心地にある老舗の「栄寿司」。オープン前から行列ができるほどの人気店です。目的はもちろん、新島伝統の島寿司です。

「真鯛やメダイ、キンメ、クロムツなど、近海で獲れる旬の魚を醤油ベースのタレに漬け、握りの上に和からしを添えます。タレに一味唐辛子を加えるのが、当店のこだわり。他の島では島唐辛子を使った辛みの強いタレもありますが、一味を使うことで、旨みがより引き立ち、子どもでも食べやすい味わいに仕上げています」

カウンターで寿司を握る宮川浩一さん。新島で生まれ育ち、2代目として家業を継いで16年になるといいます。

島寿司は、観光客だけでなく地元の人々にとっても大切な郷土料理です。冠婚葬祭など、島の節目ごとの食卓に欠かせない存在だとか。

「もともとは小笠原の方から保存食として伝わってきたものなんです。島の人にとっては冠婚葬祭などの節目に欠かせないものですし、家庭では釣った魚を醤油につけて保存し、白いご飯にのっけて食べていました」

秘伝のタレに漬け込むことで、魚のプリッとした食感が一層引き立ち、刺身よりも口当たりが滑らかに。タレの一味と和からしの酸味が絶妙に絡み合った唯一無二の味は、一度食べたら忘れられない、ここでしか食べられない特別な味わいです。この島寿司を目当てに新島を訪れる人が多いのも納得です。

新島に暖簾を掲げて60年になる栄寿司の2代目、宮川浩一さん。生まれも育ちも新島。

栄寿司

住所:
東京都新島村本村5-2-9
TEL:
04992-5-1539
営業時間:
11:30~14:00、
18:00~22:00

※来店の際は事前に電話にて連絡をいただけると確実です。

1日目 14:00
新島のシンボル、
羽伏浦海岸のゲートをくぐって
伊豆諸島屈指の美しい砂浜へ

地中海にでも迷い込んだかのようなフォトジェニックな風景が広がります。

伊豆諸島随一の美しさを誇る羽伏浦海岸は、白い砂浜が南北に約7kmも続きます。良質な波に恵まれていることから、世界中のサーファーたちに愛されるビーチです。シンボリックなメインゲートをくぐると、目の前に広がるのは、砂浜と海の色彩が織りなす絶景!

砂浜が白いのは、流紋岩と呼ばれる白い火山岩で覆われているため。
そのため海の色も驚くほど透明感のあるミルキーブルー。

羽伏浦海岸

住所:
東京都新島村ナムレ

1日目 15:00
新島の誇り、くさやの秘密を探る
「くさやの里」で作り手の思いを体感

羽伏浦海岸からは車で5分程度。新島空港の裏手にある。

新島のくさや作りの伝統を次世代に受け継ぐための施設「くさやの里」では、タイミングが合えば実際のくさや作りを見学することができます。独特の香りと絶品の味、その秘密を自分の目で確かめてみてください。

<関連記事>300年続くくさやの伝統を次世代に受け継ぐ池太商店

仕上げの工程。1つ1つ、丁寧に作られているのがわかります。

くさやの里(新島水産加工業協同組合)

住所:
東京都 新島村本村くさやの里
TEL:
04992-5-1333
URL:
https://shimajiman.com/

1日目 16:00
新島の味をお持ち帰り!
池太商店で選ぶこだわりのくさや

島の中心地にある池太商店。くさやの里からは車で5分ほど。左が店舗、右がゲストハウス。

くさやについて学んだあとは、実際に食べてみたくなるもの。池太商店では、季節に応じたさまざまな魚のくさやをはじめ、魚のすり身や名物のあかいかの塩辛など、地元の食材を使った加工品も豊富に揃っています。お土産探しにはぴったりの場所です!

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真空パックになっているのでお土産に持ち帰りやすいほか、地方発送も行なっているそう。

元魚屋だったという4代目が手がける魚の加工品はどれも絶品! さらに、ユニークなくさやグッズも発売中。

店舗の隣で運営している、素泊まり専用のゲストハウス。

池太商店

住所:
東京都新島村本村6-3-3
TEL:
04992-5-0118
営業時間:
8:3019:00
定休日:
日曜日
URL:
http://iketa.com/

1日目 16:30
新島のお土産ハントと、
名産探しはおまかせ
なんでも揃う「新島農協」

池太商店から車で2分。徒歩でも5分の場所に位置する農協。

島民にとっての台所である新島農協には、島で採れる旬の野菜のほか、農家の方が作った加工品や、ここでしか食べられない地元の野菜を使ったシェイクも。新島特産のあめりか芋や明日葉のシェイクは必飲です!

<関連記事>「新島農協」で美味しい発見!島野菜のシェイク

新島農協でみつけた、新島土産の数々。どれも農家の方の手によるものばかり。

新島農協(新島村農業協同組合)

住所:
東京都新島村本村1-5-9
TEL:
04992-5-0046
営業時間:
8:3017:00
定休日:
水曜日・年末年始
URL:
https://niijima-noukyo.or.jp/

1日目 17:00
1日の終わりに、海岸で夕暮れの美しさを堪能

新島農協の裏手には海がひろがります。海に沈む夕日を見ながら、のんびりと過ごす贅沢なひととき。

2日目 8:00
早起きして、島散歩へ。
コーガ石のモヤイ像、
いくつ見つけられる?

石山トレッキングコースの頂上にあるモヤイ像。手前は式根島、奥には神津島も!

新島を訪れると島中にモヤイ像が点在しているのがわかります。実はこれ、新島でしか採れないコーガ石で作られたもの。1977年から観光客にモヤイ像を彫る体験ツアーが開催されてできたものが点在されているのだそう。その数100体以上。実は、渋谷駅前のモヤイ像もこの時に生まれたものが寄贈されたのです。

こんなところにも!

2日目 10:00
コーガ石でできた、
オリーブグリーンのガラスを求めて
「新島ガラスアートセンター」で絵付け体験

海岸沿いに立つ、モダンな外観の「新島ガラスアートセンター」。右手の階段を登ると目の前に海が広がる。

世界で唯一、火山性のコーガ石から作られる深いオリーブグリーンの新島ガラス。その独特の美しさを手にとって体感できる「新島ガラスアートセンター」では、コップの絵付け(ドローイング教室)も体験できます(要予約)。世界にひとつのコップを、記念のお土産に。

<関連記事>食卓を彩るオリーブグリーンの器が生まれる場所、「新島ガラスアートセンター」へ

さまざまなデザインのガラス作品が展示されている館内。

新島ガラスアートセンター

住所:
東京都新島村間々下海岸通り
TEL:
04992-5-1540
営業時間:
10:0016:30
定休日:
火曜日
URL:
https://shimajiman.com/

2日目 12:00
「湯の浜露天温泉」で
海を眺めながらリラックス

海岸沿いでひと際目をひく、古代ギリシャ建築風のスポットは、新島の特産品コーガ石でできた湯の浜露天温泉。

新島には温泉施設が3ヵ所ありますが、なかでもインパクトがあるのが「湯の浜露天温泉」です。水着着用で入る温泉なので、リゾート気分でのんびりと楽しめます。

島の西側にあるので、温泉に浸かりながら美しいサンセットを眺めることができます。

足湯スポットもあるので、時間のないときは足湯だけでも。

2日目 13:00
新島旅行の締めくくりは
やっぱりお土産!
新島で唯一、
「新島酒蒸留所」の島焼酎

ベニハルカを原料に仕込んだ人気の芋焼酎「嶋自慢 芋」に、減圧蒸留で仕込んだ新しいシリーズ「BLUE」。
「BLUE」はより飲みやすい仕上がり。

2026年に創業100年を迎える新島で唯一の島酒を造る「新島酒蒸留所」。島の伝統を守りながらも新たな試みを加えた酒造りを続け、地元の人々に愛される焼酎を生み出しています。特長は、毎日でも飲みたくなる、飲みやすさ。直営店の「酒屋の宮原」では、なかなか島外では見かけないような希少な1本がみつかるかもしれません。

<関連記事>新島唯一の「新島酒蒸留所」が目指す、飲み飽きない島酒づくり

新島酒蒸留所を代表する銘柄「嶋自慢」のなかでもすっきりとした口当たりの「羽伏浦」を、樫樽貯蔵で貯蔵熟成。

酒屋の宮原(販売所)

住所:
東京都新島村本村1-1-5
TEL:
04992-5-0016
営業時間:
9:0019:00
定休日:
日曜日

新島の豊かな自然と文化に触れながら体験した数々の味は、忘れられない思い出に。再び訪れたくなる島、新島での特別な旅をお楽しみください。

●新島へのアクセス

東京竹芝桟橋から高速ジェット船で2時間20分、または夜行大型客船で8時間30分。
その他、神奈川県久里浜港、静岡県下田港からの船便もあり。

東海汽船 TEL:03-5472-9999 または 0570-005710

URL:https://www.tokaikisen.co.jp/