味噌パッケージ工場で製品化しているのは『料亭の味(だし入り)』、『マルコメ君合わせ』、『料亭の味 無添加』など、マルコメブランドの根幹となる製品です。熟成管理担当から引きついだ蔵出し味噌は、味噌を撹拌する工程、そして調味料を加えたり、加熱・冷却をする工程を経て<充填>の工程に進みます。
「異物混入対策で、一番気を使うのが充填工程です。オートメーション化されたラインのなかで、どこでどんな検査機器を入れれば効果的なのかなど、研鑽しながら改良を重ねています。」(伊藤)
製品仕様になった味噌は、規定の充填フィルターを通ってからラインに流れます。熟成管理担当からここまでの間に異物が混入されていれば、ここで除去され次の工程に進みます。
<画像検査機>ラベル、シュリンク、賞味期限、トップ材をチェックして、合格品のみ出荷されます。
<X線検出機>金属、ガラスなどの異物が混入していないかチェックします。
そして、最後は人による目視検査。植物性のコゲ、ラベルのしわ、印字の不備などを30分交代で検品担当者がチェックしています。実際、ラベルのズレを検品担当者が発見してラベルを貼る機器の故障に気付くといったことも。最新検査機器による何重ものチェックと生身の人間のチェックを経て、製品はやっと出荷されます。
品質は人なり。どんなに優れた検査機器を入れても、最後は人だと思います。
たとえば、ラインが停止した時の滞留品や手直し品をラインに戻す際、ルールを守らないと賞味期限印字や検査されていない製品が出荷されてしまう可能性があります。機械を扱うのは人ですから、全作業者への教育とスキルアップが必要となります。
検品はとても大変な仕事で、現在、30分交代で検査してもらっていますが、もし自分が入っても5分もたないくらい集中力が必要です。
その分、私は衛生管理、保全管理、人員管理を実行して生産統制し、安心・安全な製品を提供するのが仕事になります。
即席みそ汁工場では『生みそ汁 料亭の味 わかめ 12食』、『生みそ汁 料亭の味 あさり 8食』といった、1食分がパッケージされ、手軽に飲める即席みそ汁を主に製品化しています。
異物混入対策は、充填フィルターや<金属検出機>、<X線検出機>といった最新検査機器と人による検品で厳重にチェックしています。
即席みそ汁工場ならではの課題は、包装不良による味噌の染み出しです。小さな袋に20グラム程の中身を詰める緻密な工程、加えて1時間に約10万食分(料亭の味 わかめライン)を生産するスピードは圧巻ですが、ほんのわずかなズレが味噌の染み出しを招きます。
「まずは、袋の状態をチェック。作業開始時、充填機から抜き取って、浸透液につけて接着面から染み出しがないかを検査しています。また、60キログラムの負荷を20秒かけて破損がないかの耐圧検査も実施しています」(轟)
ラインの流れのなかでは、次のようなチェックをします。
<ウエイトチェッカー>重量を計り、正しい個数が入っているかチェックします。
<カメラ>賞味期限の印字が正しくされているかをチェックします。
<検品者>すべての面で外観をチェックします。集中力を維持するために、30分ごとにローテーションで入れ替わります。
「充填する際に超音波を当てて接着面をきれいにする機器や賞味期限の印字を画像で確認する機器など、新しい設備が導入されています。安全な製品をお客様に届けるために、機器だけでなく自分たちも緊張感を持ってフレッシュな気持ちで臨みたいですね」(轟)
安全な製品をお客様に届けるのがわたしたちの使命です。
袋の状態チェックから作業所の防虫対策や製造ラインの清浄まで、品質管理において不要な仕事はありません。
たとえば、メンテナンスは徹底的に行います。充填フィルターやラインの清浄は、作業終了後の必須事項。
品質管理のレベルを上げる努力は惜しみません。
2012年に操業を開始した高山工場は、作業のほとんどがオートメーション化されている最先端をゆく工場です。ここでは、『料亭の味みそ汁 12食』、『たっぷりお徳 料亭の味 減塩32食』など、6食以上の味噌と具材がセットになったお徳用や大容量セットを製品化しています。
他工場と同じく、異物混入対策に力を注いでいます。搬入された蔵出し味噌は、規定のフィルターを通ってタンクへ。タンクから出るときに再びフィルターを通過して、充填~包装のラインへ。ここでは<金属検出機>や<X線検出機>で異物をチェックします。
「高山工場で気をつかっていることは、やはり数です。ひとつの袋に入る数が多くなるので、入り数が正確かどうかには非常に気を使っています。台秤で個食で何グラム入っているかを計ってから、X線で推定重量値をチェック。袋詰めの後に<ウエイトチェッカー>で計量。箱詰めの工程後も<ウエイトチェッカー>で計量します」(島田)
オートメーション化が進んだ高山工場でも、人による検査は欠かせません。シールの状態を調べる浸透液検査や耐圧検査、最終的な検品は生身の人間にかかっています。
「すべてが自動化されているので、ひとつの機械が故障すると、すべてのラインが止まってしまいます。連続稼働できるようにメンテナンスにはとても気を使います。そして、機械のメンテナンスをするのは人です。機械を見ている現場の声をよく聞いて、改善できるところは積極的に修理するように心がけています」(島田)
メンテナンスで大事なのは、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)。
たとえば、「今のベアリングだと動きが鈍い。ほかの部品にした方がいいのではないか」といった現場の声は、すぐに吸いあげて対応します。
オートメーション化された現場だけに、人間同士の風通しのよさはより必要になってくると思っています。
高山工場では、異物が入らないような最新の機械や設備を整えています。
自分は、「高山工場から絶対に不良の製品を出さない」という気持ちで、日々取り組んでいます。
すべての工程がオートメーション化された高山工場とはうって変わって、アッセンブル工場のひとつでは手作業で工程が進みます。ここでは、ロット数の少ないお徳用みそ汁、チラシやシールを付けるような特別な製品などを出荷しています。
「細かなニーズに応えられるのが手作業の利点ですが、人が行う作業ですので、思い込みや勘違いといったエラーがつきもの。それをどうやって防ぐかがポイントです」(斉藤)
ラインのなかで、調味みそのパッケージと具材のパッケージを別々の人が大きな袋に入れていく。調味みそだけ、具材だけの袋ができないように、空の袋をラインに流す時は横に寝かし、調理みそを入れた人は袋を立ててラインに戻す。こうした小さな工夫が、包装から計量、検品、賞味期限の印字……といった工程ごとに見受けれらます。
「以前は、『似通った包材の製品が隣り合わせで作業していると間違いやすいので、包材の色を変えて欲しい』といった声が現場から上がり変更になったという事例もあります。過去から引き継いだノウハウが、現在の現場に生かされています」(斉藤)
品質は人だと思っています。
その人が製品をどう扱うか、どう考えているかによって品質は変わるので、やはり作っているものを作り手側が愛して欲しいですね。
どんなに立派な機械を導入しても、どんなに多く人を集めても、製品が好きでなければ成り立たない。
扱っている製品に誇りがあれば、おのずといいものをお客様に提供できると信じています。