米編 米の選別、麹づくり 味噌の原料は、大豆と米と食塩。仕入れた米は、工場で「麹」に加工します。麹づくりは、味噌をつくるうえでとても大切な作業で米の選別や製麹(せいきく)時の温度調整などきめ細かくコントロールしながら進みます。

米の選別

案内人 製造部 製造第一課 松沢実

搬入された米は、風力選別機や金属探知機など、いくつもの機器を通ります。

精米工場で精米・選別された米は、工場に搬入された後、さらに厳しいチェックを受けます。
入荷ロットごとに変色米、雑穀、異物が混入してないか検査します。

<放射能検査>安全性を確認します。
<マグネット>金属片などを除去します。
<風力選別機>粉じんや軽い異物を飛ばします。
<金属探知機>ここでは、銅やアルミニウムなど非鉄金属もはじかれます。
<研米機>米の表面に付着した米糠や微細な異物を取ります。
<マグネット>再度、金属片などを除去します。
<色彩選別機>高精度のセンサーが変色米や石など米とは違う色の異物を瞬時に判別します。

一日、最大120トンの米(大型トラック6台分)が搬入され、その一粒一粒が検査されます。

選別のこだわりはココ案内人! いくつもの工程を経て、米に付着した異物を除去 風力選別:風力によって、比重の違いで異物を選別 金属検出:米の表面に付着した金属を検知 色彩選別:米と違う色の異物や変色米を選別し除去

蒸米

蒸米

米の蒸し具合が、糀や味噌の出来を左右する。蒸米はデリケートな作業です。

選別プロセスを無事に通過した米は、1本13トンの巨大タンクで水に浸されます。米の種類や外気の温度によって米が水分を吸収するスピードが違うので、その都度調整しながら対応します。数時間の浸漬によって程よく吸水された米は、水切り後に蒸しの工程へ。ここは「糀~味噌づくり」の大事なポイントです。

蒸米の理想は「外硬内軟」。外部が硬く内部が軟らかい状態が、麹菌が米の内部に菌糸を伸ばしやすい環境です。反対に、蒸米に芯が残ると味噌になったとき、ざらつきやくすみの原因になります。集中制御室でのデジタル化された作業と現場での人の手によるアナログな作業のマッチアップで、完成度の高い蒸米が実現しているのです。

蒸米のこだわりはココ!緻密な機械と手作業で完成度の高い蒸米が実現 米の種類や季節に合わせて水分量や温度を緻密に調節 蒸米担当者の手で30分ごとに蒸し加減をチェック

製麹

製麹

安定した糀づくりのために、ノウハウが最大限に生かされます。

蒸した米は、麹菌の生育に適した温度まで下げた後に、種付けと呼ばれる麹菌を付着させる工程を経てから速やかに製麹装置に敷きつめられます。直径16メートル、容量35トン。SF映画に出てきそうな壮大な装置です。お米はここで約40時間過ごすと、約30種類の酵素を含む糀に生まれ変わります。

ここでも、デジタルとアナログの共同作業で進みます。集中制御室で絶え間なく状態をチェックする一方で、担当者が数時間ごとにサンプルを取って、香りや味を確認します。安定した品質を維持するために、培ってきたノウハウがすべて生かされているのです。

製麹のこだわりはココ!安定した麹づくりのため温度管理は徹底 数時間ごとにサンプルを取り香りや味を確認 麹菌の増殖をコントロールするため、24時間体制で温度管理

清掃

清掃

クリーンな環境なくして、安全な糀は生まれません。

作業現場を清潔な環境に保つ努力は怠りません。週1日は仕込み作業を止めて、清掃の時間にあてています。

「蒸米の生産ラインは毎日洗浄します。お客さまの口に入る食品づくりにかかわっているのですから、清掃は欠かすことのできない大事な作業です」 (松沢)

ベルトコンベアで流れるラインや製造関係の機器、そして移動用のタンクなど、糀づくりに必要な道具はすべてクリーンにしてリセット。夕方、ぴかぴかの道具を見るのは、気持ちのいいものです。

清掃のこだわりはココ!糀づくりに使用する道具はすべてクリーンに 蒸米の生産ラインは毎日、製麹装置は、週1回の清掃 細かい汚れをとるために人の手で洗浄

品質管理に込める想い

正直な仕事が大事!製造部 糀担当 松沢実

大事なのは、正直に仕事をすること。どこかで手を抜いたり、さぼったりしないこと。正直にものづくりしていると、おのずと結果は付いてくると思っています。また、作り手側だけでなく、お客様の立場になって考えることも大切でしょう。

「これだけ一生懸命にやっているんだから」といった作り手側の言い分だけでは、十分ではないんですね。こうした状況のなかで、いかに間違いのないものを作っていくか。これは永遠の課題です。人材育成の面、現場の作業については、どうしてもマニュアル中心の教育になってしまうので、「なぜその作業をやっているのか」という理由付けを足していきたい。お客様が求めていることに対して、自分はどうかかわっていくのか。理由付けがはっきりすれば、よい仕事をする意欲につながっていくと思います。

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