魚の西京味噌漬けや肉の味噌漬けを手軽に効率よくおいしくつくるには、どうしたらいいか? そう考えたときマルコメが生み出したのが『細粒化味噌』。発売から20年余り、加工食品メーカー様にご愛用いただいています。また『料亭の味 西京焼き用みそ』の原料としても使用されています。
はじまりは、食品加工メーカー様の「漬け込み用の味噌を、もっと扱いやすく、食材に味が染み込みやすいよう、液体のようにできないか」という要望からでした。
開発部 商品開発課 青木大蔵
「液体のようにするには、水分を加えて濃度をゆるくすればできるのですが、それでは味も薄まりますし、漬けたときの浸透も悪くなります。そこで私たちは、味噌の粒子を細かくする必要があると考えました。しかし、通常の味噌漉し機では、最も小さくても1mmまでが限界です。そこで、さまざまな食品メーカーで使用されている機械を洗い出し、たどり着いたのが現在使用している機械です。通常味噌メーカーで用いることのない機械ですが、これを用いると、粒子の大きさは自由自在となり、最も小さい粒子で60ミクロン、つまり0.06mmまで下げることが可能になりました」
味噌の粒子をただ小さくすればいいということではなかったと、青木さんは語ります。
「味噌の旨味、風味はそのままに、細かい粒子だけを取り出すのに苦労しました。通常の味噌の場合、水分量や塩分量に1%程度の個体差があったとしても品質に大きなブレはありません。しかし、細粒化する際は微細な差が大きなブレにつながるため、より厳密な調整が求められました。旨味、濃度などを細かく計算し、安定的においしい細粒化味噌にする工夫が必要だったのです」
何度も試行錯誤をした結果、より使いやすく、よりおいしい細粒化味噌は生まれました。発売から20年、赤味噌、白味噌ともに多くのお客様に愛されるベストセラーになっています。
「今では、一般の消費者向けの『料亭の味 西京焼き用みそ』にも活用されています。また『細粒化味噌』は粒子の細かさ、液体の濃度を自由に変えることができるため、加工メーカー様の要望に応じてカスタマイズできることも、おもしろいところです。今は、オリジナルの製品も少なく、加工メーカー様のアイデアでご使用いただいていますが、今後はこの技術を活かし、さらにマルコメ独自の製品を開発したいと思っています。また、マルコメから積極的に発信することで、加工メーカー様に新しい使い方をご提案していきたいですね」
※掲載の内容は2016年12月現在のものです。