精米工場で精米・選別された米は、工場に搬入された後、さらに厳しいチェックを受けます。
入荷ロットごとに変色米、雑穀、異物が混入してないか検査します。
<放射能検査>安全性を確認します。
<マグネット>金属片などを除去します。
<風力選別機>粉じんや軽い異物を飛ばします。
<金属探知機>ここでは、銅やアルミニウムなど非鉄金属もはじかれます。
<研米機>米の表面に付着した米糠や微細な異物を取ります。
<マグネット>再度、金属片などを除去します。
<色彩選別機>高精度のセンサーが変色米や石など米とは違う色の異物を瞬時に判別します。
一日、最大120トンの米(大型トラック6台分)が搬入され、その一粒一粒が検査されます。
選別プロセスを無事に通過した米は、1本13トンの巨大タンクで水に浸されます。米の種類や外気の温度によって米が水分を吸収するスピードが違うので、その都度調整しながら対応します。数時間の浸漬によって程よく吸水された米は、水切り後に蒸しの工程へ。ここは「糀~味噌づくり」の大事なポイントです。
蒸米の理想は「外硬内軟」。外部が硬く内部が軟らかい状態が、麹菌が米の内部に菌糸を伸ばしやすい環境です。反対に、蒸米に芯が残ると味噌になったとき、ざらつきやくすみの原因になります。集中制御室でのデジタル化された作業と現場での人の手によるアナログな作業のマッチアップで、完成度の高い蒸米が実現しているのです。
蒸した米は、麹菌の生育に適した温度まで下げた後に、種付けと呼ばれる麹菌を付着させる工程を経てから速やかに製麹装置に敷きつめられます。直径16メートル、容量35トン。SF映画に出てきそうな壮大な装置です。お米はここで約40時間過ごすと、約30種類の酵素を含む糀に生まれ変わります。
ここでも、デジタルとアナログの共同作業で進みます。集中制御室で絶え間なく状態をチェックする一方で、担当者が数時間ごとにサンプルを取って、香りや味を確認します。安定した品質を維持するために、培ってきたノウハウがすべて生かされているのです。
作業現場を清潔な環境に保つ努力は怠りません。週1日は仕込み作業を止めて、清掃の時間にあてています。
「蒸米の生産ラインは毎日洗浄します。お客さまの口に入る食品づくりにかかわっているのですから、清掃は欠かすことのできない大事な作業です」 (松沢)
ベルトコンベアで流れるラインや製造関係の機器、そして移動用のタンクなど、糀づくりに必要な道具はすべてクリーンにしてリセット。夕方、ぴかぴかの道具を見るのは、気持ちのいいものです。
大事なのは、正直に仕事をすること。どこかで手を抜いたり、さぼったりしないこと。正直にものづくりしていると、おのずと結果は付いてくると思っています。また、作り手側だけでなく、お客様の立場になって考えることも大切でしょう。
「これだけ一生懸命にやっているんだから」といった作り手側の言い分だけでは、十分ではないんですね。こうした状況のなかで、いかに間違いのないものを作っていくか。これは永遠の課題です。人材育成の面、現場の作業については、どうしてもマニュアル中心の教育になってしまうので、「なぜその作業をやっているのか」という理由付けを足していきたい。お客様が求めていることに対して、自分はどうかかわっていくのか。理由付けがはっきりすれば、よい仕事をする意欲につながっていくと思います。