図12a.酵素(アミラーゼ)の立体構造
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出典
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:日本蛋白質構造データバンク(PDB)
:Aspergillus oryzae (TAKA) alpha-amylase
酵素とは、生体内で起こる化学反応を触媒する生体触媒で、タンパク質で構成されていて、立体的な構造を持っています(図12a)。酵素には活性中心という場所があり、酵素が反応する相手:基質(図12b)が活性中心にはまって酵素ー基質複合体を形成してから、酵素反応が起こります。従って酵素は反応できる基質が決まっています(基質特異性)。
難しいことを言っているようですが、プロテアーゼはタンパク質を分解し、アミラーゼはデンプンを糖化し、リパーゼは脂質を分解し、セルラーゼは繊維を分解します。逆にいうと、プロテアーゼは決してデンプンや脂質や繊維を分解できないということです。また、酵素はタンパク質なので、熱やpHなどで立体構造が変化すると働かなくなる特徴を持っています。
酵素を最も簡単に体感することができるのが、唾液のアミラーゼです。ご飯を食べる時に、通常よりかなり長く噛み続けると、次第に唾液のアミラーゼによって米のデンプンが糖化されて甘く感じます。この原理を利用して造ったお酒を口噛み酒と言います。汚れのない女性が噛んだ米を壺に入れ、女性の唾液にあるアミラーゼで米を糖化後、酵母でアルコール発酵させてお酒を造る方法で、主に西日本中心に、神事に使われていたと言われています。
図12a.酵素(アミラーゼ)の立体構造
出典
:日本蛋白質構造データバンク(PDB)
:Aspergillus oryzae (TAKA) alpha-amylase
図12b.基質(マルトース)